新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

ゴルフメカ談議へGO!

#22 ゴルフ本より役に立つ!スポーツ科学本にはゴルフスイングのヒントが満載だ(ブルーバード:その5)

ゴルフメカ談議
【前回(#21)までのあらすじ】後輩Aは、パンゴルからおすすめされたゴルフ本を読んでみようとは思っているのだが、決してノリノリというわけではない。というのも、どのみち決定的な何かが書いてあるゴルフ本なんて存在しないと聞かされたからだ。仕事で忙しい日々を送っている後輩Aにとって、時間は貴重な存在であり、無駄にはできない。しかも、パンゴルのように妄想(思考)を働かせ、スイングのヒントを見つけるような芸当が、自分にもできるのか不安なのである。「まあ、ぼちぼち読んでいけばいいか」そう思いながら、ビールを口に運ぶ後輩Aであった。幸せを運ぶ青い鳥が目印の焼き鳥店「ブルーバード」にて。
後輩A
後輩A

あのー、ひと言いいですか?

 

パンゴルさんのようなスイングオタクにとっては、ゴルフ本は格好のエンターテイメントかもしれませんが、俺のようにゴルフをプレーすることに喜びを感じる普通の人間にとっては、そこまでスイングを追求することに魅力を感じないんですよね。

 

だから、本を読むと言っても「ぼちぼち」って感じで、なんというか、ゴルフ本を読んでもうまくなるわけではないっていうのを、身をもってを実感しているわけで、時間もとられるわけですし、興味はあるんですけど、とどのつまりノリノリってわけでは・・・

パンゴル
パンゴル

わかったわかった。みなまで言うな。その気持ちはよーくわかる。

 

俺も、ちょっと前まではとにかく球を打つことが好きだった。だから、練習場では最低でも500球は打ってたんだけど、今や素振りで満足してしまう体になってしまった。

 

毎日素振りをしていれば、自然と自分の体の動きに集中するようになる。すると、球を打っているときには感じられなかった新しい感覚ってやつが芽生えてきて、「もっとこうすればスムーズに気持ちよく振れるはず!」って具合に、無理のない体の動きを追求するようになったんだよ。

 

それが、本を読む原動力になったし、挙句の果てに俺のようなスイングオタクが出来上がってしまったってわけだ。

後輩A
後輩A

なんか答えになっていないような気がしますが・・・ようするに、本を読むモチベーションがいまいち湧いてこないんですよ。

 

俺の探究心をくすぐるような、特別な何かがあれば別ですが、結局自分はゴルフのプレーを楽しみたい。より楽しくするための手段が本を読むことであり、目的ではないんです。

パンゴル
パンゴル

あー、言っちゃった。「それを言っちゃあおしまいよ」なんてね。

 

確かにそうだな。あまりにもお前が聞き上手だったんで、気持ちよくなっちゃって、しゃべりすぎてしまった。すまん、すまん。

 

ほんじゃこうしよう。ゴルフ本を読む前に、一般教養として、スポーツ科学の本を読んでみるってのはどうだ?

 

それを読んでみて、スポーツを科学することに興味を持ったら、ゴルフ本を読んでみるって感じだ。それだったら、費やす時間も最小限に抑えられる。興味が湧かなかったら、その先にあるゴルフ本を読まなくてもよくなるんだから。

後輩A
後輩A

賛成!

 

俺って、知的好奇心はある方だと思うんですけど、時間の浪費が嫌なんですよね。100冊もゴルフ本を読むほど暇人じゃないし。

パンゴル
パンゴル

・・・酒が入ってきたからなのか、言い方にトゲがあるな。

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後輩A
後輩A

ところで、そのスポーツ科学の本ってやつを早く教えてくださいよ。はよっ。

パンゴル
パンゴル

ちょっと待ってくれ。ビール頼むから。

 

後輩A
後輩A

あー、時間がもったいない。時間の浪費とはこのこと。この待ってる時間さえ無駄にしたくない。待ち時間分の時給請求しますよ。俺は暇人じゃないんでね。

パンゴル
パンゴル

(なんか嫌なことでもあったのかな?それか、イエーガー飲ませ過ぎたのかも)

 

まあまあ落ち着いて。

 

これが、俺のおすすめするスポーツ科学の本「<知的>スポーツのすすめ」だ。ドンッ!

後輩A
後輩A

東大からの出版物ですか。俺の出身校ですね。

パンゴル
パンゴル

えっ、お前東大出身なの?みかけによらないなあ。

後輩A
後輩A

ええ、略せば東大になる大学の出身です。

パンゴル
パンゴル

・・・キレがない。アサピのスーパードゥライ、頼もうか?

 

しかし、ただでさえこのサイトはアクセスが少ないって言うのに、そんなつまんないこと言ってどん底に落とすような真似はやめてくれよ。

後輩A
後輩A

気になるならカットすればいいだけですよ。

 

それより、この本の何がいいのか、早く教えてください。ったく、時間がもったいない。

パンゴル
パンゴル

開き直りがすごいな。

えー、それでは、この本の何がいいのかを説明していくぞ。

 

まず一つ目は、難しい物理公式が一切出てこないところだ。だから、誰でも読める。中学生のうちに読んでおきたい本である。

 

ところで、子供は今何歳?スポーツやってるか?

後輩A
後輩A

15歳の中学生です。野球やってます。

 

パンゴル
パンゴル

そうかー。じゃあ是非とも親子共々読んでもらいたい。早いうちにこの本を読んでおけば、高校生になって部活が本格化していったときに絶対に役に立つ。

 

ほら、早くポチッたほうがいいぞ。

後輩A
後輩A

いや、まだです。それは話を聞いてから。

パンゴル
パンゴル

それじゃあ、二つ目。

スポーツ全般に渡る幅広い知識を習得できる。これこそが、スポーツ科学本のメリットだ。ゴルフに限らず、陸上競技各種、野球、サッカーなど、何にでも役に立つ基礎知識が習得できる。

後輩A
後輩A

なるほど、それは何となく想像できてました。次!

パンゴル
パンゴル

そして三つ目が、「なぜ」に答えることを基本コンセプトにしているところだ。実はこれが、本書をおすすめする最大の理由であり、普通のゴルフ本にはない部分でもある。

 

ゴルフ本でよく見かける「○○だからこうしなさい」ってのは、一見「なぜ」に答えているようだけど、実のところ、自分の主観を言葉にしただけに過ぎず、読者の「なぜ」に答えているわけではないんだ。

 

根拠とは客観的に運動を観察した上で提示されなければならない。この本はそこに言及しているのだから、そこら辺のゴルフ本とは説得力が全然違う。

後輩A
後輩A

おーっ、なるほどね。やっと納得できそうな話が聞けました。

 

とはいえ、この本はスポーツ全般にわたって書かれた本なわけでしょ。ということは、ゴルフに応用するなら、自分なりにアレンジを加えることが必要になる。

 

何か具体的に、この本に書かれていたことをゴルフに応用した、パンゴルさんなりの解釈を聞かせてくれませんかね?

パンゴル
パンゴル

興味を持ってくれたようでうれしいよ。

 

色々ありすぎて逆に困るんだけど・・・それじゃあその中から、個人的にこれは面白過ぎる!って思ったエピソードを例に話していくことにしよう。

後輩A
後輩A

当たり前です。面白過ぎるやつを話してください。誰もつまんない話は期待していませんから。そういうところが、このサイトのアクセス数が低迷している理由なんです。

パンゴル
パンゴル

・・・。

 

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パンゴル
パンゴル

えー、それでは説明してくぞ。

 

この本の著者、深代千之先生は、日本のスポーツ・バイオメカニクスの草分け的存在。日本女子体育大学学長、東京大学名誉教授、日本体育学会会長、日本バイオメカニクス学会会長、という経歴を持ち、本もたくさん出していて、ようするに凄い人だ。

後輩A
後輩A

ようするに凄い人って・・・その表現力、小学生並みですね。

パンゴル
パンゴル

そしてその凄さはこの本にも表れている。とにかくわかりやすいんだ。凄い人ってのは、難しいことをわかりやすく教えてくれるんだな。

後輩A
後輩A

ん、はい。それはわかりました。けど俺は、パンゴルさんの具体的な解釈を聞きたいといったはずです。

パンゴル
パンゴル

そうだったな。

 

さて、俺が面白いと思ったのは、この本で紹介されていた宮下充正博士のテニスラケットを使った実験にある。要約するとこうだ。

 

グリップエンドは何も固定せずに、テーブルに立てただけの「棒立ちラケット」と、万力でガチガチに固定した「万力ラケット」の2つを用意する。

 

そして、この2つのラケットのスウィートスポットに、テニスボールを当てて跳ね返る様子をビデオカメラで撮影するという実験を行った。

 

ここで緊急クエスチョン。どっちが大きく跳ね返ったでしょうか?

後輩A
後輩A

万力の方じゃないですかね?

パンゴル
パンゴル

ブーッ。答えは、両者には差がなかったんだ*。この結果をもってして、インパクトでグリップを強く握り込む必要性はないと結論付けられている。

 

ただし、スウィートスポットに当たることが前提条件。芯を外してしまえば、この理屈は成り立たない。

*: 「<知的>スポーツのすすめ」に記載の表現は、「差がなかった」となっています。「同じだった」とはなっていませんので、もしかすると、万力の方が若干大きく跳ね返ったのかもしれません。しかしながら、著者の深代先生が「インパクトでグリップを強く握る必要性はない」と結論づけていらっしゃることを鑑みれば、その差は非常に小さなものであり、ほとんどなかったと考えていいと思います。
後輩A
後輩A

まあ、その質問の仕方からして、結果はうすうすわかってたんですが、忖度して万力って答えたんですよ。

 

とはいえ、確かにこの結果、興味深いですね。すると何ですか、ゴルフでも同じこと、グリップは強く握り込む必要がないと、そういうことですよね?

パンゴル
パンゴル

そういうことだ。

 

さて、グリップの強さには「ゆるゆる」がいいか「しっかり」がいいかの論争があるだろ?結論を言えば、芯に当てることができるほどの技量を持った人は「ゆるゆる」でOK。

 

でも、芯を外してしまうお前のような下手くそは「しっかり」握ったほうがいいんじゃないかってことになる。

後輩A
後輩A

なんかムカツクナー、その言い方。

俺も芯に当たることはありますよ。というか芯に当たることを前提として、俺は「ゆるゆる」に握ってます。

パンゴル
パンゴル

ちょっとだけ反撃させてもらったまでだ。怒るな。

 

まあ、「しっかり」握りすぎると、ヘッドの走りにも影響すると思うから、グリップは今のままで良いと思うぞ。

後輩A
後輩A

はいよ。ちなみに面白話はこれだけですか?

パンゴル
パンゴル

いやいや、たったこれだけのエピソードだけど、ここから話を膨らませることができる。

 

そうだな、王子の称号を持つ、手打ち代表のプロがこう言ってたんだ。「ゴルフクラブは当たり負けするからしっかり握れ」ってな。この実験結果から、そんなこと必要無いっていうのがわかるだろ?

 

そして、「当たり負けするから、インパクトではフェースを返せ」とも言っていたんだけど、そもそも当たり負けは芯を外した時に起きるのだから、芯に当てる方法を考えるべきであって、フェースを返すってのは本質ではない。

 

つまり、このテニスラケットの実験結果を知っているだけで、間違った教えを排除することができるようになって、ゴルフスイングをよりシンプルに考えることができるようになる。結果的に、上達までの時間が短縮されるわけだ。

 

時間の浪費が嫌いなんだろ?だったら本を読まなくちゃ。そして考えれば、結果的に時間短縮につながるんだよ。

 

パッパパッパと仕事をこなせばいいってもんじゃない。効率とは、投資した時間に対しての見返りや利益の大きさまで考慮して評価すべきものなんだぜっ!

後輩A
後輩A

うっ、なんだかチクチクと、嫌なところを突っついてきますね。

パンゴル
パンゴル

まあな。外資系でサラリーマンやってたから、こんなの朝飯前よ。

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パンゴル
パンゴル

よし、ここからはもっと話を膨らましていこう。

 

テニスラケットの実験から、グリップを強く握る必要はないってことはわかった。当たり負けも心配しなくていい。

 

となると、残るは感覚の話になる。プロがよく言う「インパクトで右手を押し込む」っていう感覚は本当に必要なんだろうか?

 

後輩A
後輩A

んっ、今度はプロの感覚の話ですか。その心は?

パンゴル
パンゴル

乱暴な言い方だけど、テニスラケットの実験は、芯に当てさえすれば何とかなるってことを教えてくれた。

 

棒立ちラケットでも、万力ラケットと同じだけの跳ね返り量が得られるんだから、飛距離に関して言えば、別に右手で押し込む意識なんていらないはずだろ?

後輩A
後輩A

確かにそうなりますね。ただただ、芯に当てさえすれば、ボールは勝手に飛んでいくと。

パンゴル
パンゴル

そこで、「力積」という概念に着目する。力積とは、「加える力」と「力を加えた時間」の積で表される物理量。そして、飛距離はこの力積に比例すると考えられている。

 

ようするに、できるだけ大きな力を、できるだけ長い時間加えてやるのが、飛ばしの秘訣ってことだな。

後輩A
後輩A

ほうほう。

パンゴル
パンゴル

そこで俺は、「右手で押し込む」という感覚に、「力を加える時間」を長くする効果があるんじゃないかって思ったんだ。

後輩A
後輩A

なるほどね。そうなるような気がしますね。

パンゴル

でもな、残念ながら、そうはならないみたい。

ゴルフにせよ、野球にせよ、打具とボールが衝突する時間は極めて短い。だから、事実上、衝突をコントロールすることはできないって、この本には書いてあった。

後輩A
後輩A

えっ、そうなんですか。それは残念。

パンゴル
パンゴル

ただ、マイナスの意味ではできるんだって。バントの勢いを殺すため、ちょっとバットを後ろに引いたり、キャッチャーが補給する際、グラブを引くような動作だな。

後輩A
後輩A

なんか悲しい。

てか、それならなんでこの話をしているのかと不思議に思ってしまいましたよ。力積を大きくできるから、右手を押し込めってシナリオなんかなーと期待するじゃないですか。俺は飛距離って言葉に敏感なんです。

パンゴル
パンゴル

期待にそえなくてすまん。

でもな、こういったことを事前に考えておくことによって、結果的に時間の節約になるわけだ。

 

基本的にゴルファーはみな、飛ばしには貪欲で、あの手この手で飛ばそうと考えてしまう。なかには「右手で押し込む」という動作を練習している人もいるかもしれない。

 

しかし、今言ったように、実際には飛距離にはあまり影響しないんだ。だから、動作としてではなく、なんというか、感覚というか意識というか、その範疇にとどめておくべきなんだよ。

 

感覚としての「右手の押し込み」なら何ら問題ないと思うけど、動作としての「右手の押し込み」は、いささか、やりすぎなんじゃないだろうか。

 

後輩A
後輩A

ふーん、そんなもんなんですかね。

パンゴル
パンゴル

そんなもんだよ。優先順位が変わってくる。

 

インターネットで「右手で押し込む」だとか「ボールを押し込む」なんかをキーワードにして検索してみ。いっぱい出て来るから。

 

「飛ばしの秘訣は押し込むことだ!」なんて書かれていたら、練習しちゃうだろ?でも、押し込むことよりも、結局はヘッドスピードが飛距離の源だと知っていたら、練習の仕方やスイングイメージが変わってくるはず。

 

もちろん、押し込むことがダメって言ってるわけじゃなくて、ヘッドスピードが上がる練習をしていたら、結果的に押し込むように感じになったって言うのなら、全く問題がない。

 

だから、動作としての押し込みはNGだけど、感覚の上での押し込みはOKって話になるんだな。

後輩A
後輩A

感覚の上での押し込みはOKって、これまたわかりづらい。

パンゴル
パンゴル

多分だけど、プロたちの言う「右手で押し込む」は、インパクトの感触について語っているんだと思うぞ。

 

芯でとらえたときの、なんか球がぐしゃんと潰れるような、気持ちいい感覚があるだろ?あの感触が転じて「右手で押し込む」になったのかもね。

 

まあ、芯で打てる人の感覚だから、お前にはわからないかもな。

後輩A
後輩A

出たよ。また、チクチクと嫌味を言いだした。腹立つなー。

パンゴル
パンゴル

ごめんごめん。何か今日のお前は荒ぶってたから、少しだけいじめてみた。

 

話を戻すと、実際問題スイングでの工夫には限界がある。それならば、さっき言った「力積」も、スイングではなく、道具で何とかならんかなと思うんだ。

 

例えば、柔らかいボールを使って、トランポリン効果に期待できるゴルフクラブを使うとか。そうすると「力を加える時間」が長くなるような気がするんだよね。

後輩A
後輩A

そういう気もしますね。でも、柔らかいボールを使えば、力を加える時間を長くできそうですが、その反面、スピン量が増えてしまうような気もします。

パンゴル
パンゴル

俺も思った。

 

まあ俺は、道具に関しては全然詳しくないから、コメントは差し控えるし、仮定のことについては考えないようにしてるから、本当のところはどうなのかわからない。

後輩A
後輩A

さんざん仮定の話しておいて何言ってんだ。政治家気取りかよ。

 

とはいえ、大体わかりました。この本には、ゴルフ本にはない魅力があるってことが。ポチッときますね。子供と一緒に読みます。

 

パンゴル
パンゴル

うん、それがいい。

#23へ、つづく>

#23 手元先行のテイクバックに物申す!体先行(主導)の方が絶対に有利だと思われるその理由(ブルーバード:その6)
【前回(#22)までのあらすじ】なるほど、パンゴルの考え方が見えてきた。ようするに、パンゴルの言う考えろとは、取捨選択をしろってことだ。新しいテクニックを取り入れるのも大切だけど、捨て去ることも大切。ゴルフ界には、毎年のようにいくつもの新し...

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