新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

ゴルフメカ談議へGO!

【スイング探究】「前倒し」本当にクラブを前に倒しちゃ駄目! ~ クラブは倒さずローリング ~

スイング探究

5~6年、ゴルフから離れていた時期があったのですが、その間に「前倒し」という聞きなれない言葉が流行していました。

「切り返しからクラブを前に倒すように振る」ことを「前倒し」というそうですが、やってみたらわかります。

振れませんから。

ゴルフスイングの原理は二重振り子。前倒しなんかやってしまったら、手首の関節に発生するトルクが台無しとなってしまいます。

前倒しの問題点

前倒しとは「切り返しからクラブを前に倒すように振る」ことらしい

これにより、クラブが寝て入ることがなくなりますからダフリが解消され、さらに、ヘッドが先行することにより振り遅れが防止されると考えたのでしょう。

これを従来の言葉で表現すれば「クラブを立てる」ということになるでしょうか。

 

しかしながら、最近はパッシブトルクやシャローイングというテクニックのほうが主流であり、クラブを立てるのは完全に時代に逆行した考え方。

むしろ、寝かせるように使うべきだと考えている人のほうが大半だと思われます。

 

ですから、クラブは「立てるべきか」「寝かせるべきか」、どちらがが正しいかと問われれば、「寝かせる」ほうが正しいと私は考えています。

クラブを切り返しから自発的に立ててしまうと、その瞬間に体の回転方向とクラブの回転方向がズレてしまい、力の伝達経路が遮断されますし、体幹から末端にかけて順番に力が伝播することで成し遂げられるムチ動作の実現が困難となるためです。

ゴルフスイングの根本原理は二重振り子。

そう考える私にとって、力の伝達経路を遮断してしまう前倒しは致命的に思えます。

力の伝達経路を身近な例で考える

この前倒しの問題点は、前述のとおり、力の伝達経路を遮断してしまうところにあります。

身近な例、たとえば、ダッシュ時の太腿(上腿)と脛(下腿)の関係で考えてみましょう。

ダッシュ時の脚の動きは、股関節から左右どちらかの上腿が振られた後に下腿が振られます。

もし、膝から下の下腿が先に振られ、そのあとに上腿がつられるように動くとしたら・・・・走れるはずがありません。

ボールを蹴るときも同じ。上腿よりも下腿を先に動かして、強いボールを蹴れますか?って話です。

幹(体幹)から枝(末端)に向かって力が伝達されることで、人間は様々な運動をスムースにこなすことができますが、もし先に枝の方を動かしてしまったら、ぎくしゃくとした伝達効率の悪い運動にしかなりません。

スポンサーリンク

前倒しは二重振り子の阻害要因

前倒しを避けるべき決定的理由が、ゴルフスイングの根本原理である二重振り子を壊してしまうところにあります。

先の例で述べた通り、力は幹から枝に伝えられなければなりませんが、前倒しはその逆で、末端部となるクラブを積極的に動かします。

これは、下腿を先に動かすダッシュやキックのようなものであり、通常の人間の動作としてはなかなか受け入れづらいものです。

さらに、前倒しによって体の回転方向とクラブの回転方向がズレてしまいますから力の分散は避けられず、どんなに筋力がある人でも、飛距離的にはマイナスとなってしまうでしょう。

二重振り子成立の条件は定かではありませんが、普通に考えて、幹から枝に向かって力が伝達されること、発揮される力の方向が一致していること、この2つは間違いなく条件となるはずです。

<二重振り子に関する記事はこちら>

【スイング探究】二重振り子は、ゴルフスイングの根本原理
ゴルフのスイング解説で度々耳にする二重振り子。二重振り子スイングを体得すると、どうなるのでしょうか。「ヘッドスピードが上がり、飛距離が伸びる」「プロのようにやわらかく、しなやかな「ムチ動作」になる」「その他、すべてが良くなる」3つ目は何やら怪しいですが、まんざら嘘でもありません。二重振り子はゴルフスイングの根本原理なのですから。

前倒しはムチ動作の阻害要因

ゴルフスイングにおける力は、インパクトにかけて末端側のヘッドに流れていくのが基本です。

間違ってもヘッドから体幹方向に力が伝達されてはいけません。

脚を踏み込むことで発生した地面反力が股関節に伝達され、その力で股関節が骨盤を回し、そして最終的に末端のヘッドに伝えられる。

このイメージ通りにスイングができたとき、体全体がムチのようにしなって見えるはずです。(これがムチ動作)

 

ここで、切り返しからクラブを前に倒してしまったときのことを想像してください。

力が伝達されてくる前に、ヘッド側に力が流れてしまうということは、伝達がそこで遮断されてしまうということ。さらに慣性モーメントが大きくなりますから、そこからヘッドを加速させるのは困難です。

キャスティングも同じ理由で、避けるべき動作であると言えるでしょう。

クラブは倒さずにローリング(ねじる)する

前倒しという言葉はもう忘れてください。その代わり、ローリングという言葉をプレゼントします。

ローリングとは、シャフト軸周りにクラブを回転させることを言います。

切り返しから、左手が掌屈、右手が背屈するようクラブをローリングさせながらスイングするのです。

エアー素振りでOK。一度やってみればわかりますが、そうすることで、シャローなダウンスイングの感覚を味わうことができるでしょう。

さらに、ローリングによって、インパクトでグリップエンドを臍に向けることが容易となりますから、ヘッドが返り、走ります。

<ローリングに関する記事はこちら>

【スイング探究】フェースローテーション・シャロー・飛距離にお悩みの方必見! ~ローリングに隠された秘密~
野球関連の本で、"ローリング"という言葉を見つけました。なんでも、バット長軸周りの回転をローリングと呼ぶのだとか。それをゴルフに適用すれば、シャフト軸周りの回転となります。ゴルフクラブはL字型ですから、とどのつまり、ローリングはフェースローテーションに大きく寄与するということです。なるほど、これまで腕の旋回運動がフェースローテーションの源だと思っていましたが、その実体はローリングにある。そう考えれば、プロや上級者の言う「フェースを返す意識は持っていない」だとか「フェースターンを抑えて振っている」という言葉の意味が理解できます。

 

お時間ございましたら、下記の動画も。

ダウンスイングでの正しい右腕の動き

動画中、森守洋プロは腕をねじると表現していますが、腕をねじるとややこしくなりますから、これをクラブをねじる(ローリングする)と解釈して、切り返しから左手が掌屈、右手が背屈するようスイングしてみてください。

そうすることで、力の伝達と作用する向きが整えられますので、スムースな二重振り子スイングとムチ動作の実現が可能となることでしょう。

まとめ

冒頭でも述べた通り、前倒しはクラブを立てることを目的としたものだと思います。

しかし、前倒しによって自発的にクラブを立てると、様々な問題が発生することもお分かりいただけたはずです。

クラブは立てるのではなく、立つ。

こう表現しない限り、二重振り子やムチ動作の実現は不可能に思われます。