新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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飛距離を伸ばす瞬発力養成トレーニング プライオメトリクスの基礎知識

ゴルフ筋トレ

いきなりですが、飛ばしには、筋力も必要ですが、瞬発力も必要です。

筋肥大させてマッチョになるだけでも、飛距離は伸びることでしょう。

しかし、せっかく付けた筋肉をより効率的に活かしたいのなら、瞬発力トレーニング “プライオメトリクス”が欠かせません。

 

このプライオメトリクス、プライオは増大、メトリクスは長さや測定という意味を持っています。

しかしこれだと、何のことかさっぱりわかりませんので、要は「筋力を増大させる効果」のことだと、思いっきり意訳して覚えてしまいましょう。

 

身近な例で言えば、その場でジャンプする垂直跳びが分かりやすいと思います。

中腰の状態を先に作ってジャンプするのではなく、直立状態から沈み込んでジャンプしたほうが、より高くジャンプできますよね。

当たり前ですが、後者のように「反動」を使ったほうが、運動効率は高くなります。

つまり、この反動の付け方がうまくなるよう練習するトレーニングが、プライオメトリクストレーニングであり、このことが瞬発力養成トレーニングであると言われる所以となっているのです。

 

プライオメトリクスの実態は、SSCの効果によるもの

見出しにある、SSCとは何のことでしょうか。

これは、主に筋肉の伸張反射と腱の弾性効果によって生じる “ストレッチ-ショートニングサイクル” のことで、筋肉の急速な伸長に対する体の自然な反応のことを指します。

 

以下、「瞬発力トレーニングアナトミィ(ガイアブックス)」からの引用です。

筋肉と腱のコンビネーションが急速に伸ばされると、神経系が筋線維の大部分を動員して反応し、運動方向を逆転させようとより大きな力を生み出します(Komi 1984)。筋腱複合体は筋紡錘の繊維を経由して急速な伸長を感知します。筋紡錘は、筋中に存在する特殊な感覚器です。筋紡錘の繊維は筋肉の伸長と伸長の速度を監視し、強力なコンセントリック収縮(注:短縮性収縮)で反応します。この自然に備わった筋肉の急速な伸長に対する反応があるおかげで、アスリートが敢えて筋肉を強力に収縮させようと考えなくても瞬発的な動きが起こります。

 

つまり、SSCとはこういうことです。

  • 筋肉の急速な伸長に対する体の自然な反応のこと
  • 筋肉と腱が伸ばされると、神経系の作用により、運動方向を逆転させる大きな力が生み出される
  • 敢えて収縮させようなど考えなくとも、瞬発的な動きが起こる

 

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「筋肉が伸ばされれば自然と大きな力が発生する」なんと便利なシステムでしょうか。

しかし、注意点もあります。

プライオメトリック運動のエキセントリック収縮(伸張性収縮)の開始から、コンセントリック収縮(短縮性収縮)の開始までをアモチゼーション(償却)局面または移行局面と呼びますが、長いアモチゼーション局面はパワーロスに繋がってしまうのです。

 

トップで体が止まってしまうようなスイングをされている方は要注意。

パワーロスを最小限に抑えたければ、速やかに切り返すよう心がけましょう。

アモチゼーション局面を短くするのが、パワフルなプライオメトリック動作のコツです!

 

とはいえ、「松山英樹プロや藤田寛之プロ、彼らはトップで止まっているじゃないか!」と主張する方もいらっしゃることと思います。

しかし、彼らの切り返しのアクションをよく思い出してください。トップでピクピクと2回程度反応する、いわば二段モーションのように見えます。

つまり、一度は止まるが、そこからもう一度勢いをつけ直して切り返していると考えられるのです。

完全に静止した状態から動的な動作に移行することの難しさがここに見え隠れしますが、彼らと同じようなスイングであっても、飛距離が変わらないという方・不自由を感じないという方は、もしかすると、RFD(Rate of Development)に優れた筋肉をお持ちなのかもしれません。

RFDとは、筋力発揮率のこと。筋力発揮開始時から筋力上昇時における筋力の変化の様に着目した指標で、一定時間内に筋力がどの程度上昇するのかを見ることができます。

つまり、RFDの勾配が急である人ほど、爆発的に力を発揮できる人、と評価ができるわけですが、多くの人は結局、切り返しで反動を使ったほうが楽だと感じると思いますし、あえて言うなら、SSCのみを意識するようにした方が力まずにスイングできると思います。

あまり難しく考えずに、SSCもRFDも運動にとって大切なのは間違いないのですから、どっちを使うというより、どっちも高めると考えた方が賢明です。

トレーニングや練習を積んで、「SSCもRFDも無意識下で向上している」という状態を作り出すのがベストなことは言うまでもありません。

負荷は軽いものから重いものへ

プライオメトリクスを実施する上での注意点が、負荷が軽いもの(または簡単なもの)から始めて、重いものに(または難しいもの)に移行していくという原則を守ることです。

また、今回参考にさせていただいております “瞬発力トレーニングアナトミィ(ガイアブックス)” には、「体重の1.5倍の負荷をかけたスクワットができること」という筋力の目安(脚部のプライオメトリクスの場合?)が示されていますのでご注意ください。

 

反動を使ったトレーニングという性質上、結構ケガをしてしまうことも多いらしく、運動不足の人がいきなりフルパワーのジャンプなどやってしまうのはいただけません。

体重も標準の範囲内で、普段からダッシュなど難なくこなしている人は問題ないと思いますが、(かつての私のように)太り気味で、飲み会の帰りにラーメンで締めるのが日課のような生活をしている方は、特に注意が必要です。

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下半身・上半身のメイン種目を考える

下半身は、当然ながらジャンプ系のトレーニングがメインとなることでしょう。

両脚系 → 片脚系のトレーニングに移行していくのが一般的なようです。

 

上半身は、道具を使わなければクラッピング・プッシュアップ(空中で手を叩く腕立て伏せ)など、道具を使うのであればメディシンボール投げなどが考えられます。

しかしながら、効果がありそうなのは、プッシュアップ系の種目よりも、メディシンボールを使ったトレーニング。

ゴルフスイングの切り返しでは、背中の筋肉に張りを感じるはずですから、体幹全体を使ってボールを投げ、背中の筋肉に意識を感じることができるメディシンボール投げのほうが優れていると思われます。

下半身のプライオメトリクス

下半身のトレーニングに関しては、着地の際の衝撃を緩衝してくれるボックスジャンプからスタートするのが良いかと思います。

公園に行って回りを見渡せば、結構いい感じの段差は見つかります。膝あたりの高さ辺りからチャレンジしてみるのが良いかもしれません。

(瞬発力トレーニングアナトミィより)

 

ボックスジャンプは着地の衝撃を緩衝してくれるというメリットがありますが、最近よく見かけるジャンプ打法のことを思えば、ポゴジャンプ(アンクルホップ)スクワットジャンプ、そしてスプリットジャンプ(ランジの姿勢からのジャンプ)に効果がありそうな気がしています。

これら3つであれば、平らな床があればどこでもできますので、手軽にトレーニングできることでしょう。

Youtubeで検索すれば、詳しいやり方を説明した動画が多数見つかりますので、ご興味ある方はそちらを参照してみてください。こればっかりは、本よりも動画を見るほうが理解力が高まりますので。

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上半身

メディシンボール投げのレパートリーは多岐にわたります。

そのため、何をやったらいいのか判断に困ってしまいますが、こういうときは、米PGA Tour選手のトレーニング風景を見るのがベスト。

以下、ダスティン・ジョンソンのメディシンボールを使ったトレーニング風景のご紹介です。

Allegheny Fitness: Dustin Johnson

ダイジェスト版ですが、大まかなところが見えてきたのではないでしょうか。

 

もし丈夫な壁が近くにあればという話ですが、こちらのトレーニングもすごく効果がありそうな気がしています。

壁から跳ね返ってきたボールを、体幹をひねりながら受け止めることで背中の筋肉にストレッチがかかり、そのままの勢いで壁に投げ返すという動作、つまりSSCそのものの動作を連続的に行えるためです。

Medicine Ball Rotational Golf Power Exercises

かのベン・ホーガン氏も、この動作を徹底的に練習したんだとか。

ただ、ホーガン氏は「ネットに向かって投げる」とモダン・ゴルフに書いてありましたので、跳ね返ってきたボールの反動を利用したストレッチの恩恵は受けられていないものと思われます。

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最後に

今回の記事は、全面的にガイアブックスさんの”瞬発力トレーニングアナトミィ” を参考にさせていただきました。

他にも数冊、瞬発力系トレーニングの本に目を通したのですが、私にはこの本が最もわかりやすいと感じられましたのでお勧めです。

全編カラーで、各トレーニングにおいて使用される筋肉なども詳しく載っておりますので、ご興味ある方はどうぞ一度読んでみてください。