新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

ゴルフメカ談議へGO!

#7 手元を止めたら飛ぶはずがない!(魚ぎょぎょ:前編)

ゴルフメカ談議
焼肉を食べたその翌日、パンゴルはまたもや後輩Aを晩飯に誘うことにした。いいかげん、他を誘えばいいものの、今日も懲りずに後輩Aである。なぜなら、パンゴルのゴルフ話にうなずき聞いてくれるのは後輩Aしかいないから。そうだ今日は魚を食いに行こう。カラダの脂質バランスを常に整えておくのが、中年男性のたしなみであり、アラキドン酸を多く含む肉を食った翌日は、魚を食ってEPA(エイコサペンタエン酸)をカウンターにするのが定石である。パンゴルのモットーは一日一善。本日の善き行いは、後輩Aの脂質バランスを整えてあげることだ。海鮮居酒屋「魚ぎょぎょ」にて。
パンゴル
パンゴル

今日は関節が痛い。両肘痛い。

後輩A
後輩A

我々も歳ですからね。特別何もしていないのに痛くなる。

パンゴル
パンゴル

2年前くらいになるかな。2か月間くらい猛烈に膝が痛くなった時期があって、夜中トイレに行くのに10分くらいかかっていた記憶がある。あれはきつかったなあ。

後輩A
後輩A

うわあ、きつそう。俺もぎっくり腰は何回かやられていますから、その気持ちなんとなくわかります。

パンゴル
パンゴル

そこでだ。今日は海鮮居酒屋にした。昨日肉食ったから、俺たちの体はアラキドン酸優位に傾いているはずだ。アラキドン酸には炎症促進作用がある。それが理由で肘の関節が痛くなっているのかもしれない。脂質バランスを整えるためにも、今日はEPAをたくさん摂ってカウンターにしようってわけだ。

ゴルファーを悩ます関節の痛みに。オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)はどうですか?
ゴルファーを悩ます関節の痛み。膝、腰、肩、肘、部位を問わず、いつもどおり練習して、いつもどおりラウンドしているだけなのに、何故だか知らないが痛くなる。そんな経験ありませんか?私は先週のラウンドの影響でしょうか。この記事を書いている今、左肘に痛みを感じています。

 

後輩A
後輩A

ほう。そういうことならお付き合いします。でしたら何頼みます?

パンゴル
パンゴル

EPAと言えば青魚だね。刺身がいいからアジにしよう。

後輩A
後輩A

あいよ。

「店員さーん、アジの刺身二人前おねがいします!」

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パンゴル
パンゴル

ところで、ニュートンって雑誌知ってる?

後輩A
後輩A

読んだことはありませんが、書店で見かけたことがあります。それが何か?

パンゴル
パンゴル

ニュートンってのは科学雑誌なんだけど、定期的にとあるテーマに沿った別冊のムック本を出してるんだ。俺はそれが好きで、暇なときはちょくちょく読むんだけど、先日「学びなおし中学・高校物理」ってのを読んでいたんだよね。

 

この類の本は教科書と違って、身の回りで実際に起きている・誰もが知っていることを例にして、それをうまいこと科学的に説明してくれるから、深くはないけど実用的なんだ。これなんだけど。

 

後輩A
後輩A

持ってきたんですか。この赤い枠の表紙、知ってますよ。

フルカラーでわかりやすいですね。これなら俺でも理解できそうだ。

パンゴル
パンゴル

その本に「急加速、急ブレーキ中のバスで感じる力の正体は?」ってタイトルのページがあるだろ。ちょっと見てみ。

後輩A
後輩A

なるほど。描いてある「絵」が直感的でわかりやすいですね。

<ニュートン別冊:学びなおし中学・高校物理より>

 

パンゴル
パンゴル

この絵は「慣性力」を説明しているんだ。

 

絵の状況を説明すると、このサラリーマンのおじさんは、バスが急加速したり、急ブレーキしたから、左右に体が振られてしまった。

 

誰でも経験したことがあると思う。

後輩A
後輩A

はい。通勤で毎日のように身をもって感じていますからよくわかります。

パンゴル
パンゴル

そして、おじさんの体が振られた理由は、あくまでもバスの急加速、急ブレーキであって、誰かに押されたり、引かれたり、つまり力を加えられて動かされたわけではない。それもわかるよね?

後輩A
後輩A

はい。それはサルでもわかることです。

 

パンゴル
パンゴル

ということは、直接おじさんの体を動かした力は実在していないことになる。このような力を”みかけの力”と言うんだ。

 

つまり、慣性力とは”みかけの力”のことなのである。

後輩A
後輩A

は、はぁ・・・

パンゴル
パンゴル

ここでクエスション。

 

時速40kmで走っているバスが、ノーブレーキでブロック塀にぶつかったとする。

 

そうすると、さっきのおじさんはバスの前方に向かって吹っ飛ぶわけだけど、そのときのおじさんの速さは何キロでしょうか?

後輩A
後輩A

理論的に考えて、Maxで時速40km、それを超えることは絶対にあり得ないと思います。

パンゴル
パンゴル

だよね。「静止している物体は静止し続け、運動している物体はそのまま等速直線運動を続ける」という慣性の法則に従うわけだから、最大でも40kmのはず。

 

前方に吹っ飛ぶとき、だれかに押されて加速するわけではなく、みかけの力そのままに、ぶつかった時のバスの走行速度がそのままおっさんの吹っ飛び速度になると考えていい。

後輩A
後輩A

はい。当たり前のことですね。

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パンゴル
パンゴル

そこでだ。ここからが本題なんだけど、「インパクトの瞬間手を止めろ」なんて教えを聞いたことないだろうか?

後輩A
後輩A

あっ、あります。誰とは言いませんが、手打ち系のレッスンプロの人が言ってました。自分はかつて、右腰前でクラブを「バーン」と返す派でしたら、この教えは知ってます。

パンゴル
パンゴル

んで、その手打ち王子なんだけど、なんでも、ゴルフ場で研修生(?)をしていたときに、軽トラックの荷台に乗って移動していたら、不運にもその軽トラが急にブレーキを踏んだか、もしくは何かにぶつかったかして、とにかくそのときに荷台から吹っ飛ばされたんだって。

 

この体験をもとに、「インパクトの瞬間手を止めろ」というアイデアをひらめいたらしいんだ。これが彼の言う飛ばしのコツらしい。

 

後輩A
後輩A

ほー、だからか。慣性力はみかけの力だとか、そういう話をしたんですね。

パンゴル
パンゴル

うん、その通り。

 

しかしながら俺的には「んなことあるかい!」って言いたいわけ。だって、お前もさっき言ったろう、40km/hでバスが何かに突っ込んだら、おっさんの速度は最大でも40km/hだって。

 

だから、この理論によれば、手元を止めた瞬間のヘッドスピードがMaxってことになるわけだけど、現実問題、手元を止めるには、筋力に頼るしかないのだから、その性質上徐々にしか止められない。つまり、徐々にヘッドを減速させることに繋がりかねないってことだ。

 

軽トラのように急ブレーキを踏んだり、ぶつけて止めたりといった急激な速度変化には期待できないんだから、それを考えただけでも、ヘッドスピードにはマイナスに働くような気がするね。

※ 理論上は、ゴルフクラブが一様な棒であれば、手元を止めることで末端部の速度を加速させることができるとのことです。しかし、シャフトの重量を無視して計算すると末端部の速度は変わらないとのことでした。(ともに、手元のスピードをいきなり”0”にできた場合)。とはいえ実際問題、スイング中に手元のスピードをいきなり”0”にすることは不可能なわけですから、手元を急激に止めるような意識は、やはり持たないほうが無難でしょう。ソフトボールの投手のように、自分の体に前腕をぶつけてスナップを効かせるようなことがゴルフでもできれば話は別ですが。この辺りのお話にご興味ある方は「スポーツ基礎数理ハンドブック:深代千之、柴山明著」を参照ください。

後輩A
後輩A

なるほど。

パンゴル
パンゴル

とはいえ、もしこの理屈に望みがあるとすれば、手元を止める意識を持つことで、アームローテーションが入れやすくなる(かも)という点かな。

 

もしかすると人によってはアームローテーションが入れやすくなってその結果飛距離が伸びるかもしれない。それに、手元を止めることで、ヘッドが返りやすくなるからスライスが直るかもしれない。

 

しかしながらそうなったとしても、今度はこの発想が浮かんだ時のシチュエーションとの辻褄が合わなくなる。

 

だって、元々このアイディアは、軽トラの荷台から自分の体が吹っ飛んだことによって得られたもので、”みかけの力”を利用しようとしたものなんだから。アームローテーションをやりやすくするためのアイディアではないんだ。

後輩A
後輩A

ふむふむ。

パンゴル
パンゴル

だからね、結果オーライじゃだめなんだよ。整合性がとれなくなってしまえば、また一からやり直しになってしまう。

 

アームローテーションもどちらかと言えば、能動的に入れるもんではなくて、正しい動きが出来ていれば勝手に入るもの。ジャイロ効果を生かしたスイングができていれば、右手は勝手に回内するんだから、アームローテーションも勝手に起こるはずなんだ。

後輩A
後輩A

ジャイロ効果?なんですかそれ。

パンゴル
パンゴル

ジャイロ効果については話すと長くなるから、この記事読んで。

【スイング探究】シャローイングが、スイングにキレを生む ~ジャイロ効果によって生じる右手の回内運動~
昨今、何かと話題のシャローイングですが、その一番のメリットは「スピン量の低減」にあると思います。これにより飛距離アップに期待ができるわけですが、しかしながら、シャローイングの効果はこれだけではありません。スイングにキレを生み出す効果もあるのです。ここでいう「キレ」とは、スパッと振り抜かれるヘッドの走り。これは、シャローイングを行うことで自動的に引き起こされるジャイロ効果のおかげです。地球ゴマが倒れそうで倒れないのはジャイロ効果のおかげ、良いピッチャーの投げる球にキレがあるのもジャイロ効果のおかげ、そしてスパンと振り向かれるクラブヘッドもジャイロ効果のおかげなのです。

 

パンゴル
パンゴル

他にも、逆しなりを起こすために手元を止めるとか言われたりするけど、そもそも逆しなりは二重振り子スイングができていて、クラブのリリースが速やかに行われていれば、誰にでも起こる現象じゃないかな。だから、手元を止めて無理くり逆しなりを発生させる必要なんてないと思っている。

【スイング探究】二重振り子は、ゴルフスイングの根本原理
ゴルフのスイング解説で度々耳にする二重振り子。二重振り子スイングを体得すると、どうなるのでしょうか。「ヘッドスピードが上がり、飛距離が伸びる」「プロのようにやわらかく、しなやかな「ムチ動作」になる」「その他、すべてが良くなる」3つ目は何やら怪しいですが、まんざら嘘でもありません。二重振り子はゴルフスイングの根本原理なのですから。

 

後輩A
後輩A

むむむ。なんだか手打ち派だった俺へのあてつけのような感じがしてきたぞ。

パンゴル
パンゴル

あー、ごめんごめん。そんなつもりはなかったんだけど、ただ、手打ちは身体のいろんなところに無理も出てくるから、転向するならできるだけ早いほうが良い。

 

そもそも、運動がダイナミックになればなるほど、体幹を大きく使うようになるのが人間の本来の姿。そう考えると手打ちは厳しいと思うよ。

後輩A
後輩A

そうですね。その点に関しては俺も納得します。

パンゴル
パンゴル

そうそう。今話題にした慣性力だけど、遠心力も慣性力の一種なんだ。しかも遠心力に関しては、なんというか遠心力教という宗教もあるんじゃないかと思うくらい、レッスンプロは皆、「遠心力で飛ばす!」と言っている。遠心力じゃ飛ばせないのにね。

後輩A
後輩A

えっ、そうなんですか?遠心力じゃ飛ばせないんですか?

パンゴル
パンゴル

うん、そもそも遠心力の力の方向はボールを飛ばす向きに働かないからね。

 

よし次は、遠心力について話すことにしよう。今日持ってきたこのニュートン別冊を参考にするとすごくわかりやすい。

後輩A
後輩A

はい。ではお願いします。

#8、遠心力編につづく>

#8 遠心力では飛ばせない! ~スイングのドロ沼に入りこまない考え方~(魚ぎょぎょ:後編)
【前回(#7)までのあらすじ】とどのつまり「力学的に間違った知識が、とんでもゴルフ理論を生みだす」と言いたいのだろう。後輩Aは、パンゴルのうんちく話を聞きながらそう思った。インパクトで手元を止めて得られる効果は、半ば強制的なヘッドターンによ...

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