新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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【スイング探究】”巧みさ”を磨き、美しいスイングを手に入れる

スイング探究

ゴルフにおける”巧みさ”とは

スポーツ科学の分野では、”巧みさ”は以下の6つの能力の組み合わせにより発揮されるものと言われています。

  1. 状況把握能力
    視覚、聴覚、皮膚感覚、運動感覚といった感覚能力や状況の予測能力
  2. ポジションニング能力
    四肢(手足)を適切な位置におく能力
  3. グレーディング能力
    力やスピードなどの運動に必要な出力を適切な強さに調節する能力
  4. タイミング能力
    適切なときに運動を出力する能力
  5. 素早さ
    素早く運動を開始したり、素早く運動を切り換える能力
  6. 持続性
    正確さや素早さを持続する能力

これらがうまく組み合わさったとき、プロスポーツ選手のような華麗で美しい動きが表現されると考えて良いでしょう。

 

そこで、上記6つのうちゴルフにおいて特に重要な要素について考えてみます。

私が思うに、スイングに必要とされる動的な要素は、グレーディング能力タイミング能力持続性の3つ。

さらに、ゴルフのスコアに関連するものとして、ライや風、グリーンの傾斜などに対応するための静的な要素としての状況把握能力が求められるのではないでしょうか。

ゴルフは対人スポーツではありませんから、咄嗟の判断で素早く反応する動的状況把握能力は求められませんが、その分静的状況把握能力が求められるはずです。

 

つまり、プロのような巧みで美しいスイングには「タイミングよく適切なときに適切な強さで運動を正確に出力する能力」が必要とされ、そこに静的な状況把握能力が加わることで、ゴルフ全体のレベルが引き上げられるといった具合です。

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“巧みさ”磨きには、練習が必要です

“巧みさ”を磨けば、美しいスイングが手に入る。そして、そのためにはやはり練習が必要です。

ただし、練習場で闇雲にブンブンとクラブを振り回しても上達は見込めません。きちんと目的を持って正しい動きをカラダに記憶させる必要があります。

上達のしくみを知る

記憶には「頭で覚える記憶」と「カラダで覚える記憶」の2通りあると考えられています。

ゴルフの練習を通じて「上達した!」と実感できたときは、「カラダで覚える記憶」ができたときであるはずです。

「頭で覚える記憶」は大脳のシナプス伝達効率が長期間増強する「長期増強(LTP: Long Term Potentiation)」という現象によるものですが、「カラダで覚える記憶」は小脳のシナプス伝達効率が長期間抑制される「長期抑制(LTD: Long Term Depression)」現象によるものと言われています。

 

長期増強による効果は何となく理解できますが、長期抑制で記憶できるとはどういうことなのでしょうか。

シナプス伝達を抑制するということは、運動指令を伝えないということ。これは「間違った運動指令を伝えない」ことを意味します。その代わり、うまくいったときの信号は伝えてくれます

ですので、長期抑制によってカラダに運動を記憶させるには成功体験が必須で、一回でもできるまでは練習をやり続けることが重要なのです。

 

途中で投げ出さず、根気強く練習に励みましょう。

さらに、正しい動きとは何かを頭で理解しておけば、カラダに記憶させる時間も短縮できるはずです。

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どうしても上手くいかないときは一度練習をやめてみる

ただし、繰り返しの練習が下手固めにならないよう注意しなければなりません。どうしてもうまくいかないときは、一度練習を休んだほうが無難です。

なぜなら、脳科学の定説に「起きている間に得た情報を寝ている間に脳が情報整理してくれる」というものがあるからです。

 

寝る直前まで散々考えても解けなかった問題が、一晩寝ると翌朝ひらめきとともに解決した、なんて経験したことありませんか?

このような現象を「レミニセンス効果」と言うらしいのですが、練習を休むことでこのレミニセンス効果に期待することができるようになります。

ただしこれは「一生懸命練習した人にだけ起こる現象」とのことですのでご注意ください。

 

つまり、ここで言いたいのは「成功体験を得ることは重要だが、がむしゃらに練習することだけが上達への道ではない」ということ。

毎日練習をしているのにうまくなった実感を得られないときは、思い切って1-2週間くらいクラブを握らないほうが良いのかもしれません。

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まとめ:練習で得たものは不可逆的であるという事実

筋力などを高めるトレーニングは可逆的練習によって身に付けた技術は不可逆的であると言われます。

これは、練習をして身につけた技術は「自転車の乗り方を忘れないのと同様、永久に忘れることはない」ということを意味します。

一度カラダで覚えた運動パターンは脳に永久保存される!

 

巧みさを磨き、美しいスイングを手に入れるには、運動の脳への記憶「カラダで覚える記憶」が重要です。

特に、グレーディング能力タイミング能力持続性(正確性と再現性)を意識して練習に励み、一生もののスイングを手に入れることにしましょう!


そして最後に。

最も重要なことは、その練習の目的をきっちり理解しておくことです。

レッスンプロに習っている人は、言われたことをただ漫然とこなすのではなく、どうしてこの練習が必要なのか質問するようにしましょう。

「いいからやっておけ」だとか、質問に対する答えが返ってこないようであれば、そんなレッスンさっさとやめた方がいいです。お金の無駄。

自分で考えて練習した方がうまくなれるでしょうし、上達したときの喜びも大きくなることは間違いありません。

参考書籍