新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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【スイング探究】腕とシャフトに角度を付けたインパクトが飛距離を生み出すその理由

スイング探究

デシャンボーはひとまず置いといて、ほとんどの方が腕とシャフト間に角度をつけたアドレスをとっていると思います。

しかしながら、この角度がインパクトでも維持されているかどうか、意識している方は少ないのではないでしょうか。

実は、この角度の維持に飛ばしの秘密が隠されていると私は睨んでいます。

今回はその秘密を探っていくことにしましょう。

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腕シャフト角の可変範囲

ゴルフスイングでは、左腕を棒のように使う(左肘を曲げない)とよく言われますが、これにクラブを加えれば、左腕とクラブは一本の折れ曲がった棒になります。

このときの左腕とシャフトがなす角度、これが今回考察していく腕シャフト角です。

この腕シャフト角ですが、実際のスイングにおいては、テイクバック後半にかけて縦方向のコックが入りますので一旦は崩れますが、それでも最小で90度程度。

したがって、アドレス時の腕シャフト角が通常150度から160度とすれば、スイング中の可変範囲は、おおむね【90° < 腕シャフト角< 160°】に収まるはずです。

インパクトにおける腕シャフト角は160度くらいが理想です。

崩れてしまえばダフリの原因になりますし、逆にダフリを嫌がることで体が伸びあがってしまえば、トップの原因にもなってしまいます。

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角度付きインパクトのメリット

腕とシャフト間に角度が付いたインパクトのメリットは、大きく以下の2つが考えられます。

  • βトルク増大効果による飛距離アップ
  • タメによるヘッドスピードアップ

それではこれらについて詳しく見ていきます。

βトルク増大効果による飛距離アップ

βトルクは、腕の旋回運動により発生するトルクのことです。

トルクとは回転力のことですから、この値が大きいほど飛ばしにとって有利に働きます。

しかしながら、腕とシャフトが一直線であるときのモーメントアームは”0″。つまり、βトルクも”0”となってしまいますから、ご注意ください。

上図緑色の矢印がモーメントアームの距離です。

トルクの計算式は、”トルク=モーメントアーム(回転半径)X 力”。ゆえに、腕とシャフトに角度が付いていないときのトルクは”0”となってしまいます。

腕とシャフトの間に角度をつけたインパクトが出来れば、βトルクの恩恵を受けることができるわけですから、ダウンスイングで手首が解け過ぎてしまうスイングは避けるよう努めなければなりません。

<α、β、γトルクに関してはこちらの記事を参照ください>

【スイング探究】「α, β, γトルク」を理解して飛距離アップを狙う!
皆さまご存じの通り、ゴルフスイングは回転運動です。しかし、2次元的に考えてしまうと、説明が非常に難しくなってしまいます。時計のように、単一軸周りの回転運動であれば、わざわざ「α, β, γ-トルク」など分解して考える必要はありませんが、ゴルフスイングは3次元的な回転運動であり、そのスイング系全体の回転運動は、3つの軸による回転運動が合成されたもの、つまり「α, β, γ-トルク」が合成されたものと考えられているからです。
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デシャンボーはαトルクを最大化して飛ばしている

ここで、上図にデシャンボーのアドレスを重ねて見てください。

デシャンボーの腕とクラブは一直線。つまり、モーメントアームがほぼ”0”なわけですから、βトルクも”0”に近くなるはずです。

しかしながら、彼の2020年ドライビングディスタンスは堂々の第1位。不思議ですね。

 

その秘密は、βトルクの代わりに、αトルクを最大化していることにあるのでしょう。

腕とクラブを一直線にするとモーメントアームが長くなりますから、αトルクを最大化することができます。

ただし、αトルクの原動力は体幹部。今以上に体幹を鍛え込んで筋力の発揮レベルを高めなければなりません。

また、αトルクのモーメントアームを長くすると言うことは、体とボールの距離が離れることにもつながりますから、ミート力に自信のある方でないと厳しいはずです。

つまり、デシャンボー打法は、体幹部の筋力が強く、かつ体からボールが離れていてもうまくミートできる人向けの打ち方。常人が真似する打ち方では無いような気がします。

 

結局のところ、デシャンボーのようにαトルクのみで勝負するのか、αプラスβトルクで勝負するのか・・・普通に考えて、後者を選択すべきではないでしょうか。

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タメによるヘッドスピードアップ

先のβトルクの説明で、モーメントアームという言葉が出てきましたが、モーメントアームが長くなるということとは、慣性モーメントが大きくなることを意味します。

では、慣性モーメントが大きくなると、どうなるのでしょうか?

クラブが重たく感じてしまい、速く振ることが難しくなるのです。

 

何だかデメリットのように感じてしまいますが、この慣性モーメントは工夫次第で大小変えることができますので心配無用です。

切り返し直後のダウンスイングで、手元とヘッドが同一軌道上を推移する意識を持ちましょう。

切り返し直後から、腕シャフト角が解けないよう90度近くを維持しましょう。

これらの意識付けによって、βトルクに対する慣性モーメントを小さくすることができるはずです。

また、腕シャフト角が90度であれば、体幹の回転軸である背骨からヘッドまでの距離(モーメントアーム)が短くなりますから、αトルクに対する慣性モーメントも小さくすることができます。

 

要するに、「タメ」が必須ってことです。

「タメによるスピードアップ」というよりも、「スピードアップにはタメが必要」と言い換えたほうが良いかもしれません。

【スイング探究】「慣性モーメント」を活かして飛距離アップ
ゴルフスイングの解説でよく耳にする「慣性モーメント」。よくわからないという方も多いと思いますが、簡単に言えば、皆さんがゴルフスイング中に「感じる重さ」、実はこれが慣性モーメントの正体なのです。ゴルフクラブの重量が全く同じものであったとしても、異なる振り方をすれば、重くも感じますし、軽くも感じます。なぜなら、振り方によって慣性モーメントの大きさが変わるから。
【スイング探究】タメを作ってヘッドスピードを上げる法 ~ 序盤にタメてナチュラルにリリース ~
ゴルフの上達において、タメは重要な要素です。上達すれば、タメは自然にできてくるとも言えますが、これは「卵が先か鶏が先か」のレベルの話でしょう。やはり、普段からタメの意識を持たないことには上達はあり得ません。長いクラブが思うように振れない方、ヘッドスピードにお困りの方へ。もう一度、タメについて考えて直してみませんか。
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まとめ

特に意識しなくても、腕シャフト角を維持できている方はたくさんいらっしゃるはずで、そういう方はおそらく人よりも上達が早いことと思われます。

「なかなか上達しないなあ」と感じる方は、一度この腕シャフト角を意識することをお勧めします。

最初のうちは振り難いと感じるかもしれませんが、それでもここだけは崩さずに、他の要素の方を修正するようにしていけば、自然と正しいスイングが身につくはずです。

 

また、腕シャフト角が維持されるとき、腕には旋回運動が起こっています。

この腕の旋回運動は自発的に入れるものではなく、自然発生的に起こることが理想で、そうすると、左手首は掌屈していなければならず、この掌屈が腕の旋回運動を促すというわけです。

左手首が掌屈するということは、クラブがシャフト軸周りに回転するということ。

これを私はローリングと呼んでいますが、この動きが結果的にβ(およびγ)トルクを増大させ、そして、腕シャフト角を維持することにも繋がるはずです。

詳細は以下のリンクから。ご興味ある方は参照ください。

【スイング探究】フェースローテーション・シャロー・飛距離にお悩みの方必見! ~ローリングに隠された秘密~
野球関連の本で、"ローリング"という言葉を見つけました。なんでも、バット長軸周りの回転をローリングと呼ぶのだとか。それをゴルフに適用すれば、シャフト軸周りの回転となります。ゴルフクラブはL字型ですから、とどのつまり、ローリングはフェースローテーションに大きく寄与するということです。なるほど、これまで腕の旋回運動がフェースローテーションの源だと思っていましたが、その実体はローリングにある。そう考えれば、プロや上級者の言う「フェースを返す意識は持っていない」だとか「フェースターンを抑えて振っている」という言葉の意味が理解できます。

 

尚、この腕シャフト角ですが、パッティングには適用しない方が無難でしょう。おそらく引っ掛けミスが多発します。

パッティングでは逆に、前腕とシャフトが一直線になるようにした方が、ヘッドの重みも感じられますし、振り子のイメージでボールを打ちやすくなるはずです。

私の経験上の話で恐縮ですが、スライスラインは入る(寄る)けど、フックラインがボロボロの時期がありました。

フックラインは爪先上がりですから、トゥー側が上がりやすい。にもかかわらず、腕シャフト角がプラスされることでトゥー側がもう一段上がってしまう。

つまり、フェースが左を向き過ぎてしまい、引っ掛けミスが増長されるというわけです。

私と同じような悩みをお持ちの方は、パッティング時、前腕とシャフトが一直線になることを意識されると良いかもしれません。

前腕とシャフトを一直線にするということは、肘を曲げることになります。

プロのパッティング動画を検索して確認すればわかりますが、多くのプロが「前腕シャフト一直線の肘曲げスタイル」を採用しているようです。