新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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筋発達のメカニズムを知る ~超回復とストレス応答、そしてフィットネス-疲労理論へ~

ゴルフ筋トレ

筋トレを始める前に、まず最初に知っておかなければならないことがあります。それは、筋発達のメカニズムです。

皆さんご存知の通り、筋肉は普段受ける刺激よりも大きな刺激が与えられれば発達します。

基本的にはこのロジックを理解しておくだけで問題ありませんが、より効率的に成果を求めるのであれば、生体内で起こっている現象まで把握しておかなければなりません。

mTORとミオスタチン

mTORとは、哺乳類などの動物で細胞内シグナル伝達に関与するタンパク質キナーゼ(セリン・スレオニンキナーゼ)の一種であり、DNAの転写・翻訳、成長因子、細胞のエネルギー、酸化還元状態など様々な細胞内外の環境情報を統合し、細胞の成長を調節するシグナル伝達経路になります。

・・・・少々ややこしいですが、筋トレを通じて刺激を与えることは、このmTORを活性化することと同義。それにより、筋力向上や筋肥大が起こるくらいに覚えておきましょう。

 

また、筋肉の成長を促すものがあれば、抑制するものもあります。それが、ミオスタチンです。

ミオスタチンは、生命維持に必要なタンパク質を体内から調達してくる役割を担っているのですが、もしハードな筋トレなどで、筋肉合成のためのタンパク質が不足してしまったら・・・・ミオスタチンが、よその筋肉を分解して、強引に調達してくるのです。

ですので最近は、「筋トレ後ではなく、筋トレ前にプロテインを飲みましょう」という話になっているわけですね。

 

筋肉の合成が分解よりも優位になれば、当たり前に筋肉は発達します。

しかし、栄養摂取が不十分なときは、上述の通り、ミオスタチンの働きがありますので、よくてタンパク質がぐるぐると体内をめぐるだけ。それだけならまだいいのですが、筋トレにより傷ついた筋肉を修復し、体内で化学反応を起こすための酵素の取り分まで考えると、最終的に減っていくことのほうが多いように感じてしまうのです。

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超回復とストレス応答

筋トレを行っている人にとって、超回復とは大変身近な言葉だと思います。

超回復とは、「トレーニングによって筋肉が損傷されると、次回同レベルの刺激が加わった時、また壊されると困るので、筋肉を今以上に強く、大きくしておこうと言う作用が働くこと」です。

この現象自体に間違いはないと思いますが、どうやら、筋肉の超回復と筋グリコーゲンの超回復が混同され、勘違いされていた経緯もあるようです。

超回復とは筋グリコーゲンの超回復のことだった

グリコーゲンとは、ブドウ糖(グルコース)によって構成される多糖類のことで、簡単に言えば筋肉に貯蔵されるエネルギー源です。

エネルギー源ですから、筋トレをすると当然消費されます。

そうすると、この筋グリコーゲンも次回に備えて、元の水準以上に蓄えられることになります。

この筋グリコーゲンの回復が、いつしか「筋肉の超回復」となってしまったというわけです。

ストレス応答が筋発達の正体

ストレスとは、皆さんが思い描くストレスのことで間違いありません。そのうち、トレーニングによって与えられる刺激が、筋肉にとってのストレスであるとお考え下さい。

正常な生命活動をおびやかすものを総称して「ストレッサー」と呼び、それに対する身体の反応のことを「ストレス」と言います。

私たち人間の身体は、ストレスを感じるとそれに適応しようとするのですが、この適応は「警告反応期」「抵抗期」「疲弊期」の3段階に分けられます。

例えば、筋トレをして筋肉痛が起こりそれが治まる時期は「警告反応期」、筋トレを続けて筋肉が発達している時期は「抵抗期」、ハードにやりすぎてオーバーワークになったり、ケガをしてしまった状態が「疲弊期」となります。

筋肉が主に発達するのは「抵抗期」にあるときですから、この期間にずっと滞在できるよう十分注意を払う必要があります。

筋発達はトレーニングの刺激によるストレスに適応しようとして起こります。いわば、生命維持のための防衛反応を利用して、筋肥大/筋力向上を目指すということになりますね。

只々、がむしゃらにやっても待っているのは「疲弊期」です。ここに入り込んでしまうとなかなか抜け出すことができません。休息もトレーニングの一部と考え、自分にあった程良いメニューを組み立てましょう。

でも、結局のところ超回復に変わりはない

とはいえ、ストレス応答が筋肉発達の正体だったとしても、結局のところ超回復に変わりはないとおもいませんか?

筋肉発達のロジックは、「トレーニングによって筋肉が損傷されると、次回同レベルの刺激が加わった時、また壊されると困るので、筋肉を今以上に強く、大きくしておこうと言う作用が働くこと」に変わりはないのですから。

ですので、超回復がグリコーゲンの回復と混同されていたにせよ、それは過去の単なる勘違いであって、今後は正しい意味で「(筋肉の)超回復」を言葉として用いれば済む話なわけです。

つまり、ストレス応答は、超回復理論の中で起こっていることを説明したもの。

したがって、筋肉が発達する仕組みは?と問われれば、「超回復」と答えるべきで、その実体は「ストレス応答」である、と言うのが本当のところではないでしょうか。

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フィットネス-疲労理論

「フィットネス-疲労理論」とは、トレーニングによって得られたフィットネス(出力)と、それによって受けることになった疲労の関係性を説いたものです。

例えば、ベンチプレスをしてフィットネス(出力)がやる前の段階よりも10上がったとします。しかし、トレーニングをすれば当然疲労もたまるはずで、その疲れ具合が20にだったとすると、トータルで差し引きマイナス10となります。

つまり、この理論を適用することで、全体的なパフォーマンスが10落ちてしまった、などど判断できるようになるわけです。

 

超回復理論には、パフォーマンスの概念が含まれていません。

ですので、特に継続的な成長を望むような場合に、超回復理論だけを拠り所にするのは少々危険であり、結果的に「筋トレ逆効果説」までをも生み出しかねないのです。

「フィットネス-疲労理論」のように、疲労の概念を取り込むことで、オーバーワークを防ぐことができます。

また、パフォーマンスの概念も含まれていますので、シーズン中でも、競技の結果を残しながらの体力向上が可能になるような気がします。

気になる方は、この辺りの情報収集をしておくと良いでしょう。

手近なところではAthleteBodyさんの記事を、じっくりと理解を深めたい方は河森氏の「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」を参照されると良いかと思います。

超回復理論からフィットネス・疲労理論へ - AthleteBody.jp
トレーニングを行うと身体にたくさんの反応が起こります。それに合わせて、トレーニングを調整するための「フィットネス・疲労理論」というものがあります。超回復理論のアップグレード版と捉えても良いかもしれません。

<関連記事>

知識の土台を築くには、”競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方” が役に立つ
ゴルフにウェイトトレーニングは必要なのか。私は絶対に必要だと考えている一人ですが、いまだ懐疑的な方は、つべこべ言わずこの「競技力向上のためのウェイトトレーニングの考え方」を読んだほうが良いと思われます。どストレートに、アスリートにとってウェイトトレーニングが必要な理由を教えてくれますから。
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まとめ

超回復とストレス応答、そしてフィットネス-疲労理論。

最近はトレーニングプログラムの策定に、超回復理論 VS フィットネス-疲労理論という図式があがっているようですが、個人的には、超回復理論とフィットネス-疲労理論を対比する構造自体に違和感を感じています。

というのも、超回復はあくまでも筋肉がでかくなる仕組みを説いた原理的なものでしかないような気がするためです。

ですので、いまのところ私は、超回復とフィットネス-疲労理論は別物だとして捉えることにしており、もっと言えば、フィットネス-疲労理論は超回復理論を包括した上で成り立つもの、と解釈するようにしています。

この辺りは、上記のAthleteBodyさんの記事や、河森氏の書籍をお読みになってご判断ください。

 

尚、mTORやミオスタチン、ならびに筋グリコーゲン回復等のお話については、主に山本義徳氏の「ウェイトトレーニング ー理論編ー」を参考にさせていただきました。

こちらも併せてお読みになることをお勧めします。