新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

ゴルフメカ談議へGO!

#18 飛ばしの技術はトレードオフのオンパレード(ブルーバード:その1)

ゴルフメカ談議
夕食後、いつものようにYoutubeで登録チャンネルのチェックを始めた後輩AのスマホにLINEメッセージが届いた。「明日、東京に戻るから今から飲もうか」パンゴルからだ。時間は9時を過ぎている。一瞬迷ったが、最後だからと自分に言い聞かせ、誘いに乗ることにした後輩Aは、パンゴルが待つ青葉町の焼き鳥店「ブルーバード」に向かうことにした。パンゴルと馬刺し居酒屋「馬ウマ天国」で飲んでから2週間。ゴルフについて語り合ってきた2人だったが、それも今日でおしまいだ。パンゴルの、上から目線の偉そうな講釈にカチンとくることもあったけど、論理的整合性を重視するパンゴルの姿勢は見習うべきだよなあ、そんなことを思いながら、後輩Aは焼き鳥屋の扉を開ける。幸せを運ぶ青い鳥が目印の焼き鳥店「ブルーバード」にて。
後輩A
後輩A

おつかれっす。

パンゴル
パンゴル

おっ、来たな。お疲れさん。

後輩A
後輩A

この店入るの初めてですよ。よく来るんですか?

パンゴル
パンゴル

うん、昔はよく来てた。朝5時まで開いてるから、眠れないときなんかにもね。実家から徒歩5分だし、マスターとも気が合うし・・・だいたいは他で飯食った後に来るから・・・・実を言うと、ここの焼き鳥食ったことない。

後輩A
後輩A

えっ、焼き鳥屋で焼き鳥を食ったことがない?やっぱり変な人だ。

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パンゴル
パンゴル

ところで、ゴルフの調子どう?

後輩A
後輩A

スイング自体はなんか楽になった気がします。昔は練習場で球を打つと、体がギシギシと音を立ててるような感じだったのが、今はそれほどでもないですから。

 

それに伴って、飛距離も伸びたように思うんですが、劇的に伸びたわけでもない。まあ、こんなもんかと思っているところです。

パンゴル
パンゴル

飛距離はなー。スイング技術が上がれば当然ある程度は伸びるけど、一瞬で劇的に伸ばすってのはやっぱ難しいわな。基本的には、技術を磨いて効率を追い求め、それと並行してフィジカルを強化する、これが王道だろうね。だから時間がかかる。

後輩A
後輩A

でしょうね。まあ、ぼちぼちやっていきます。

パンゴル
パンゴル

だね。とはいえ、これだけは知っておいたがいいぞ。

 

「飛ばしの技術はトレードオフのオンパレード」だってこと。あっちを立てれば、こっちが立たず、って感じだな。

 

細かいことを言えば、色々あると思うんだけど、代表的なところでは、「スイングアーク(回転半径)におけるトレードオフ」、そして「体重移動におけるトレードオフ」に分けられると思う。

後輩A
後輩A

ほほう。最後ですから、聞いときますよ。ようするに、今日はそれを喋りたかったわけでしょ?

パンゴル
パンゴル

うん、喋りたいけど・・・なんか見透かされてるみたいだな。

後輩A
後輩A

そりゃそうですよ、この2週間、どんだけ話を聞かされたと思ってるんですか!

パンゴル
パンゴル

確かに。この前の練習場なんて、球を打ってるお前より先に俺のほうが疲れてしまったからな。喋りすぎて。

後輩A
後輩A

その通り。俺が聞き上手でよかったですね。

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パンゴル
パンゴル

ところでだ。さっき言った「スイングアーク(回転半径)におけるトレードオフ」と「体重移動におけるトレードオフ」について。それぞれに代表選手を立てて話していきたいと思う。

後輩A
後輩A

はいはい。大体想像できました。

マキロイとデシャンボーでしょ。

パンゴル
パンゴル

・・・よくわかったな。

 

ただ、マキロイはロイマキと呼んでたはずだけど・・・

後輩A
後輩A

そりゃ失礼。じゃあロイマキにしときます。

 

それとね、2週間も話聞かされてるんですから、どうせこんな感じに分けるんじゃないかってのもわかってくるんすよ。先に俺のほうから言っときますね。

 

  • ロイマキ:オーソドックススイングの代表選手
    スイングアーク(普通)、体重移動(普通)
  • デシャンボー:変則スイングの代表選手
    スイングアーク(大きい)、体重移動(小さい)
パンゴル
パンゴル

そのとおり!かしこいなー。

 

ということで、まずは、デシャンボーがまだ今のように体をでかくしていなかったころの、二人の平均ドライビングディスタンスを比べてみる。ソースはPGA TOURのサイト、対象年度は2019年だ。ほれ、見てみ。

 

  • ロイマキ:平均313.5ヤード、2位
  • デシャンボー:平均302.5ヤード、34位タイ
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後輩A
後輩A

えっ!この頃のデシャンボーって34位だったんですか!意外や意外!

パンゴル
パンゴル

そうなんだよ。我らが松山英樹よりも下にランクされていた。

ちなみにこのときの1位は、キャメロン・チャンプだ。平均317.9ヤード。

後輩A
後輩A

筋トレの効果ってすごいんですね!

パンゴル
パンゴル

うん、すごい。もちろんスイングも変えたとは思うんだけど、それでもこれを見る限り、筋トレによる効果の方が断然上のように感じるね。

後輩A
後輩A

くはー!なんかテンションあがるぅ!今、俺のテストステロン値も上昇したように感じます!

パンゴル
パンゴル

そして2020年のデシャンボー、知っての通り堂々の第1位だ。

平均飛距離はなんと・・・322.1ヤード!

約20ヤードもの飛距離アップを成し遂げたのである!

後輩A
後輩A

うおっ、すげっ、すごっ!

思わずビール一気飲みしちゃいましたよ!

パンゴル
パンゴル

今日はなんかテンション高いなー。

 

まあいい落ち着け。というのも、話そうとしていたのは、筋トレの効果じゃなくて、スイング技術のトレードオフに関してなんだから。

 

そもそも、効率の良い飛ばしに適したスイングとはどういうものか、そこから考えないといけない。だから、2019年の成績に着目したんだよ。

後輩A
後輩A

失礼。あの生意気なデシャンボーも努力したんだなって思ったら・・・なんだか感極まってしまって・・・

 

パンゴル
パンゴル

その気持ちはわかる。でも話はまだまだ序盤、もう少し冷静にいこう。

 

まず事実として、ロイマキもデシャンボーも超のつく一流プロだ。だから、彼らのスイングは、98%完成していると考えていい。100%と言いたいんだけど、それだと伸び代がなくなるから、あえて98%にしておいた。

 

そして、その完成されたスイングをもって計測された2019年のドライビングディスタンスでは、ロイマキがデシャンボーを圧倒している。

 

この事実、どうとらえる?

 

後輩A
後輩A

ういっす。

 

俺が思うに、肉体に依存せず、技術だけで判断したときの飛ばしのスイング効率は、ロイマキのようなオーソドックススタイルに軍配が上がるのかなと、そう判断できます。

パンゴル
パンゴル

そだね。2019年の成績だけ見れば、オーソドックススイングのほうが、デシャンボースタイルよりも効率がいいと判断できるわけだ。

 

しかしながら、デシャンボーのスイングは変則的。それを乗りこなすには、必要とされる筋力レベルがもともと高かっただけなのかもしれない。

 

要するに、デシャンボーのスイングはF1エンジンを要求するのに対し、ロイマキのようなオーソドックススイングは、クラウンなどの高級車レベルで性能を充分発揮できる、みたいな感じだな。

 

なので、2020年、F1エンジン並みの肉体を作り上げたデシャンボーは、一気にドライビングディスタンス1位に輝いたと。

 

だったら、オーソドックス勢も筋トレだ!と思うかもしれないが、そこはスイングの造り自体がクラウンレベルなのだから、F1エンジンを乗っけたとしてもオーバースペックとなって、逆に性能を発揮できなくなる可能性が考えられるわけだ。

 

例えば10年後、スイングの解析技術が進んだ結果、実は、デシャンボースタイルが最も理に適ったスイングだった、なんてことが判明するかもしれない。

 

つまり、オーソドックススイングは造り自体が高級車。対して、デシャンボースイングの造りはF1カーだった!ってこと。

後輩A
後輩A

それは無きにしも非ずですが、考えにくいですね。

パンゴル
パンゴル

まあ、今の話ははたとえ話だからあんまり気にしなくていいんだけど、結果だけから判断するとオーソドックスの方が効率がいいって話にもなれば、いやいやそうじゃなくてデシャンボースイングはF1カーでだな・・・みたいなことになるってことだ。

 

そういうときは、各スタイルのメリットやデメリットなどを論理的に考えてみればいい。

後輩A
後輩A

なるほどね。妄想癖のあるパンゴルさんならではだったんすね。

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パンゴル
パンゴル

そして、ここからが本題だ。

 

色々考えた結果・・・結局は、オーソドックススイングとデシャンボースイングはトレードオフの関係にある。それが結論だ。

 

特別、デシャンボーのスイングがF1カーってわけでもない。

後輩A
後輩A

まあ、最初にトレードオフの関係にあるって言ってますから、わかってましたよ。

パンゴル
パンゴル

まず、スイングアークにおけるトレードオフについて。

 

スイングアークは単純に、デシャンボーのほうが大きくなると考えていい。見ればわかる。しかし、トルクを細分化して見てみると、結局のところ、合計値は変わらないような気がするんだ。

後輩A
後輩A

それは前聞いた覚えがあるので、なんとなくわかります。α、β、γトルクに細分化して考えると、要するにデシャンボースイングはαトルクを最大化できるが、βトルクが小さくなるって話でしたね。

【スイング探究】「α, β, γトルク」を理解して飛距離アップを狙う!
皆さまご存じの通り、ゴルフスイングは回転運動です。しかし、2次元的に考えてしまうと、説明が非常に難しくなってしまいます。時計のように、単一軸周りの回転運動であれば、わざわざ「α, β, γ-トルク」など分解して考える必要はありませんが、ゴルフスイングは3次元的な回転運動であり、そのスイング系全体の回転運動は、3つの軸による回転運動が合成されたもの、つまり「α, β, γ-トルク」が合成されたものと考えられているからです。

 

パンゴル
パンゴル

そのとおり。

 

言い換えれば、オーソドックスのαトルクは、デシャンボーのように大きくはないが、その代わりにβトルクが大きくなる。だから、トルクの合計値はさほど変わらないと思われる。

 

数値を計測したわけではないから、はっきりとしたことは言えないけど、そんなもんだろうね。

 

わかったような口をきけば、エネルギー保存の法則みたいなものだ。

【スイング探究】腕とシャフトに角度を付けたインパクトが飛距離を生み出すその理由
デシャンボーはひとまず置いといて、ほとんどの方が腕とシャフト間に角度をつけたアドレスをとっていると思います。しかしながら、この角度がインパクトでも維持されているかどうか、意識している方は少ないのではないでしょうか。実は、この角度の維持に飛ばしの秘密が隠されていると私は睨んでいます。今回はその秘密を探っていくことにしましょう。

 

後輩A
後輩A

納得。次、お願いします。

パンゴル
パンゴル

続いて、体重移動のトレードオフについて。

 

オーソドックスな体重移動では「並進」と「回転」、これら両方の運動が起こることになる。順番としては、もちろん並進が先で回転は後だ。このような体重移動の利点は、並進移動の勢いが回転運動に変換されるということ。そして、この回転運動の向きは、主に地面と水平な向きになることが予想される。

 

対して、デシャンボーの体重移動は非常に小さい。というか、あえて抑えているように見える。アドレスの時点で左足荷重。そして、その体重配分を変えないままインパクトしているように見えるので、いわゆるスタックアンドチルト打法だと言って良い。その結果、さっき言った並進の勢いを回転に変化することができなくなるが、しかしながら、今度は上下方向へ力を使いやすくなるわけだ。

【スイング探究】並進運動を回転運動に変換する体重移動の効果
私は、ゴルフスイングにおいて最も難解であり謎に包まれているのが、下半身の動かし方だと考えています。 なぜなら、切り返し以降、沈み込むべきか、並進方向の体重移動をするべきか、はたまた左一軸打法(スタック&チルト)のように終始左足に荷重し...
【スイング探究】地面反力を利用したジャンプ打法で飛距離もジャンプアップ!
インパクトで地面を蹴り上げ、あたかもジャンプしながら球を打っているかのように見えるジャンプ打法。一昔前までは、体の上下動を極力抑える打ち方が主流でしたが、今や飛距離が重視される時代。GGスイングなど、地面反力を有効に使う理論が台頭してきたこともあり、上下動に対するアレルギーもだいぶ緩和されてきたように感じています。ところでなぜ、ジャンプするとボールを遠くに飛ばすことができるのでしょうか?今回はその秘密を探っていくことにしました。

 

後輩A
後輩A

ははあ。どっちもどっちっていうことですね。

 

ただ、何となく見えてきたのが、地面反力を上下方向に使いたい人は、デシャンボー式、というかスタックアンドチルト打法がいいのかもしれない。そんなところでしょうか。

パンゴル
パンゴル

うん、そうなるね。

 

でも、ロイマキはオーソドックスでありながら、うまいこと沈み込んでから振り抜くような動作も見せる。上下動をうまいこと使ってるわけだ。ロイマキは両刀使いだな。

後輩A
後輩A

ロイマキすげー。

パンゴル
パンゴル

ここで一旦まとめると、今言えるのは、結局色々なことを試しても、トレードオフになる可能性が高いってことだ。

 

どっちが正しいなんていう議論をしても、結局は個々人の体の使い方や感覚に依存するのだし、正確に計測できる技術が確立されない限りわからない。

 

もしかすると、スポーツ科学の研究者ならそういうデータを既に持っているのかもしれないけど、俺は一般人だからどうにもできないし。

 

個人的にはGEARSなんかを使って、各関節におけるトルクなんかが計算できればいいなあと思うんだけどね。その結果、「あなたに適したスイングはデシャンボー式でしたー!」とか出してくれたら、俺はデシャンボースイングに変えてもいい。

後輩A
後輩A

うーん、俺はそれでも変えないかな。

パンゴル
パンゴル

た・だ・し、2019年のドライビングディスタンスを見れば、やっぱり、オーソドックススイングの方が、デシャンボー式より優れているように思われるんだ。

 

だから、普通の人はオーソドックスを極めたほうがいい。もちろん、結果からの推測にはなるけど。

後輩A
後輩A

俺は「普通の人」だと自負しています。

 

ですのでこれからも、ロイマキスタイルで行きます!そして、両刀使いを目指します!

パンゴル
パンゴル

それが無難。

 

ただ、「俺は両刀使いになる!」なんて欲張っていると、痛い目に合うかもしれないから気を付けて。

 

今度は、トレードオフの関係を「飛距離と精度」に置き換えて考えてみればいい。

 

スタックアンドチルトって、並進+回転によるトルクを捨てることにはなるけど、一方、精度が向上する打法だとも言えるわけだ。

後輩A
後輩A

なるほどねー。

パンゴル
パンゴル

だから、目指すのはロイマキ式でも、ショットの精度があまりにも悪く、スコアに大きく影響するようなら、もう両刀使いはあきらめて、デシャンボー式(スタックアンドチルト)にスイッチするくらいの柔軟性はあってもいいと思うぞ。

 

後輩A
後輩A

そうですね。一応、頭の片隅置いておきます。

パンゴル
パンゴル

それともうひとつ。結局のところ、デシャンボーの飛距離が劇的に伸びたのは、筋トレの成果だと思われる。以上!。

#19へ、つづく>

#19 モダン・ゴルフから学ぶ?!本から得た知識を血肉とする方法(ブルーバード:その2)
【前回(#18)までのあらすじ】結局のところ、ゴルフスイングはトレードオフのオンパレードであることを聞かされた後輩A。彼の理想のスイングはマキロイなのだが、スコアによってはデシャンボー式(下半身の使い方)もやむなしと、腹を括らなければいけな...

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