新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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【スイング探究】「α, β, γトルク」を理解して飛距離アップを狙う!

スイング探究

皆さまご存じの通り、ゴルフスイングは回転運動です。

しかし、2次元的に考えてしまうと、説明が非常に難しくなってしまいます。

時計のように、単一軸周りの回転運動であれば、わざわざ「α, β, γ-トルク」など分解して考える必要はありませんが、ゴルフスイングは3次元的な回転運動であり、そのスイング系全体の回転運動は、3つの軸による回転運動が合成されたもの、つまり「α, β, γ-トルク」が合成されたものと考えられているからです。

やはり、主要な軸成分ごとに分解して考えたほうがわかりやすく、理解も深まることでしょう。

【お断り】記事を書くにあたり、いろいろ調べましたが、α、β、γ-トルクの定義自体、かなり曖昧なようです。したがって、考案者の意図するα、β、γ-トルクと、私の考えるα、β、γ-トルクが全くの別物となる可能性も否めません。ですので、本記事の内容は、基本的に私なりの独自の解釈を説明したものと捉えていただきますようお願いします。

※ トルクとは軸にかかる「回転力」のこと。モーメントも同じ意味になります。

ゴルフスイングを3つの系に分解して考える

α, β, γ-トルクを理解するにあたっては、ゴルフスイングという漠然とした一つの塊を、回転軸をベースとした3つの系に分解するところから始めます。

系の名前はわかりやすく、α-トルク系、β-トルク系、γ-トルク系としましょう。

そして、それぞれの系におけるクラブヘッドとの対応関係、ならびに回転軸をあらかじめ明確化しておきます。

対応関係 (ヘッド vs ○○)回転軸
α-トルク系体幹背骨
β-トルク系(左)腕
γ-トルク系シャフトシャフト

α-トルク系

見た目的には、スイング全体を遠目で見た時の系が、α-トルク系であると思ってください。

しかし、そうなると、β-トルク系、γ-トルク系も、α-トルク系に含まれることになってしまいますので、わざわざ分解して考える意味がなくなってしまいます。

一番わかりやすいのは、スイング系全体から、β-トルク系とγ-トルク系の要素を差し引いたものが、α-トルク系だとする考え方です。

そうすると、上表のように、背骨軸周りのヘッドの回転運動が、α-トルク系として定義できるようになります。

α-トルク系 = スイング全体系 – ( β-トルク系 + γ-トルク系)

β-トルク系

腕とヘッドの関係で成り立つ回転運動がβ-トルク系となります。右打ちであれば、左腕とヘッドとの関係になりますね。

γ-トルク系

シャフトとヘッドの関係で成り立つ回転運動がγ-トルク系となります。シャフトとヘッドの関係ですから、ゴルフクラブそのものに発生するトルクとなります。

そのため、飛距離アップへの寄与率は、3つのトルクの中で最も低くなるのではないでしょうか。

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α-トルクのしくみ

α-トルクは、背骨を軸とした回転運動によって産み出されるトルクです。

よって、α-トルクを増大させるには、背骨軸にかかるトルク(回転力)を上げればよいことになりますが、その動力源がどこなのかを考えなければ、飛距離アップにはつながりません。

体幹の一番下の境目が股関節だと考えれば、体幹を貫く背骨の回転力の源は股関節となります。さらに遡れば、股関節の動力源は両脚であると言えるでしょう。

 

地面に接地した足の裏から外力を受け、その外力が両脚の筋肉による内力と共に増大されながら股関節に伝わり、骨盤を回転させる。

腰椎は骨盤に繋がってますから、当然のごとく、背骨軸を回転させるトルクとなります。

 

つまり、地面反力を使うだとか、脚を使うだとか、もっとまとめて下半身を使って飛ばすというのは、結果的に背骨軸にかかるα-トルクを増大させて飛ばすための動作であると言えるのです。

β-トルクのしくみ

β-トルクは、左腕を軸とした腕の回旋運動によって産み出されるトルクです。

皆さんご存じの通り、シャフトが長いほどヘッドスピードは上がります。

それは、力の作用点となるヘッドまでの距離、モーメントアームが長くなるためです。

そこで重要になってくるのが、β-トルクのモーメントアームとはどこなのか、これをきちんと把握しておかないと飛距離アップには結びつきません。

 

緑矢印の距離、これがβ-トルクのモーメントアームになります。

この距離を確保するには、腕とシャフトの間に角度が必要で、一般的には150~160度くらいが適正と言われています。

 

ここで、米PGAツアーのデシャンボーのスイングを思い出してください。

彼のスイングは、腕とシャフトが一直線。この場合のβ-トルクは、どうなってしまうのでしょうか。

おそらく、β-トルクそのものが、スイング系から消えてなくなります。なぜなら、モーメントアームの距離が、ほぼ “0” になってしまうからです。

こうなってしまうと非常にもったいない。

デシャンボーくらいの体格とパワーがあれば、そこまで問題にならないかもしれませんが、一般的な体格の人が彼の真似をしてしまうと、飛距離を大幅に落としてしまうことになるかもしれません。

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γ-トルクのしくみ

γ-トルクは、シャフト軸周りの回転運動によって産み出されるトルクです。

先述の通り、モーメントアームが非常に小さいため、スイング系全体に対するトルク比は、相対的に小さいものとなるでしょう。

 

しかし、γ-トルクを増大させる方法もあることにはあります。

一つは、シャフトスペック的にトルク値が大きいものを使う。

もう一つが、マシュー・ウルフのように、トップでシャフトクロスするようにクラブを挙上し、そこからシャローに振り抜く方法です。

これはもともと、野球のバッティング論に関する本を読んでいたときに得た知見ですが、マシューのように振り抜くと、シャフト軸周りのローリング角速度が上がるのではないかと。

そして、このローリング角速度の向上は、ゴルフのスイングにおいては、γ-トルクを増大させるよう作用するのではないかと、推測できるのです。

 

野球のスイングにおけるローリングとは、バット長軸周りの回転のことで、球をとらえる際、投手方向へトップスピンがかかるようにバットが回転することを言います。

そうすると、ボール(打球)にはホップ回転がかかり飛距離が伸びることにつながるとのこと。

このときの、バットがローリングする速度がローリング角速度です。

では、どのようにしたら、ローリング角速度が速くなるのか。

スイング中バットのヘッドを下に落とす動きが関係していると考えられており、ヘッドを下に落とす量が大きい選手のほうが、小さい選手よりもローリング角速度が大きくなることが報告されています。

 

ゴルフ界でヘッドを落とす量が多い選手と言えば、マシュー・ウルフ。

トップでクラブが立った後に寝る(ヘッドが下に落ちる)動きは、ローリング角速度を上げるのに都合が良いと考えられます。

ゴルフクラブは、シャフトとヘッドに角度がついていますから、このローリング現象は、クラブフェースの開閉に大いに寄与すると思われ、特にγ-トルクの増大につながる、と考えられるのです。

まとめ

「α, β, γ-トルク」の概要を把握したら、あとは練習でこれらトルクが相乗効果をもたらすよう、同調するスイングを作り上げるのみです。

特に、β-トルクの概念は、知らないとデシャンボーのようなスイングになってしまい、みすみすトルクを損することになりかねません。

彼のように、がっちりとした体格とパワーを持っていればそれでも良いと思いますが、標準的な体格とパワーの人は、腕とシャフトの角度を維持したスイングを心掛けるようにしたほうが賢明です。

 

飛ばしは浪漫。α, β, γ-トルクを正しく理解してぶっ飛ばしましょう!