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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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高身長ゴルファーに飛距離で勝つためのパワーアップ戦略

ゴルフ筋トレ

2019年の米ツアー・日本ツアーにおけるドライビングディスタンスランキング上位100人の平均飛距離を計算したところ、米ツアーが300.9ヤード、日本ツアーが287.5ヤードでした。

その差13.4ヤード、アイアンで1番手強の飛距離差に相当します。(※ PGA TourならびにJGTOサイトからデータを抽出)

 

この飛距離差の要因は何のなのか、真っ先に思い当たるのが身長差(体格差)ではないでしょうか。

身長が高ければ、相対的に筋肉量も多くなる。また、スイングアークも大きくなりますから、飛ばしにとってはいいこと尽くめです。

しかし残念なことに、大人はこれ以上身長を伸ばすことはできません・・・・。

 

であればどうするか。

飛ばしの技術力を高めることはもちろんのこと、フィジカルを強化するしか方法はありません。

ということで今回のテーマは、パワーアップ

パワーと力の関係性を紐解いて、欧米人にもひけをとらないパワーアップ戦略を立ててみたいと思います。

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パワーと力は別物です

パワーアップ戦略を立てる上で知っておかないといけないのが、パワーと力は別物だということです。

パワーとは仕事率のことであり、力とは明確に区別されていますので、混同しないよう注意しましょう。

 

パワー = 仕事/時間 = 力 x 距離/時間 = 力 x 速度

 

例えば、50kgの荷物を2m先に運ぶとします。Aさんは1秒、Bさんは2秒かかりました。この場合、両者ともに50kgの荷物を2m先に運んだのですから、こなした仕事の量は同じになります。

しかし、その仕事にかかった時間は1秒と2秒。つまり、仕事の効率が異なるわけで、AさんはBさんの2倍のパワーを発揮したことになるわけです。

 

パワーの意味を理解したところで、もう一度、パワーの公式を眺めてみましょう。すると、パワーアップに必要な条件が見えてきます。

  1. クラブの重量(荷重)を重くする
  2. ヘッドスピード(速度)を上げる
  3. スイングアーク(距離)を大きくする

 

箇条書きにすると至極簡単。しかしながら、重量とヘッドスピードは実際問題トレードオフの関係にあり、スイングアークの大きさは身長に依存しますので、一筋縄ではいかないのが現状です。

とはいえ、ヒトはトレーニングを通じで筋力をアップすることができます。

身長は伸ばせませんが、重量とヘッドスピードの間にあるトレードオフの関係を、筋トレによって打ち破ること(重量増によるマイナスの影響を最小限にすること)は不可能ではありません。

パワーとは、[力 x 速度]のことです。

できるだけ速い速度で、大きな力を使うことが、パワーアップの秘訣です。

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筋肉が長いほど、筋速度は速くなる

筋肉が長いほど、筋の収縮スピードが速くなる・・・「パワーアップの科学金子 公宥 著)」という本にそう書いてありました

なぜ、筋長が長くなると収縮スピードが速くなるのでしょうか。

それは、筋節(弛緩状態で約2.5㎛)と呼ばれる筋原線維を構成する最小単位の組織が直列に並んでいるためです。

 

(パワーアップの科学:金子 公宥 著、より引用

 

各筋節における単位時間当たりの収縮距離に違いがなければ、直列に並んだ筋節の数が多いほど、一塊の筋肉の収縮距離は大きくなります。

ゆえに、筋長が長ければ長いほどその分筋節の数も多くなりますので、収縮速度も速くなるというロジックが成り立つわけです。

 

また面白いことに、この本によれば、単位長さ当たりの筋肉の収縮スピードに男女差は見られないとのことでした。

筋長1cmあたりの理論的最大速度は、

  • 男子:4.03cm/秒
  • 女子:4.09cm/秒

筋肉の最大速度に性差がないとは非常に興味深い情報ですね。

 

とはいえこれは、対象の筋肉に全く負荷がかかっていない理想状態でのお話です。

実際の運動においては、自身が持つ身体部位の重量が荷重としてかかってきますし、男子の方が筋長も長いわけですから、これらを考慮すると男子の筋速度の方が速くなるとのことでした。

ということはやっぱり、身長も筋肉もでかいほうが有利であるという理屈が成り立ちますね。

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最大筋力をアップすれば、最大パワーも増加する?!

筋力=パワーではありませんが、最大筋力と最大パワーは比例関係にあるようです。

 

(パワーアップの科学:金子 公宥 著、より引用

 

横軸が力、縦軸(右側)がパワーを表しています。上に凸の形をした曲線のグラフに注目してください。

自転車、サッカー、短距離、長距離と種目が違うため一概には言えませんが、最大筋力が大きい選手ほど、最大パワーも大きい傾向にあることがわかります。

 

前述の通り、最大筋速度は筋長によって決まりますが、最大筋力は筋断面積に比例します。パワーアップを図るのであれば、素直に筋トレに励むべきです。

 

(パワーアップの科学:金子 公宥 著、より引用

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最大パワーが発揮される至適重量の存在を知る

「パワーアップの科学」によれば、最大パワーは、最大筋力の30%程度の力(荷重)を扱ったときに発揮されるとのことでした。

ゴルフスイングは全身の筋肉を使った運動ですから、最大筋力がいったいどの程度なのか推測すること自体難しいわけですが、上記の法則に従い、ドライバーの重量が概ね300gという事実から逆算すると、だいたい皆1kgぐらいが振り切ることのできる最大荷重になると思われます。

 

とはいえ、この1kgはあくまでも目安。

筋骨隆々な人は、当然ながら最大筋力が大きくなるわけですから、至適重量(30%荷重)も大きいものになります。

したがって、ヘッドスピードが上がるからという理由だけで、安易に軽いクラブに手を出すべきではありません。仮に、ヘッドスピードが上がったとしても、パワーの面でロスしてしまう可能性があるわけです。

キャメロン・チャンプは60g台のシャフトをドライバーに挿しているようですが、彼の体格から判断すると、それは軽すぎるようにも感じてしまいます。

繰り返しますが、パワーとは[力 x 速度]。力(荷重)が小さくなれば、パワーも減少します。

運動量から考えるクラブ重量

運動量とは、物体の運動の激しさを表す物理量です。計算式は簡単で、[質量x速度] で表すことができます。

 

ここで、300gのドライバーを使って50m/sのヘッドスピードを出すことができる人がいたとしましょう。

この時の運動量は、0.3(kg)x 50(m/s)= 15 [kg・m/s]となります。

 

次に、350gのドライバーを振ってみます。しかし、クラブが重くなったからでしょうか、ヘッドスピードが47m/sに落ちてしまいました。

とはいえ、この時の運動量は、0.35(kg)x 47(m/s)= 16.45 [kg・m/s] 。数値的には300gのときより大きくなっています。

 

どちらが飛ぶと思いますか?後者ですよね。

クラブは軽いほうがいいという、ヘッドスピード至上主義的な考え方は見直されるべきだと思います。

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まとめ(高身長ゴルファーに勝つために)

まずは、高身長ゴルファーにどうやっても勝てない要素を再確認しておきましょう。

  • 最大筋速度:筋長が長いほど、筋肉の収縮スピードが速くなるため
  • 距離:高身長ほど、スイングアークが大きくなるため

 

次に、身長に依存しない努力次第でどうにかなりそうな要素を見てみます。

  • 最大筋力:筋断面積に比例する(1cm2あたり6.5㎏)

 

最後は結論、高身長ゴルファーに勝つための方法です。

  • 筋トレに励み、最大筋力をアップさせることで、最大パワーをアップさせる
  • ヘッドスピードとのトレードオフに留意した上で、最大限重いクラブを選択する
  • シャフトを長くしてヘッドの可動距離を稼ぎ、スイングアークを大きくする

 

とどのつまり、重くて長いクラブを扱えるだけの筋力をつけることが、高身長ゴルファーに勝つための秘訣であるわけです。

 

余談ですが、デシャンボーは今後48インチのドライバーを試すらしい。個人的にはこれこそまさに、日本人プロがやるべきことに思えます。

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参考書籍