新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

ゴルフメカ談議へGO!

【スイング探究】プロに共通するヘッドループは右回り ~ 低い手元のインパクトに秘密あり ~

スイング探究

プロゴルファーの動きを見てみれば、ほぼすべての選手が右回りであることに気づくはずです。

何が右回りかっていうと、テイクバックから切り返し、そしてダウンスイングに至るまでのヘッドの動き。

私はこれをヘッドループと呼んでいるのですが、このヘッドループは皆右回りであり、左回りのプロは見たことありません。

正しいスイングができていれば、普通に右回りになるはずですが、切り返しからいきなり打ちに行ってしまうと、多くの場合アウトサイド-イン軌道となり、左回りのカット軌道になってしまいます。

「左回りでもえーじゃないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、プロのスイングが右回りであることに間違いはなく、そこには何か理由があるはずです。

今回は、この辺りの謎を探ってみたいと思います。

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プロの右回りヘッドループを確認してみる

右回りのヘッドループ。この動きが特に顕著なのが、懐かしどころではジム・ヒューリック、現役世代では池田勇太、最近ではマシュー・ウルフになるのではないでしょうか。

ジムとマシューはちょっとばかり極端すぎますから、われらが日本のトッププロ、池田勇太選手の右回りループを確認するところから始めていきましょう。

 

下の動画、池田勇太選手のスイングをご覧ください。

アップライトなテイクバックに、そこからヘッドをループさせダウンスイングに入っていきます。

【スイング動画】池田勇太 ドライバーショット スロー 後方アングル

トップからの切り返しで、ヘッドを大きくループさせることによって、ヘッドを加速させているように見えます。

 

続いて、テイクバックが非常にコンパクトなリッキー・ファウラーの動画です。

極端な右回りループは見られませんが、池田プロとの比較のためにご用意いたしました。

リッキーファウラー アイアンスイング 後方からのスロー動画

リッキーの場合、クラブが上昇していく過程で、既にヘッドが下方に移動しているように見えますから、ループの始まりが非常に早い段階で起こっていると考えてよさそうです。

この早い段階でのループの始まりが、リッキーのあれだけ速いテンポのスイングを可能にしているのでしょう。

 

最後に、マキロイのスイングを見てみます。

ローリー・マキロイ Rory McIlroy【Driver Shot】2020 Genesis Invitational

マキロイの場合は、沈み込みが先の二人よりも顕著であり、この動作がヘッドループに寄与しているように見えます。

最初に見ていただいた池田選手のように大きなループでヘッドを加速させているようには見えませんが、間違っても左回りではなく、右回りのループを描いてることがご確認いただけるはずです。

 

ここで紹介した3名ともに右回りループであることは間違いないのですが、本人たちは決して右回りのヘッドループを狙っているのではなく、もっと他のことを意識してスイングしているはずです。

つまり、右回りのヘッドループはその何かを狙った故の結果であって、目的ではないということです。

では、その目的とは何なのでしょうか?

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手元の低いインパクトを狙った結果説が有力だろう

前章でご紹介したスイング動画では、3人ともインパクトに向かう手元がテイクバックよりも低い位置から出てきているように見えます。(ダウンスイングで、手元が腰のあたりに到達したときの位置)

おそらくですが、プロゴルファーはこの低い手元からのインパクトを意識することはあっても、右回りにヘッドをループさせることに意識は置いていないはずです。

つまり、右回りのヘッドループは結果であり、目的ではない。

言い換えれば、低い手元からのインパクトを意識すれば、勝手に右回りのヘッドループになるということになります。

右回りヘッドループになるスイングアクション

低い手元からのインパクトの結果が右回りループであるとすれば、この低い手元からのインパクトを実現する具体的なアクションが答えとなります。

私の考える具体的アクションを箇条書きとしてまとめましたのでご確認ください。

  1. 切り返しからいきなり打ちにいかない。特に腕や手を使った切り返しからの積極的手打ちは最悪である。
  2. ヘッドの慣性を利用した切り返しを意識する。そのためには、テイクバックで腕を使わず体を使い、慣性でクラブが挙上される感覚を磨く。
  3. 切り返しからローリング(シャフト軸周りの回転)を意識することで、フェースを開きながらダウンに入れるようになるため、低い手元からのインパクト(シャローイング)が可能になる。
1について:

手打ちは一般的に広く知られたBadアクションですが、特に注意すべきは、切り返しから、いきなり手や腕を使って打ちに行く行為です。

低い手元からのインパクトが目的なわけですから、いきなり打ちにいけばそうならないことは明白ですね。

2について:

慣性とは、止まっているものは静止し続けようとし、動いているものは動き続けようとする性質のことを言います。

慣性を利用した切り返しとは、切り返しで速度がほぼ “0” となったクラブヘッドをその場に置き去りにするような切り返しのこと。(静止し続けようとする慣性がを利用する)

置き去りにした状態で、下半身もしくは骨盤から切り返すことができれば、ヘッドにかかる重力によって、クラブは自ずと寝ていくことになるでしょう。

ただし、腕や手を使ってクラブを挙上しトップを作ってしまったのでは、オーバースイングになりますし、そもそも下半身や骨盤から切り返すまでの猶予時間が不足してしまいます。

ですから、テイクバックでも慣性を利用して勝手にクラブが挙上されるような感覚を磨く必要があるのです。(動き続けようとする慣性を利用する)

慣性を利用したテイクバックは、レッスンプロの菅原大地さんの動画がわかりやすい。ご参考にどうぞ。

※これ重要!「上げる」じゃない【クラブは〇〇で上がる⁉】以下の症状の方はぜひご覧ください☆【ミート率が悪い、オーバースイング、手首がほどける、あおり打ち、左足に体重移動できない】
3について:

ここで言うローリングとはシャフト軸周りの回転のことで、回転の方向は左手の掌側になります。

決して、(左)前腕を軸とした、いわゆる「(クラブの) 前倒し」のような回転ではありませんのでご注意ください。

手元の低いインパクトを実現するには、切り返しからフェースが開いた状態をできるだけキープしなければなりませんし、最終的にインパクトでフェースローテーションを入れるためにも、このローリングは必要なアクションとなってきます。

 

体の左サイドでクラブを引っ張っていくことを意識されている方も多いことでしょう。

しかしながら、単純にクラブを引っ張るだけではクラブフェースは開いたままです。

もし、このような症状に悩まされている方がいらっしゃいましたら、試しに切り返しからローリングを入れてみてください。

詳細は以下の記事にまかせますが、このローリング動作により、フェースローテーションが容易となりますし、パッシブトルクも効いてきます。

【スイング探究】フェースローテーション・シャロー・飛距離にお悩みの方必見! ~ローリングに隠された秘密~
野球関連の本で、"ローリング"という言葉を見つけました。なんでも、バット長軸周りの回転をローリングと呼ぶのだとか。それをゴルフに適用すれば、シャフト軸周りの回転となります。ゴルフクラブはL字型ですから、とどのつまり、ローリングはフェースローテーションに大きく寄与するということです。なるほど、これまで腕の旋回運動がフェースローテーションの源だと思っていましたが、その実体はローリングにある。そう考えれば、プロや上級者の言う「フェースを返す意識は持っていない」だとか「フェースターンを抑えて振っている」という言葉の意味が理解できます。
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右回りがジャイロ効果を生みフェースターンを自動化する

低い手元からのインパクトに右回りの秘密があると述べましたが、それと同時にジャイロ効果によるフェースターンの自動化にも期待ができます。

 

野球のピッチャーがボールを投げる時、一見して体幹軸平面と腕振り平面は同一面のように思えますが、実際には別々の平面であり、下図左側に見られるような角度差が存在していることがわかっています。

 

(トップアスリートの動きは何が違うのか:山田憲政著、より引用)

 

この平面間の角度差によって生じるのがジャイロ効果。上図右側のように、右手を回内させる方向にトルクを発生させます。

 

これをゴルフスイングに当てはめて考えてみれば、きっと、フェースターンが自動的に起こるという現実が見えてくるはずです。

上級者やプロがフェースを返す意識を持たない理由が、このジャイロ効果でご理解いただけることと思います。

 

<ジャイロ効果に関しては、以下の2つの記事を参照ください>

【スイング探究】右手の回内を促す野球とゴルフの共通動作 ~能動的フェースターン不要の理~
野球のピッチングとゴルフスイング、ボールを投げる動作と打つ動作という違いはありますが、右手の回旋運動(右投げ、右打ちを想定)に着目すれば、ほとんど同じ理屈で説明が可能です。ボールのリリース、もしくはインパクトにおける右手の回旋運動は、どちらも内側に腕を捻る(回内)方向。この事実により、右手の回内動作がピッチャーであればキレ球を、ゴルファーであればスパッとヘッドが走るキレスイングを生み出していると推測できますが、この時の球の出所、クラブの出所はどちらも肩口からという共通点があります。
【スイング探究】シャローイングが、スイングにキレを生む ~ジャイロ効果によって生じる右手の回内運動~
昨今、何かと話題のシャローイングですが、その一番のメリットは「スピン量の低減」にあると思います。これにより飛距離アップに期待ができるわけですが、しかしながら、シャローイングの効果はこれだけではありません。スイングにキレを生み出す効果もあるのです。ここでいう「キレ」とは、スパッと振り抜かれるヘッドの走り。これは、シャローイングを行うことで自動的に引き起こされるジャイロ効果のおかげです。地球ゴマが倒れそうで倒れないのはジャイロ効果のおかげ、良いピッチャーの投げる球にキレがあるのもジャイロ効果のおかげ、そしてスパンと振り向かれるクラブヘッドもジャイロ効果のおかげなのです。
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マキロイをお手本とする!

右回りループと低い手元のインパクト、誰をお手本にするのか迷うところですが、個人的にはマキロイがベストだと思います。

マキロイのループは、そこまで極端ではありませんが、だからこそ真似もしやすいはずです。

切り返しから沈み込みを入れ、クラブを下に引っ張りながら手元を低い位置に入れたあと、ジャンプするよう体を使うことで、ヘッドを加速していきます。(ジャンプ打法の記事は以下のリンクよりご確認いただけます)

【スイング探究】地面反力を利用したジャンプ打法で飛距離もジャンプアップ!
インパクトで地面を蹴り上げ、あたかもジャンプしながら球を打っているかのように見えるジャンプ打法。一昔前までは、体の上下動を極力抑える打ち方が主流でしたが、今や飛距離が重視される時代。GGスイングなど、地面反力を有効に使う理論が台頭してきたこともあり、上下動に対するアレルギーもだいぶ緩和されてきたように感じています。ところでなぜ、ジャンプするとボールを遠くに飛ばすことができるのでしょうか?今回はその秘密を探っていくことにしました。

 

ここで、お時間ございましたら、もう一度、先にご紹介したマキロイの動画をご確認ください。

ダウンで手元が腰の位置に来た時の左手甲の向きに注目します。(本当はフェースの向きを見るのが良いのですが、ブレブレで見えませんので)

このとき、左手の甲はまだまだ正面(飛球線と平行)を向いており、この事実がマキロイのスイングにローリングが入っていることを物語っています。

 

尚、マキロイのスイングに関しては、みんなのゴルフダイジェストさんの記事も参考になります。

こちらの記事でもヘッドループ(下の記事中ではループターン)について言及されています。

復調・マキロイの飛ばしの秘密。飛距離を伸ばす「ループターン」ってなんだ!? - みんなのゴルフダイジェスト
欧州ツアーのオメガ・ドバイデザートクラシックを2位でフィニッシュし、世界ランキングでもトップ10に返り咲くなど復活の兆しを見せているロリー・マキロイ。マキロイといえば、世界のトップ選手としては小柄にもかかわらず、圧倒的な飛距離を誇るのが印象的。どうしてあそこまで飛ばせるのか? 統計学と科学でゴルフを読み解く専門家、ゴウ...

まとめ

右回りのヘッドループは、正しい動きが出来た結果であり、自然とそうなるアクションであると言って間違いないでしょう。

右回りのヘッドループは作るものではなく、作られるもの。

低い手元のインパクトが、右回りのヘッドループを生み出すのです。