バウドリストの英語表記は “Bowed Wrist”。
弓のように曲がった手首という意味ですが、ゴルフにおけるそれは、トップで左手が掌屈した状態を指します。
このバウドリストが顕著なプロゴルファーとして、真っ先に思い浮かぶのがダスティン・ジョンソン。その他、ジョン・ラームや渋野日向子もバウドリストの使い手とのことです。
個人的には、特段真似する理由もないのかなと思うのですが、スライサーの方やヘッドの返りを感じられない方にとっては、福音となる可能性を秘めていますので侮ってはいけません。
というのも、バウドリストには、フェースローテーションを促す効果があると考えられるためです。
尚、バウドリストの反対はカップドリスト。カップドリストとは、トップで左手首が背屈している状態を指します。
ダスティン・ジョンソンのバウドリストを検証
バウドリストを確認するには、真後ろからのアングルが見やすいはず。
ということで、私がTwitterでフォローしているダスティン・ジョンソン、彼の真後ろからのスイングで確認してみましょう。
Happy New Year! One of my favorite holes at Kapalua! I really like the changes to the course and my new gear this year. @TaylorMadeGolf @adidasGolf pic.twitter.com/FS7J2MWKZN
— Dustin Johnson (@DJohnsonPGA) January 1, 2020
うん。曲がっとる。よう曲がっとる。完全に曲がっとる。
このバウドリストしたダスティン・ジョンソンのスイングを自分なりに解説するとこうなります。
ダスティン・ジョンソンはシャローでありながら、インパクトでは激ハンドファースト、右手でボールを押し潰しているように見えます。
彼が激ハンドファーストにした理由、それは横振りの説明でも述べた通り、シャローではインパクトに向け急激にフェースがローテーションしますから、左へのひっかけミスを防ぐためだったのではないでしょうか。
激ハンドファーストにすることで、シャローによるトルク増大の恩恵を受けることができ、かつ右手でドーンとボールを押すのですから、結果的には、縦と横の良いとこ取りです。
ただし、彼のようにこのスイングがハマった人は激飛びするでしょうが、縦・横2つの要素の組合わせとなりますから難しいことには間違いありません。
(【スイング探究】縦振り・横振りいったいどっち?より抜粋)
前後の文脈を省いていますので、なんのこっちゃようわからんと思いますが、上記は私が以前書いた縦振り・横振り記事のダスティン・ジョンソンのスイング解説です。
ご興味ある方は上のリンクから元記事をたどっていただくことにして、ここで注目いただきたいのは、アンダーラインの箇所「シャローではインパクトに向け急激にフェースがローテーションします」です。
トップでバウドリストの形を作ると、切り返しからダウンにかけて、ものすご~くフェースローテーションしやすくなります。
これは、試してみるとわかりますが、ヘッドが返りすぎじゃないかと感じるくらいです。
ですから、バウドリストにするメリットとしてまず一番に考えられるのが、スライスの矯正。
どうしてもスライスが治らない方は、このバウドリストを試してみる価値大ありです。
ただし、デメリットもあります。
それは、ものすご~くフェースローテーションしやすくなりますから、左へのひっかけミスを引き起こす可能性が高まることです。
それを防ぐためでしょうか。
前述したように、ダスティン・ジョンソンは激ハンドファースト。そして、インパクトでは、体を大きく開いています。
尚、GGスイングの申し子、マシュー・ウルフはトップでシャフトクロスしていますから、バウドリストではなく、左手が甲側に折れたカップドリストになっているはずです。
しかしながら、切り返しからダウンにかけて、左手を掌屈するように使わなければシャローに入れることはできませんので、ダウンスイングの過程でバウドリストに切り替えているのだと推測されます。
インパクトの形をトップで作ってしまうのがバウドリスト
フェースローテーションが出来ていない人は、インパクトで左手が掌屈、右手が背屈した形にはなっていないはずです。
実はこの形、クラブをシャフト軸周りにローリング(回転)させると、一発で作ることができます。
試しに、クラブを持ってデリバリーポジション(ダウンスイングでクラブが平行になる位置)を作って、ローリングしてみてください。
そのまま、手首の形を変えずにインパクト姿勢を取れば、理想的な左手掌屈・右手背屈の形ができているはずです。

私は、ほとんど、いや全てのプロゴルファーが、何らかの形でこのローリング動作を入れていると考えており、ダスティン・ジョンソンやジョン・ラームなど一部のプロは、このローリング動作の入りが通常のプロよりも早く、それがバウドリストとして現出しているのだと考えています。
つまり、従来より言われている「インパクトでは左手掌屈・右手背屈」の形を、どのタイミングで作っているかだけの話。
トップで、左手掌屈・右手背屈を作ってしまうタイプの人にそれが見えてしまったから、バウドリストとわざわざ呼ばれることになったと考えています。
大事なのは、ローリング動作を何らかの形で己のスイングに取り入れることであり、バウドリストをトップで作りにいくことではないと考えています。
まとめ
今回のバウドリスト。
結局は、ローリング動作を入れるタイミングにあるわけですから、やはり癖の一種と捉えるのが妥当であり、新しいテクニックであると言ってしまえば、それは言い過ぎになってしまいます。
とはいえ、前述のようにスライスに悩む人にとっては即効性のあるアクションの一つにもなり得るはずで、そのような方にとっては、テクニックの一種としてのバウドリストを採用するのも有りなのではないでしょうか。