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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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【スイング探究】股関節は上半身と下半身をつなぐ巧みな連結・連動機構

スイング探究

私は、アドレス時の前傾姿勢が、ゴルフスイングを難しくしている主要因だと考えています。なぜなら、この前傾の存在によって、上半身と下半身が少なからず分断されるためです。

前傾がないときは、地面から体幹まで一本の回転軸を形成できますが、前傾が入るとそう簡単にはいきません。

股関節から骨盤を前傾させるとすると、当然、股関節で軸が折れることになり、体幹軸は傾きを持つことになります。見かけ上、上半身と下半身、それぞれに傾きの異なる軸が形成されてしまうのです。

にもかかわらず、私たちはそれほど苦労することなく、地面に転がっているボールを打つことができています。これは、股関節という非常に自由度の高い関節のおかげであると言えるでしょう。

股関節は上半身と下半身をつなぐ連結・連動機構。股関節をうまく使うことが、スムーズなゴルフスイングの秘訣です。

上半身と下半身の境目は股関節

上半身という言葉、普段何気なく使っていますが、いったいどこからどこまでが上半身なのでしょうか。

また、上半身と体幹とはイコールなのかそうではないのか、まずはこの辺りをはっきりさせていこうと思います。

 

以前読んだスポーツ科学の本に「体幹とは、四肢を除いた、下は股関節から上は肩のライン(首の付け根付近)まで」といった記述があったように記憶しています。

ゴルフでは、アドレスの基本として「股関節から骨盤を前傾させる」という教えが広く知られていますが、これを上の説明を引用して解釈すると、ちょうど体幹の一番下のラインから前傾させるということになります。

骨盤の上端から上を上半身とするのが一般的かもしれませんが、ゴルフにおいての上半身は、体幹のことを指すとしたほうが理解しやすく、言葉の定義に依存した誤った認識も防ぐことができそうです。

ということで、本記事においての上半身は体幹とイコールであるとお考え下さい。

そして、上半身(体幹)と下半身の境目が股関節です。

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骨盤の仕組み

骨盤とは下図のように複数の骨から構成された部位の総称であり、骨盤という骨が存在するわけではありません。

また、骨盤の中に仙腸関節と呼ばれる関節がありますが(下図、1の仙骨と2の腸骨の間)、動いても1mm程度ということですので、スイング系全体においては、この関節の動きを考慮する必要はないでしょう。

 

1. 仙骨 2. 腸骨 3. 坐骨 4. 恥骨 5. 恥骨結合 6. 寛骨臼 7. 閉鎖孔 8. 尾骨 赤線は骨盤縁(分界線)

(Wikipedia 骨盤より)

背骨と骨盤は、1の仙骨の上面でつながっており、そこから腰椎、胸椎、頚椎とつらなり、頭を支えています。

股関節の仕組み

股関節は上図6の寛骨臼(かんこつきゅう)に大腿骨頭(下図Head)が嵌った構造をしています。

この股関節は、大腿骨頭が球形であることから球関節(臼状関節)と呼ばれ、屈曲、伸展、内転、外転、内旋、外旋の6つの動きを実現することができる、非常に自由度の高い関節です。

ゴルフスイングにおいて腰を回すとは、骨盤を回すことと同義であり、そのためには股関節を動かす必要があります。

 

図のHeadが大腿骨頭 (図:Wikipedia 大腿骨より)

下半身の軸は鉛直方向、上半身の軸は前傾なりに傾ける

ゴルフスイングにおいて骨盤を回すには、地面からの力(地面反力)が必須となります。

ですから、地面反力が地球よりも小さくなる月面においては(月の重力は地球の1/6程度)、スイングスピードも地球より遅くなるはずです。

(アポr11号:月面ゴルフの様子。スイングスピードはどれくらいだったのでしょうか?)

 

地面反力とは重力あってこその力です。

重力は常に鉛直下向きに働きますから、真っ平らな平地であれば、重力は地面と直交することになります。

もし、重力をゴルフの前傾角なりの斜め方向に働くよう操作できるのであれば、前傾という概念は不要となりますが、そんなことは不可能です。

ですから、体の体重を支えるための下半身は、主に地面と垂直な方向に地面反力を発揮し続けなければならず、かつ、地面に転がっているボールを打つため、上半身は前傾させておく必要があります。

つまり、下半身の軸は体重を支えるため重力と同じ鉛直方向が望ましく、上半身の軸は地面のボールを打つため、前傾角なりの回転軸が望ましい、と言えるのです。

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股関節は力の向きを変換する

下半身は上半身の動きに連動して動きますし、逆に、下半身の動きに連動して上半身が動くと言うこともできます。

このとき、上半身と下半身の連動性を保持するのが股関節であることは疑いようもありません。先述したように、股関節は球関節、全身の滑らかな運動の実現をサポートしています。

さらに、上半身と下半身で、軸の傾きが異なることを考慮すれば、力の向きを変換する役割を担っていると言えるでしょう。

ゴルフスイングには地面反力が必須であるということは、下から上方向に力が伝わるのが最も効率が良いということです。

下半身を思いっきり動かしているのに球が飛ばないという人は、下から上に上がってきた力が、股関節で打ち消されてしまっているのかもしれません。

一度、意識を股関節に集中させてスイングしてみてはいかがでしょうか。

人間は、脳で考えることなく、自然とバランスを保てる能力を持っていますから、(足の裏や脚に感覚を持つのではなく)思いきって股関節に意識を集中させてみましょう。

股関節は上半身と下半身をつなぐ連結・連動機構

私は、ゴルフスイングのエンジンは体幹であり、その動きをサポートするのが下半身という考え方です。

下半身に上半身が従属するという考え方もありますが、スイングを俯瞰してみれば、主役となるクラブヘッドの回転運動は背骨軸周りで起こっていることが明らかですし、ヒトの身体の筋肉のうち、40-50%は体幹に存在しています。

ただ、前述したように、ゴルフスイングの力の源は地面反力。基本的に力の伝播は下から上方向になります。

ですので、滑らかな「ムチ的動作」の観点からも、運動は下半身から始まるのが正しいと思われ、下方から伝達された力を、股関節を介して体幹エンジンに送り込むといったイメージがぴったりはまります。

川を流れる水の力が下半身の地面反力、その力を様々な方向に変換するのが水車であり股関節である、という例えは如何でしょうか。(逆にわかりづらくなったのであればごめんなさい)

 

どちらにせよ、ゴルフスイングは、上半身と下半身で異なる軸のもと成り立っていますから、それを連結、連動させる股関節が重要な役割を担うことに間違いありません。

下半身の上下(メイン)左右(サブ)の並進運動を、上半身の回転運動へ変換するのが股関節という見方をすれば、ゴルフスイングを、よりシンプルに考えることができると考えています。

※ 回転するのはあくまでも骨盤を含めた体幹部ですから、下半身(脚)は回転ではなく並進運動となります。

並進運動から回転運動へ遷移させるのが最も効率的な下半身の使われ方だと思われます。これは野球のピッチャーのように、踏み込み足が着地するまでは並進運動、踏み込んだ後急激に回転運動に変わることと同じ原理です。
参考記事:バイオメカニクス的、パワーを生み出す下半身の動かし方

まとめ

スイング全体をたったひとつの回転軸で説明しようとするレッスンも少なくありませんが、そう考えるから逆に難しくなってしまいます。

回転運動は回転軸ありきで語られるべきものですが、実際に回転のメインは上半身、下半身は上下左右の並進運動がほとんどだと思われます。

そして、地面反力は基本的に下から上への並進力。この力は、股関節によって上半身の回転運動に変換されなければなりません。

股関節は上半身と下半身をつなぐ連結・連動機構。股関節をうまく使うことが、スムーズなゴルフスイングの秘訣です。