新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

ゴルフメカ談議へGO!

#24 飛ばしの肝は、結局筋肉!「力」と「パワー」の違いを知り、スイングの効率化を図る!(ブルーバード:その7)

ゴルフメカ談議
【前回(#23)までのあらすじ】スイングの始動の順番が、トップにおける筋肉の緊張状態にまで及ぶのであれば、スイングの成否はテイクバックで決まると言っても過言ではない。切り返しで、ダルダルにたるんだ筋肉より、ビンビンに張った筋肉。それが、左サイドリード成功の秘訣でもあるわけだ。そこで、後輩Aは思いついた「これこそが飛ばしの秘訣なんじゃないか」と。「飛ばしは切り返しの一瞬にかかっている。切り返しでの筋肉の張り具合が、結果的に飛距離を左右するのだ」そう考える後輩Aであった。幸せを運ぶ青い鳥が目印の焼き鳥店「ブルーバード」にて。
後輩A
後輩A

芸能人は歯が命と言いますが、ゴルファーは切り返しが命、でいいんですよね?

パンゴル
パンゴル

なんだ、さっきのビンビン筋肉(#23)を考えていたのか?うん、俺はそう思うぞ。

後輩A
後輩A

となると、飛ばしの秘訣は切り返しにある、と言い換えても間違いではないってことになりますよね?

パンゴル
パンゴル

うん、間違いではないと思う。でもな、飛ばしは結局筋肉なんだよ。

ゴー(GO)・ゴー(GO)・ マッソー(MUSCLE)だ。

後輩A
後輩A

キン肉マン、ですか・・・

パンゴル
パンゴル

筋肉量とスイング速度の間には、正の相関が見られるという研究結果が既に出ている。

 

このリンク記事を見て見ろ。研究対象は野球だけど、ゴルフに置き換えても同じ結果になるはずだ。

ゴルフにおける筋肉と飛距離の関係
なぜだか知りませんが、いまだゴルフには筋トレは必要ないという人がたくさんいます。私にはこの考えが全く理解できません。もちろんスイングが出来上がってない人が筋トレしたところで飛距離はたいして伸びないでしょう。しかし、全く同じスイング動作を行える2人を比べたとしたら、筋肉量が多いほうが当然ボールを遠くに飛ばすことができるはずです。
後輩A
後輩A

なるほどね。PGA TOURの選手たちが、ウェイトトレーニングに励む理由がわかります。

パンゴル
パンゴル

未だに、ゴルフに筋肉は必要ないって言う人がいるだろ?そんなの出鱈目だ。

 

2年くらい前、AmebaTVのゴルフ解説で、筋トレ不要論者の人がこんなこと言ってた。「小学生の女の子でも260ヤード飛ばす子はいる。世のお父さん方は、小学生の女の子より明らかに筋肉はあるのに、260ヤードも飛ばせないでしょ?だから筋トレより技術のほうが大事」ってな。

 

これこそ暴論。比較するなら、技術レベルが同等の集団同士で比較しないと意味がない。男子プロと女子プロの飛距離を見れば、筋肉がどれだけ飛距離に影響しているか、誰にだってわかる。

 

2019年のデータをざっと見る限り、ドライビングディスタンス男子・女子上位100名の中央値は、大体のところ男子プロが287ヤード、女子プロが237ヤードだ。この50ヤードの差は、技術の差というより、筋量の差で産まれたって思うのが普通だよな。

後輩A
後輩A

そうですね。おっしゃるとおり。

パンゴル
パンゴル

言い換えれば、技術レベルを向上させて飛距離を伸ばすって考え方には限界があるってことだ。だから、結局筋肉♡

後輩A
後輩A

となると、筋肉一番、スイング二番ってことですか?

パンゴル
パンゴル

いやいや、アマチュアの場合はどっちもだ。むしろ、スイング一番、筋肉二番ぐらいがちょうどいい。

後輩A
後輩A

だったらやっぱり、「ゴルファーは切り返しが命」になるわけだ。

パンゴル
パンゴル

そうなるね。そうなんだけど、そもそも順番をつけようとするからおかしな話になるんじゃないかな。

 

どっちも大事であることに変わりはない。飛ばしの原動力はあくまでも筋肉。そして、その効率を高めるのがスイング技術って考えたらどうだろう?

 

ほんで、そのスイング技術の中でも飛ばしへの寄与度が高いと思われるのが切り返しだってこと。

 

よく、ボディービルダーを引き合いに出して、「使える筋肉、使えない筋肉」なんてことが語られるけど、順番をつけたがる人は、ウェイトでつけた筋肉は使えない、と考えてしまうタイプに多いんじゃないだろうか。

 

基本的に使えない筋肉なんてないんだよ。実際には、自分が使いこなせていないだけなんだ。

 

身体能力が上がれば、それに応じた技術レベルの向上が求められるし、技術レベルを向上させるには、身体能力の向上が欠かせない。つまり、筋肉と技術は、持ちつ持たれつの関係なわけだ。

筋トレでつけた筋肉は「使えない」ではなく「使えていない」だけ
「使える筋肉・使えない筋肉」このフレーズと一緒によく引き合いに出されるのが、ボディービルダーの筋肉とアスリートの筋肉でしょう。前者の筋肉は見せかけで、後者の筋肉が本物であるという認識は、解剖学的・組織学的にみて全く根拠のない迷信です。
後輩A
後輩A

ら、ラジャー。あやうく泥沼に足を踏み込むところでした。

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パンゴル
パンゴル

ここでちょっと質問させてもらうけど「力」と「パワー」は違うって知ってた?

後輩A
後輩A

へっ?違うんですか?どこが?一緒だと思ってました。

パンゴル
パンゴル

「力」ってのは、例えば床に置いてある10㎏の荷物を持ち上げるとき必要な力は10㎏ですよー、って感じだ。(力の単位はNですが、ややこしくなるので、kgにしています)

後輩A
後輩A

まんまじゃないですか。砂糖は甘いって言ってるようなもんですよ。

パンゴル
パンゴル

対して「パワー」ってのは仕事率のことで、こなした仕事をかかった時間で割ったものとして定義される。

 

仕事とは、[力×距離]のこと。

10kgの荷物を持ち上げて、70㎝の高さの机の上に置けば、[10㎏×70㎝]分の仕事をしたってことになるわけだ。

 

そこで、仕事率なんだけど、これは要するに、ある一定時間内に、その人がこなせる仕事量はどのくらいかってのを評価するものなんだから、この[10㎏×70㎝]という仕事を、かかった時間で割れば求められるんだよ。

 

したがって、パワーの計算式はこうなる。

パワー = 仕事/時間 = 力 x 距離/時間 = 力 x 速度

後輩A
後輩A

ふーん・・・・でっ?それが何か?

パンゴル
パンゴル

でっ?って・・・・ようするに、与えられた仕事を素早くこなす能力のことがパワーってこと。

 

ゴルフで例えるなら、スイングという仕事を素早くこなせる人が、パワーに秀でている人になるわけで、力の強い人=パワーのある人、っていう単純な図式では表せないんだ。

 

プロはクラブを楽に振っているように見えるけど、一般のアマチュアより遠くに飛ばせるだろ?つまりスイングの効率が良いから、変に力む必要がないわけだ。だから、プロは力まず、そして楽にパワーを発揮していることになる。

 

後輩A
後輩A

・・・言いたいことが見えてきました。

力が強けりゃパワーがあると考えるのは短絡的すぎる。技術レベルを向上させることも、パワーアップにつながるよと、そういうことを言いたいわけですね。

パンゴル
パンゴル

そうそう。パワーアップって言葉から、筋力アップを連想する人が多いと思うんだけど、実のところ、技術レベルの向上もパワーアップに貢献するんだ。力の伝達効率を高めるスイングを追求するとかね。

 

そう考えるとやっぱり、切り返しにおける筋肉の状態に着目しないわけにはいかない。ダルダルの筋肉よりも、ビンビンに張った筋肉のほうが、与えられた仕事を素早くこなすことができるはずだから。(※ 切り返しにおける筋肉の張りについてのお話は、以下のリンクを参照ください)

#23 手元先行のテイクバックに物申す!体先行(主導)の方が絶対に有利だと思われるその理由(ブルーバード:その6)
【前回(#22)までのあらすじ】なるほど、パンゴルの考え方が見えてきた。ようするに、パンゴルの言う考えろとは、取捨選択をしろってことだ。新しいテクニックを取り入れるのも大切だけど、捨て去ることも大切。ゴルフ界には、毎年のようにいくつもの新し...
後輩A
後輩A

やっと話が繋がってきましたよ。だから、順番をつけるなって言ってたんだ。

パンゴル
パンゴル

やっとわかってくれたか。そういうこと。

 

飛距離を伸ばそうと思ったら、筋トレだけやってもダメ、技術練習だけやってもダメで、両方やらないといけない。

 

でも、プロの場合は少し話が変わってくる。プロゴルファーは、当然ながら、非常に高い技術を既に持っている。よって、技術レベルの向上によってもたらされるパワーアップは、ほぼほぼ限界にまで達しているとみなしていい。

 

そうなると、筋トレをメインに据えない限り、飛距離アップは望めないってことになるな。

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後輩A
後輩A

んっ、ちょっとまってくださいね・・・・

 

ずっとモヤモヤしていたんですが、筋トレって自分の発揮できる力を大きくすることですよね。例えば、30㎏までしか持てなかった自分を、50kgまで持てるよう肉体改造する、みたいな。

 

でも、さっきの話しでは、実際に10㎏の荷物を持つために必要な力は、その荷物と同じ10㎏分の力で十分だったわけで、つまり、筋トレして50㎏分の力を発揮できる能力を得たとしても、結局は宝の持ち腐れになるんじゃないんですか?

 

ようするに、クラブを振れるだけの筋力、もしくはそれを少しだけオーバーするような筋力があれば、それで十分じゃないかって話です。

パンゴル
パンゴル

えっ、そんなとこまで気づいたの?すごい!成長したなー!

後輩A
後輩A

褒めるよりちゃんと説明してください。ほれ、早く。まさか、説明できないわけじゃないですよね?

パンゴル
パンゴル

心配するな。まずはこれを見ろ。

(パワーアップの科学:金子 公宥 著、より引用

後輩A
後輩A

難しそうで見るのも嫌ですが、せっかくだから見てみます。

パンゴル
パンゴル

いやいや、この図を読み解くのは非常に簡単。これは、「速度」「力」「パワー」の3つの関係を表している図になる。そして、対象となっている運動は、レッグエクステンションという脚を曲げた状態からピーンと伸ばす運動だ。大腿四頭筋など、太もも表側の筋肉を鍛える運動になる。

 

まずは、速度と力の関係から見て行こう。この関係に対応しているのが、左上から右下にのびる、少し下に凹んだ曲線だ。横軸に「力」とあるけど、これは単位が「kg」、すなわち、負荷となる重りの重量だと思ってもらっていい。

 

この図から、当たり前だけど、負荷が0kgのとき、最も速い速度で、筋肉を収縮させることができるとわかる。そして、重りが重くなるほど、筋肉の収縮速度は遅くなり、各曲線と横軸が交わる点、いわゆるここが、最大筋力となって収縮速度が0m/sになるわけだ。

 

ゴルフで言えばとどのつまり、軽いクラブ程速く振れるってことを、この図は言ってるわけだよ。

後輩A
後輩A

はいはい。ここまでは理解。

パンゴル
パンゴル

つづいては、パワーと力の関係を見ていく。

 

山型の曲線が、パワーと力の関係に相当するわけだけど、最初に注目すべきはピークの高さの違いだな。

後輩A
後輩A

ふむ。しかし自転車競技の選手は凄いですね。圧倒的。あの太腿のでかさを見れば納得の結果です。

パンゴル
パンゴル

うん、脚に関しては、自転車競技の選手はすごい。でも、他に何か気付かない?

後輩A
後輩A

長距離選手は、持久筋が発達しているからか、最大筋力は小さいし、パワーのピークも低い。

パンゴル
パンゴル

うーん、もう一押し。どうせなら、パワーのピークの高さは、最大筋力が大きい人ほど高くなっていると言ってくれ。

 

ということは、パワーアップするには、最大筋力をアップさせれば良いってことがわかる。

 

だから、持ち上げることのできる重量を大きくすることは決して無駄にはならないし、むしろ、どんどん大きくするべきであると言える。

 

もっと言えば、最大筋力の大きな自転車選手の方が、長距離選手より筋肉の収縮速度が速いってこともわかるだろ。[力と速度の関係に注目]

ようするに、筋力強化は、スピードアップにも貢献するってことだ。

 

こんな感じでどう?質問の答えになった?

後輩A
後輩A

うっ、その通り。俺が疑問に思っていたことが、このたった一枚の図によって解決されました。・・・ありがとう・・・ございます。

パンゴル
パンゴル

なんか悔しそうだな。まあいいわ、許す。

 

そしてな、話はまだ終わらない。次に注目するのが、パワーの曲線のピーク位置である。

 

微妙にだけど、各曲線のピークの位置が、右にずれて行ってるのがわかるか?最大筋力が大きいほど、ピークの位置が右にずれて行くんだよ。

後輩A
後輩A

そう言われれば、そうですね。微妙に右にずれていってます。

パンゴル
パンゴル

ここがポイント。よく聞けよ。

 

横軸は重りの重さを表しているって言ったよな。ゴルフに例えれば、クラブの重さが横軸ってことになる。

 

つまりだな、最大筋力が大きくなれば、ピークが右にずれるのだから、筋トレで力をつけたら、その分クラブ重量を重くしないと、バランスが崩れてしまうわけだ。

 

したがって、クラブの重量は、自分の最大筋力とパワーのピークを勘案しながら決定するのが論理的で、軽すぎるからダメ、重すぎるからダメだという、感覚だけに頼った重量選択では、泥沼にはまり込んでしまう可能性があるんだ。

 

ただ、論理的とはいっても、はっきりとした、自分にとっての最適な重量がわかるわけではないのだから、基本的な考え方として、筋トレしている人は、徐々にクラブを重くする方向で調整する、ぐらいに考えるのが現実的だろうね。

 

ヘッド重量を重くすることができれば、運動量が大きくなって、飛距離が伸びる。そう考えて行けば、飛ばしとは、結局筋肉ってことになる。

 

(※ 最大パワーは、最大筋力の30%程度の力(荷重)を扱ったときに発揮されると言われています)

 

後輩A
後輩A

今度は素直に、ありがとうです。よくわかりました。

パンゴル
パンゴル

うん、それでいい。

 

よかったら、図を引用させてもらったこの本、読んでおくといいぞ。教科書みたいな本だけど、難しい公式は出来てこないから大丈夫。十分理解できるはずだ。

後輩A
後輩A

わかりました。機会があれば。

パンゴル
パンゴル

なんだその言い方。まあいいわ。

 

あとな、この本をもとに「高身長ゴルファーに飛距離で勝つためのパワーアップ戦略」って記事を書いたから、見ておくといい。

高身長ゴルファーに飛距離で勝つためのパワーアップ戦略
2019年の米ツアー・日本ツアーにおけるドライビングディスタンスランキング上位100人の平均飛距離を計算したところ、米ツアーが300.9ヤード、日本ツアーが287.5ヤードでした。その差13.4ヤード、アイアンで1番手強の飛距離差に相当します。この飛距離差の要因は何のなのか、真っ先に思い当たるのが身長差(体格差)ではないでしょうか。しかし残念なことに、大人はこれ以上身長を伸ばすことはできません・・・・。解決策はフィジカルの強化。パワーと力の関係性を紐解いて、欧米人にもひけをとらないパワーアップ戦略を立ててみたいと思います。
後輩A
後輩A

はい。参考にさせていただきます。

 

やっぱ、飛ばすには、筋トレしたほうがいいみたいですね。ゴールドジムに入会しようかな・・・

パンゴル
パンゴル

それがいいね。もしくは、ダンベルとベンチを買って、家でやるかだな。

 

とはいえ、技術練習も忘れるなよ。両方やって、パワーアップは図るべしだ

<#25へ、つづく>

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