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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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【スイング探究】反動を使って飛距離アップを狙う ~伸張‐短縮サイクル(SSC)の効果~

スイング探究

反動を正しく使いこなせていますか?

飛距離アップには筋力トレーニングが欠かせませんが、反動を正しく使いこなすことができれば、筋トレするよりも、もっと短時間で効率的に飛距離アップを実現することができるでしょう。

そもそもゴルフスイングは、アドレスから飛球線と反対方向にクラブを振り上げることからわもかるように、反動を使うことで成り立つものです。

全く反動を使わないのであれば、野球のバッターのように構えてボールを打っても問題ないはず。しかし、そのようなプレーヤーは見たことがありません。

つまり、どんなスイングの人でも、少なからず反動を使っているのです。

では、反動の正体とは何なのでしょうか。

それが、タイトルにもある「伸張‐短縮サイクル(SSC)」です。

SSCとは「筋肉の伸張反射」と「腱の弾性エネルギー」を使った出力システム。詳細は後述しますが、ヒトは日常生活においても、このSSCを特段意識せずに利用しており、運動の効率性を高めているのです。

「飛ばしはセンス」などど言われますが、そういう人はもしかすると、反動(SSC)の使い方がもともと上手な人なのかもしれません。

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伸長‐短縮サイクル(SSC)とは

伸張‐短縮サイクルという言葉、初めて聞いた方も多いと思います。英語ではStretch-Shortening Cycle、これを略してSSCと呼ばれています。

このSSCは、反動を伴う運動において使われるのですが、例えば垂直跳び。より高く跳ぼうと思えば、一旦しゃがみこんで、そこから一気にジャンプしますよね。このように反動を使う動きの裏側で、SSCは働いています。

ということで早速、SSCのメカニズムをみていくことにしましょう。

SSCのメカニズム

SSCの実体は、筋と腱から構成される筋腱複合体です。

筋が「伸張反射」を起こし、腱が「弾性体」として働くことによって、単に筋肉を収縮させて発揮する力よりも、大きな力を発揮することができます

また、SSCの優れているところは、「反射」だかと「弾性体」という言葉からわかるように、脳みそで考えていちいち指令を送らなくても、反射的に、言い換えれば、至極ナチュラルに力を発揮することができるところにあります。

マサイ族のジャンプや縄跳びを想像してください。ポンポンとゴムまりが跳ねるようにジャンプしますよね。

タイミングを合わせる必要はありますが、基本的にはリズミカルにジャンプすることだけを考えていれば、連続的に、そしてナチュラルに、ジャンプ運動を繰り返し行うことができるのです。

現実問題、ふくらはぎの筋肉の収縮力だけに頼っていたのでは、マサイ族のようにあんなに高いジャンプはできませんし、また、何百回も連続して縄跳びを続けることもできません。

つまり、力の発揮効率もさることながら、エネルギー消費の観点からも、SSCは非常に効率のよい運動形態だということがわかります。

 

そしてもう一つ、SSCの利点として、力を発生させるまでのタイムラグがほぼゼロになることも上げられるでしょう。

「伸張反射」の言葉通り、筋肉が伸ばされれば切れてしまわないよう、己の筋肉を守ろうとする防衛反応が反射的に起こります。

この状態はまさに、筋肉の「ゆるみ」が完全に取れた状態。綱引きの綱が両方から引っ張られて、ピンと張った状態です。

これにより、クイックな応答が可能となり、運動開始時から高い張力を発揮することができるのです。

 

 

ここでプチまとめとなりますが、反動を使いこなすということは、SSCを効果的に使うということ。

「筋の伸張反射」と「腱の弾性作用」により、単に筋肉を収縮させたときの力よりも、大きな力を発揮することができます。また、運動開始時から高い張力を発揮することも可能です。

結論、SSCをゴルフスイングに活かさない手はありません。

 

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ゴルフスイングにおけるSSCの使いどころ

ゴルフスイングにおいて、SSCには体のどの部位で働いてもらうのが最も効率的なのでしょうか。

私は、スイングのエンジンであり動力源である「体幹」であり「脚」であると考えています。

「体幹」のSSC

雑誌やゴルフのレッスン本で「背中でクラブを振る」という文言をみかけたことがある人も多いと思います。もし、この文言を私が修飾するならば、「SSCを使って背中でクラブを振る」となることでしょう。

レッスンプロから、「背中に張りを感じるようテイクバックしなさい」と指導された人は、暗にSSCを使えと指導されていることと同じです。

そのためには、決して手や腕でクラブを上げてはいけません。脚や体幹を使って体で始動し、ヘッドに掛かる慣性を利用して、トップまで持っていくのです。

なぜ、慣性を利用するのかというと、これくらい体幹を捻じろうなどとあれこれ考えるより、慣性の力を借りて自然の成り行きに身を任せた方が「伸張反射」の効きが良いように感じるからです。

高いところに置いてある物をジャンプして取りたいとき、わざわざ膝をこれくらい曲げて・・・なんて考えながらジャンプしませんよね。

あくまでも「反射」ですから、深く考えずに自然の成り行きに任せた方がスムーズに事が運ぶはずです。

ちなみに、上記はオカルトで言ってるわけではありません。こういう人間の自然な反応は「自己組織的制御」と言って、もともと人間の機能として備わっているもの。それを信じて、切り返しのタイミングに集中すれば、きっとSSCが効いてくるはずです。

<「自己組織的制御」について知りたい方は、以下の記事を参照ください>

【始】なぜ、あなたはトレーニング効果を実感できないのか? ~ コンテクスチュアルトレーニングより ~
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「脚」のSSC

脚におけるSSCの顕著な例は、近年米PGAツアーの選手に多く見られる、ジャンプ打法にあるのではないでしょうか。

「ジャンプ打法なんてやらないよ」という方は置いといて、切り返しから少なからず沈み込みの動作が入る方は、自然とSSCが使えているはず。このケースでは、特に言うべきことはありませんが、問題は、沈み込みを入れずに、ジャンプ動作だけを取り入れようとしている方にあります。

兎にも角にも、効率が良い動作とは反動を使うこと。日常生活での知らず知らずのうちに使っているくらいですから、ジャンプの予備動作としての沈み込みは、必須と言っても過言ではないのです。

「ジャンプ打法をやってみたけど、なんかぎくしゃくして上手くいかなかったからやーめた」という人は、ジャンプすることに意識を集中させるのではなく、沈み込みに意識を集中させてみてください。

そうすることで、沈み込みの反作用として、ジャンプ動作ができるようになる可能性も高まると思われます。

沈み込みを練習してジャンプ動作を諦めるのならともかく、沈み込みをやらずにジャンプ動作をあきらめるのは、早計ではないかと思うのです。

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背中の左側に張りを感じるのが正解?!

「SSCは背中で利かす」とは言っても、それは背中のどちら側なのでしょうか。

私が思うに、それは背中の左側。捻転差(Xファクター)が最大になった時、最も張りを感じる部分は左側しかありません。

マキロイは、切り返した後に捻転差が最大になると言われていますが、このとき、彼の背中の左側の筋肉は、ギンギンに張った状態なのだと推測されます。

筋肉にゆるみがないのですから、腰を回転させるだけで、勝手に上半身も引っ張られ回転するはずですし、それに伴いクラブも勝手についてくるはずです。

もしここにゆるみがあれば、腰だけが空回りして振り遅れてしまうことでしょう。

マキロイは、インパクトまで捻転差を維持する意識をもっているのかどうか、聞いてみないことにはわかりませんが、そこはおそらくSSCまかせ。ボールを強く叩くことだけを考えているのだと思います。

体は勝手に捻転による反動でねじり戻る。そして、ねじり戻りの力が、効率的にボールに伝達される。これこそまさに理想ですね。

ゴルフスイングは左腕主導か、右腕主導かの議論が昔から続いていますが、SSCのことを思えば左腕主導の方が正解に近いと言えるでしょう。もっと言えば、腕ではなく体の左サイド主導と言った方が正しいのかもしれません。
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まとめ

おそらくですが、反動を使うとはいえ、切り返しからいきなり捻転差を解くような反動の使い方は間違いではないかなと考えています。

マキロイのように、切り返し以降、捻転差が最大になるようなスイングが理想的であり、そうすることで、弾性エネルギーの蓄積と筋の伸長が最大になるのではないかと。

これにより、デリバリーポジションに至るまでの間に筋肉がゆるんでしまうことがなくなり、さらに、インパクトにおいての爆発的な力の開放が可能になるのではないかと。

さらにさらに、もうひとつ欲張って、沈み込んでからのジャンプ打法を併用すれば、もう一段階上の力の増大が見込めるのではないでしょうか。

「言うは易く行うは難し」の様相を呈しておりますが、あえて理想を言えばこれになりますね。

参考書籍