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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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筋トレしてもしなくても「相棒はプロテイン」 その1 基礎知識編

ゴルフなんでも

タンパク質はこんなにすごい

プロテインとはタンパク質のことです。英語ではProteinと書きますが、これはギリシャ語のProteusを語源としており、(人間にとって)第一義的なものという意味を含んでいます。

タンパク質はアミノ酸がつながって出来たもの

タンパク質と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、食べ物で言えば肉や卵だと思います。この肉や卵に含まれるタンパク質も、どんどん分解していくと最終的にはアミノ酸になります。

人間は、体の中でタンパク質をアミノ酸にまで分解して吸収し、吸収したアミノ酸からタンパク質を再構築して生命を維持しているのです。


人間が口からタンパク質を摂取すると、胃の中でペプシンという消化酵素が働き、はじめにタンパク質をぶつ切り状態にします。

その後、ぶつ切りにされたタンパク質は胃を出て行き、そこにトリプシンやキモトリプシンといった酵素が働いて、最終的にアミノ酸にまで分解されるといった流れです。

人間は、タンパク質をそのままの状態(大きな塊のまま)で吸収することができません。消化酵素によってタンパク質をアミノ酸にまで分解する必要があるのです。(実際にはアミノ酸が2個つながったジペプチド、3個つながったトリペプチドも吸収できます)

そして見事吸収されたアミノ酸が、体の中でタンパク質として再構築され、生命維持に貢献する事になりますが、実は、酵素もタンパク質で出来ていますので、消化酵素もタンパク質なのです。

ヒトはタンパク質を分解するためにタンパク質を利用しています。

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酵素は化学反応の触媒として働く

酵素は体内で起こる様々な化学反応の触媒として働いています。触媒とは化学反応速度を速める物質のことで、自身は反応の前後で変化しないものを言います。

「触媒は変化しない」と表現すると本当に何もしていないように感じてしまいますが、全く関与しないのであれば反応が進むわけもありません。決して自分では何もせず、指示ばっかり出している無能上司のような存在ではありませんのでご安心ください。

理科の実験で、過酸化水素水に二酸化マンガン(触媒)を入れると酸素が発生する実験を覚えていらっしゃいますでしょうか。

この反応において二酸化マンガンが実際に何をしているのかと言うと、自分の表面にある「特定の場所」を過酸化水素のために貸し出しているのです。

その「特定の場所」に過酸化水素がやってくると、過酸化水素と二酸化マンガンの化学反応が起こり、水と酸素を作り出して、自身は一時的に一酸化マンガンになります。ですが、その次にやってきた過酸化水素と反応しますので、もとの二酸化マンガンに戻るという仕組みです。

触媒は反応後、何事もなかったように同じ姿に戻りますので、変化しなかったように見えるだけなのです。

そしてこの特定の場所というのがミソで、ここが何らかの形で壊されてしまうと、二酸化マンガンは触媒としての活性を失ってしまいます。


上記のことを基に、ヒトの酵素についてタンパク質構造の複雑さを考慮して少し考えてみます。

人間の体内には常時無数の物質が混在しているため、化学反応は幾通りも起こる可能性があります。それをきちんと選別して、目的の反応を起こさなければ人間は生命を維持することができません。

どんどん反応を起こして、目的の物質がたまたま出来たらそれを使うというやり方もあるとは思いますが、これは材料と時間を浪費する非常に無駄の多い作業です。

無駄を省いて効率化、そのためには、酵素に目的の物質を作り出すための「特定の場所」(物質がピタッとはまり込むポケットのようなもの)があって、選択的に化学反応を起こせれば良いのです。

そこはご安心ください。実際に酵素はそのような機能を持っており、それを「基質特異性」と呼びます。(化学反応を起こす対象物質のことを基質と呼びます)

上の例では基質Cは酵素Aのポケットにはまりませんが、基質Bならピタッとはまり込みます。基質Bのみが酵素と反応することができ、そしてDとEが反応産物として出力されるのです。丁度、消化酵素のイメージに合致するのではないでしょうか。(画像:慶応大学自然科学研究教育センター)

人体の構造が複雑化するに伴って、タンパク質の構造も複雑さを増すことは当然の事と考えられます。それに伴い選択的な化学反応を可能にするためには、酵素の構造も複雑化されなければならず、また種類も増やしていく必要があったことでしょう。現在、酵素の種類は幾千種類と言われていますが、さらに未知の酵素が幾千種類あり、トータルで幾万種類あると推測してもおかしくない話だと思われます。

尚、酵素が体内で触媒として働くにはもうひとつ条件がありまして、酵素のとある凹み(鍵穴の役割)に、ビタミン(鍵の役割)がピタッと嵌ったとき、酵素は触媒として働くことができるようになります。(ビタミンの働きについては後日ご紹介する予定です)

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DNAのアミノ酸配列からタンパク質は作られる

DNAは皆さんご存知のことと思います。俗に言う遺伝子、細胞核内に収められています。このDNAに何が記述されているかというとアミノ酸配列です。DNAに記述された配列どおりにアミノ酸が結合されていき、それがタンパク質になるのです。

DNAの配列は必要な箇所のみが必要に応じて呼び出されます。そして呼び出された箇所をDNAからRNAと呼ばれるものに転写します。DNAから直接データを読み込んで使ってしまうと、何かの拍子に情報が書き換えらてしまうため、このようにワンクッション置いたシステムになっているのでしょう。

RNAへの転写が終わったら、あとはそれを参照しながらアミノ酸をつなげていき、タンパク質を作るということです。

ここで最初に作られるタンパク質は、アミノ酸がつながった一本のひものような状態です。これをタンパク質の一次構造と呼びます。

一次があるということは二次もあります。一次構造のタンパク質は水素結合やイオン結合により、らせん状にねじれたり(αへリックス)、板状(βシート)になったりします。このように一本のひもがαやβの構造になったものを二次構造と呼んでいます。

そして、二次があれば三次もある。二次構造のタンパク質は、今度は糸毬のように立体的な形を作り出します。これが三次構造。

最後に四次構造というものがありまして、これは三次構造のタンパク質同士がくっついて形成された複合体です。

このように、タンパク質は糸毬になりながら、最終的にお互いがくっついて立体的に形成されていくのですが、決して適当に丸まってくっついていくわけではありません。

洋服から出てきた糸をはさみで切って指で丸めるのとはわけが違います。タンパク質がきちんと機能するには、その目的のタンパク質が要求する立体構造になっている必要があるのです。

その役割を担うのが「分子シャペロン」です。例えるなら、タンパク質を育て上げる教育係です。タンパク質はゆりかごのようなものに入れられ、一人前になるまでその中から出てくることができません。

このような教育係がいるからこそ、タンパク質は間違えることなく複雑な立体構造をとることができ、体内で問題児とならずに活躍することができるのです。

西洋の貴族社会においては、若い女性が社交界にデビューする際に付き添う年上の女性のことをシャペロンと呼びます。これになぞらえてタンパク質の教育係のことを「分子シャペロン」と呼ぶようになりました。

それでも不良品は出来上がりますので、そのような不良タンパク質は分解され再利用されます。また、食事から十分な量のタンパク質が摂取できていない場合は、体の中の正常なタンパク質であっても分解して再利用しようとするのです。

それをするのが、オートファジーとユビキチンプロテアソーム系のリサイクル屋です。

タンパク質が不足すると筋肉などのタンパク質が再利用される

オートファジーという言葉は大隈良典教授がノーベル賞を受賞したことでご存知のことと思いますが、ユビキチンプロテアソーム系という言葉はあまり馴染みがないと思います。

どちらもリサイクル屋なのですが、オートファジーは体(細胞)がタンパク質(アミノ酸)を必要としたとき、特に何も考えずに、そこら辺にあるタンパク質をぱくぱくと食べて(自食)再利用しようとします。

対してユビキチンプロテアソーム系では、きちんと目標のタンパク質に目印(ユビキチン)を付けてから選択的に分解します。このときの選択対象となるのが、不良品のタンパク質であったり、ほとんど使われることがなくなったタンパク質です。ですので、あまり使われていない筋肉があればそれもリサイクルの対象になります。

リサイクルの回数が多くなれば、それだけ古くなったアミノ酸が使い回しされるということになります。これが家であれば、古くなった柱や窓を何回も再利用するということです。新しい材料で建てられた家のほうが安心できるのと一緒で、タンパク質も新しいアミノ酸で作られたほうが安心できます。

このことから、人間は十分な量のタンパク質を普段から摂取しておくことが必要であると言えるでしょう。特にハードなトレーニングを行う人は、普通の生活を送っている人に比べて少なくとも1.5倍程度は多く摂取しておきたいものです。

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タンパク質摂取時の考え方と注意点

タンパク質の1日あたりの摂取量の目安は?

そこで気になる1日あたりのタンパク質摂取量ですが、普通の生活を送っている人であれば、体重1kgあたり1gで計算するのが良いでしょう。70kgの体重の人であれば70gとなります。筋トレを行っている人は、その1.5倍から2倍程度と言われています。

ただし、タンパク質摂取量だけにフォーカスしてしまうと片手落ちとなります。タンパク質の量が足りていたとしても、質が悪ければせっかく摂取したタンパク質も体内で役に立ってくれません。

そこで、この質を考えるときに役立つのが、プロテインスコアやアミノ酸スコアといった概念です。これは、人体が要求するアミノ酸比率と、食材に含まれるタンパク質のアミノ酸比率を照らし合わせて付けられた点数です。つまり、人体のアミノ酸比率に近い比率を有する食材ほど高得点になります。

そのため、スコアが100点に近いほど、良質タンパク質であると言え、もし100点であればそれは満点のタンパク質であると言えます。決して味や鮮度のことを言っているのではないので、混同しないようにしてください。

厚生労働省の指針では、成人男性の一日あたりのタンパク質摂取量は60g(体重1kgあたり0.9g程度)となっています。しかし、ストレスなどにさらされるとアミノ酸の必要量が増加しますので、普通の成人男性の1日あたりの摂取量は少なくとも体重1kgあたり1gとしておいた方が無難です。
※ WHOの推奨摂取量は0.66g/kg体重となっており、日本食品標準成分表(文科省)ではこの数値を採用しているようです。
厚生労働省は高齢者のフレイル(虚弱)予防のため「65歳以上の高齢者は体重1キログラム当たり少なくとも1グラム以上のたんぱく質の摂取が望ましい」(2019年2月22日 日本経済新聞)と発表しました。
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プロテインスコアとアミノ酸スコアの違いと計算方法

プロテインスコアとアミノ酸スコアの違いはいったい何なのでしょうか。

両スコアとも、ある基準値と比較して算出されるのですが、その基準値は、人体が要求するアミノ酸比率から導かれています。そして、この計算に用いられる基準値が、プロテインスコアとアミノ酸スコアで異なるため、各スコアの値も違ってくるわけです。(これは基準値を変えればスコアはいくようにも変えることができるということを意味しますので注意が必要です)

また、プロテインスコアとアミノ酸スコアを計算する上で参照される基準値テーブルの呼び方も異なります。

プロテインスコアの場合は「比較タンパク質」、アミノ酸スコアの場合は「アミノ酸評点パターン」と呼びます。両方とも単位は[mg/窒素1g]ですので、呼び名と数値が変わっているだけで性質的には同じものだと考えてください。なお、基準値テーブルに乗っかるアミノ酸は必須アミノ酸です。

「比較タンパク質」は、1995年に国際連合食料農業機関(FAO)によって設定され、その後、改定版として「アミノ酸評点パターン」が、1985年にFAO/WHO/国連大学(UNU)によって設定されました。
必須アミノ酸とは、トリプトファン、ロイシン、リジン、バリン、スレオニン、芳香族アミノ酸(チロシン+フェニルアラニン)、含流アミノ酸(メチオニン+システイン)、イソロイシン、ヒスチジンの9つを指します。これらは体内で合成できないため、食事から摂取しなければなりません。そして、残り11個のアミノ酸は十分な量を体内で作り出すことができるということになってますので、必須アミノ酸には入っていないのです。
しかし、強いストレスにさらされた場合など特殊な条件下では注意が必要です。その場合はグルタミン等の特定のアミノ酸の需要が増え、体内での合成が追いつかなくなることもあります。ですので、必ずしも必須アミノ酸のみを摂っておけば大丈夫ということではありません。条件によっては必須以外のアミノ酸を別途摂取する必要も出てきます。

卵と大豆のスコアを計算してみる

上記の基準値テーブルをエクセルに打ち込んだらスコア計算は簡単です。食材のアミノ酸組成を各項目に入力し、[アミノ酸組成 / 基準値 x 100] で計算するだけです。

このとき、算出された最も低い値に注目します。それが100を超えていればその食材のスコアは100となり、最も低い値が100よりも小さければ、その値がその食材のスコアとなります。つまり、プロテインスコア、アミノ酸スコアともにMAXは100であり、スコアは最も小さい値で決定されるということです。

また、100以下の値となったアミノ酸のことを「制限アミノ酸」と呼び、その制限アミノ酸が複数ある場合は、第一制限アミノ酸、第二制限アミノ酸、などど名称に順番を付けて呼ぶ事になります。

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リービッヒの最小律

この制限アミノ酸という考え方は「リービッヒの最小律」に基いています。「植物の生長速度や収量は、必要とされる栄養素のうち、与えられた量のもっとも少ないものにのみ影響される」とする説がリービッヒの最小律です。それを人間に当てはめ、栄養素を必須アミノ酸に置き換えると、下図の様な絵を用いて制限アミノ酸を表現できるというわけです。

上図のMinimumが制限アミノ酸に相当すると考えてください。ひとつでも低い部分があれば、それ以上水が溜まる事はありません。つまり、制限アミノ酸の底上げが絶対的に必要であり、仮に他のアミノ酸を大量に摂取したとしても無駄になるだけ、ということを意味しています。(画像:Wikipedia リービッヒの最小律より)

卵のプロテインスコアとアミノ酸スコアの計算

卵の場合、両方ともに最も低いスコアが100を超えますので、プロテインスコア、アミノ酸スコアともにスコアは100となり、栄養比率としては申し分ないものと言えます。

また、ここで気付かれたと思いますが、プロテインスコアの場合、最も低いスコア(表中のオレンジ)はトリプトファンとなり、アミノ酸スコアの場合はリジンです。つまり基準値テーブルの違いで最も低いスコアを出すアミノ酸が変わってくるということです。

それともう一点、プロテインスコアは100をMAXとして表現されますが、実際には100以上の数値も算出されます。もし仮に全ての値が100を大きく上回っているとしたら、それは必須アミノ酸の摂取効率が高い食材であると言えるでしょう。

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大豆のプロテインスコアとアミノ酸スコアの計算

問題はこちらの大豆(黄大豆/乾)のスコアです。制限アミノ酸(表中のオレンジ)に注目してください。

プロテインスコアでは含流アミノ酸が制限アミノ酸となりスコアはわずか67ですが、アミノ酸スコアになるとリジンが最低スコアとなり、それでも100を超えています。つまり大豆は30年で栄養満点の食材になったのです。

これが巷で言うプロテインスコアの方を信用すべきであるという根拠のひとつと言えるでしょう。

ここで計算に使用したアミノ酸評点パターンは1985年に設定されたものです。1973年に設定されたアミノ酸評点パターンの含流アミノ酸基準値は220でした。そこから1985年には160にまで下がっているのです。また、1955年にプロテインスコアの比較タンパク質が設定されたときの含流アミノ酸基準値は270ですので、30年で110下がったことになります。

いったい何があったのでしょうか。科学(アミノ酸の計量方法など)の進歩によりこの値になったとも言えますが、大豆の栄養価を人為的に高めることができれば企業は儲か、、、、後は想像におまかせします。

食材の具体的な必須アミノ酸の数値は文部科学省の「食品成分データベース」から簡単に引っ張ってくることができます。ご興味ある方はお試しください。(本記事使用データは当該システムを介した「日本食品標準成分表2015年版(七訂)からの出典」となります)
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[注意] “アミノ酸評点パターン” 基準値はどんどん低くなっている

ここまでご紹介した、プロテインスコアとアミノ酸スコアの基準値テーブル、ならびに食材のアミノ酸組成は、全て窒素1gあたりのアミノ酸量です。

なんともわかりにくい単位ですが、窒素1gは平均すると6.25gのタンパク質(換算係数:6.25)に相当しますので、上記の各アミノ酸組成を6.25で割れば、タンパク質1gあたりのアミノ酸量をおおまかに計算することができます。

つまり、体重70kgの人はタンパク質1gあたりの「比較タンパク質」もしくは「アミノ酸評点パターン」に70を掛けることで、一日に摂取すべき必須アミノ酸量が計算できることになります。

以下に、「比較タンパク質」と「アミノ酸スコア」のタンパク質1g換算値を表にしましたのでご確認ください。

尚、アミノ酸スコアの推奨摂取量(AP)は「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」に記載されている「2007年アミノ酸評点パターン」(表中⑥) から計算しました。またWHOは体重1kgあたり0.66gの摂取量を推奨しています。(WHOの推奨摂取量は参考として載せたまで、特に突っ込みは不要でしょう)

  • ④は1985年のアミノ酸評点パターン、⑤はそれをタンパク質1gあたりに換算した値
  • 2007年からは窒素1gあたりではなく、タンパク質1gあたりのアミノ酸量を表記するようになった模様

一番下の抜粋比較を見ていただくと一目瞭然ですが、③(1955年比較タンパク質で計算)と⑦(2007年アミノ酸評点パターンで計算)を比べると、ロイシン、リジン以外の全てのアミノ酸量が減少しており、合計値では、約20%の減少となっています。

また、2007年のアミノ酸評点パターン改訂の背景として、以下の理由が添えられています。

必須アミノ酸の推定平均必要量
必須アミノ酸の必要量については,長年,1985 年にFAO/WHO/UNU が示したアミノ酸評点パターンをもとにして考えられてきたが,1985 年報告は諸損失分について考慮されていなかったこともあり,2007 年に改訂された。

⑤(1985年:改訂前)と⑥(2007年:改訂後)を見比べると、イソロイシンとバリンを除き、改訂後のアミノ酸量が総じて低くなっています

「諸損失分について考慮されていなかった」とは「人間が吸収できないまま排出される分を考慮していなかった」ということだと思います。

そして「排出されるということは、体が要求していないということ、だからその分は差し引くべし」と考えて、改訂後のアミノ酸評点パターンを設定したのだろうと推測できますが、この考え方には疑問が残ります。

なぜなら、基準となるアミノ酸評点パターンを下げるということは、推奨摂取量もつられて下がることを意味するからです。

厚生労働省は2019年2月22日に、高齢者もタンパク質を体重1kgあたり1g以上摂取するよう呼びかけました。ということは、日本人はどちらかと言えばタンパク質不足であることが伺えます。

タンパク飢餓状態の日本が、WHO/FAO/UNUの発表をそのまま採用して、摂取基準値を下げてしまうのは危険な気がするのです。

間違いなく言えるのは、アミノ酸評点パターンが総じて低くなれば食材(食品)のアミノ酸スコアが高くなるので、いわゆるアミノ酸スコア100の食材(食品)が増えます。これにより、あと一歩でアミノ酸スコア100に届かなかった製品を持つ企業は喜ぶ事になるでしょう。(何やらモ○ドセレクションの栄養版がアミノ酸評点パターンのような気がしてきました)

さらに考えを飛躍させれば、地球上のタンパク資源における需要と供給の関係によって、アミノ酸評点パターンが操作されているのではないかと勘ぐってしまいます。

日本は人口減少の一途ですが、地球規模で考えれば人口爆発期ですから、需要に供給が追いつかなくなってきているのかもしれません。そうであれば、基準値自体を下げることで需要が減り、供給量を抑えることができる、と誰かが考えていても不思議はないでしょう。


色々書いてきましたが、つまりは、いつまでたっても下げ止まらない「アミノ酸評点パターン」をあれこれ考えるより(株価みたいですね)、もう下がる事のない最も信頼できる「比較タンパク質」と「プロテインスコア」をベースに、自分でタンパク質の摂取絶対量を決めた方がいいということです。以上!

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結局のところ「プロテイン」を飲むのが一番

プロテインスコアが100の食材は、卵の他にしじみがあります。ただ、しじみでタンパク質量を満たすのは現実的ではありません。

もし、食事から全てを補おうと考えるのであれば、卵をタンパク質摂取のベース食材として考え、あとは食材ごとに、必須アミノ酸摂取量が突出した分や大きく凹んだ分を食べ合わせで工夫して、結果的に不足が出ないよう調整すれば良いのです。

とはいえ、食べ合わせを考えながら食事をするとなると考えるだけで面倒ではないですか?

それによっぽどの上級者でないと、何と何を食べ合わせれば良いかなんて思い浮かぶはずもありません。

とういことで、ここは素直にプロテインを飲んで食事の不足分を補ことにしましょう。食事量が普通の人であれば、ホエイプロテインを朝と晩20gずつ飲めば、少なくとも30gは摂取できますので、それで十分ではないでしょうか。(激しいトレーニングをせずに普通に生活している人の場合です)

市販されているプロテインのほとんどは、プロテインスコアではなくアミノ酸スコアでの記載となっています。プロテインにアミノ酸組成表などが付いていれば、自分で簡単にプロテインスコアを計算できますので、細かく計算したい方は、あらかじめエクセルなどの表計算ソフトに、基準値テーブル(比較タンパク質)を入力したファイルを作っておくと良いかもしれません。

おまけ

食事からの摂取量を計算する場合は、文部科学省の「食品成分データベース」を活用されるのが良いと思います。ここから数値を引っ張ってきてエクセルで計算すれば簡単です。

上の表は、卵1個、納豆1パック、ごはん1膳(150g)を食べたときの必須アミノ酸量を計算したものです。タンパク質1gあたりのアミノ酸量(うすい水色の値)と、各食品に含まれるタンパク質量をデータベースから引っ張ってきました。推奨摂取量(CP)は、比較タンパク質から導いた、体重70kg(体重1kgあたりタンパク質1g)の人の推奨値値です。

単純に3食を全部このメニューにしたとして、1日あたりの推奨摂取量(CP)と比べると、イソロイシン、含硫アミノ酸、トリプトファンが足りない事がわかります。(緑の合計値を3倍して比較)

このとき、卵1個より納豆1パックの方がタンパク質量が多いからといって、納豆をもっと食べようと思ってはいけません。メチオニンが少ないため、含硫アミノ酸値がなかなか上がってくれないのです。

こういうときは卵を食べてください。卵はプロテインスコア100ですので、バランスよく必須アミノ酸摂取量を上げてくれます。

でも結局は、プロテインを飲めばいいんです。そして飲むならホエイプロテインです。(次の記事でホエイとソイプロテインの違いを紹介します)

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タンパク質の理解を深める厳選4冊!

もっとタンパク質の理解を深めたい方向けに、私がこれまで読んできた本の中からこれだけは読んでおきたいと思われる厳選4冊をご紹介したいと思います。難しく書かれた本は結局何が言いたいのかよくわからないまま終わってしまうことが多いため、一般書の中からの選定です。

【1】「細胞の中の分子生物学 最新・生命科学入門」森 和俊 著

著者の情熱が伝わる1冊です。入門とありますが生物学初心者の私にとっては少々難解でした。何度か挫折しかけましたが、著者の「読者にわかりやすく説明しようとしている情熱」が私を後押しし、読破する事ができたように思います。分子生物学の基礎を習得するには最適な本ではないでしょうか。

【2】「タンパク質の一生 生命活動の舞台裏」永田 和宏 著

著者のタンパク愛が感じられる一冊です。素人の私でも非常に読みやすく、知的好奇心をだいぶくすぐられました。最後まで飽きずに読むことができます。順番は【2】としてますが、こちらから先に読んで、その後に【1】を読んでもいいかもしれません。(実際にはこちらの本から読みました)

【3】「高タンパク健康法」三石 巌 著

巷では高タンパク食は健康に悪いなどと言われますが、この本を読めばそんなことは言ってられないとわかるはずです。約30年前に書かれた本のリメイク版ですが、「100年経っても腐らないのが本当の情報だ」の著者の言葉通り、今読んでも腐っていない情報が満載です。

【4】「アスリートのための最新栄養学(上)」山本 義徳著

本命本の登場です。簡単に理解できる本ではありませんが、【1】【2】【3】を読み終えた後でしたら、きっと大丈夫です。この本の内容が全て理解できれば、自分に合った最も効率の良いオリジナルな栄養摂取法を作り出すことができるでしょう。

アスリートのための最新栄養学(上)にタンパク質の情報が収録されています。下巻は微量栄養素(ビタミン、ミネラル、スカベンジャー)に関する内容です。

Kindle Unlimited会員の方は山本氏の書籍を無料で読むことができます。まだKindle Unlimitedの会員になっていらっしゃらない方には、初回登録30日間無料体験期間が付いてきますので、一度Kindle版で試し読みをして紙書籍を購入されても良いかもしれません。

 


ここでご紹介した本は大きく2つのグループに分けられます。【1】【2】は学問としての分子生物学の基礎知識習得、【3】【4】は分子生物学に立脚した栄養学の基礎から応用、となります。実生活に役立てていくのは主に【3】【4】の内容になりますね。