新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

ゴルフメカ談議へGO!

#14 スイングの回転軸は背骨でいい、あとは股関節がうまくやってくれるはず(打ってけ泥棒:6)

ゴルフメカ談議
【前回(#13)までのあらすじ】「脚は単なる土台」であるとパンゴルは言う。これはつまり、ゴルフスイングはあくまでも体幹がメインであり、脚は追従して動くってことだ。物事を難しく考えないタイプの後輩Aは、実にものわかりがいい。自分の中で理屈が通れば、それでOK。あとは行動あるのみだから、少々小難しい話を聞いても、ぱっと切り替えて、球を打つことに集中できる。しかし、10球ほど打った時、パンゴルのつぶやきがまたまた耳に入ってきた。せっかくの打ち放題なのに・・・。時間無制限。打ち放題練習場「打ってけ泥棒」にて。

 

パンゴル
パンゴル

股関節って本当にすごいよな。前後左右斜めにも動くし、そしてぐるぐると回転することもできる。

後輩A
後輩A

唐突にどうしたんですか?独り言なら無視しますよ。

パンゴル
パンゴル

さっきさ、スイング中、意識するのは上半身(体幹)でOK、脚は勝手に動くって話しただろ?それを実現するのに一役かっているのが股関節なんだよな。

 

股関節は球(臼状)関節だから自由度が非常に高い。いうなれば、上半身と下半身をつなぐ連結機構であるわけだ。

後輩A
後輩A

はいはい、球関節を英語で言うとボールジョイント。自動車から電化製品まで、幅広く使われてますね。

パンゴル
パンゴル

人間の股関節は、寛骨臼っていう赤ちゃん用の茶碗をひっくり返したような受け皿に、ボール状の大腿骨頭が嵌ったかたちで形成されている。他にも似たような関節には肩関節があるんだけど、肩は受け皿部分がいまいち頼りないんだ。

 

しっかりとした受け皿を持つ股関節は、地面からの力をびしっと受け止めることが出来て、肩関節ほどの自由度はないけれど、それでも他の関節と比べれば格段に運動の自由度が高い。実にすばらしいね。

後輩A
後輩A

はい、すばらしいと思います。しかし、そんなに感動するもんですか?

パンゴル
パンゴル

うん、感動する。股関節があるから、スイング中、余計なことを気にしないで済むのだから、感動しないわけにはいかないな。

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パンゴル
パンゴル

ここでさっきの話(#13)の続きをしたいんだけど、「脚は土台であり、本来勝手に反応してくれるもの」って言ったよね。このような反応を、フラン・ボッシュさんは、「自己組織的制御」という、何ともややこしい言葉で呼んでいた。

 

しかし、この「自己組織的制御」も、正しい動作の中にあればポジティブな反応を返してくれるのだけど、正しくない動作の中にあったとしたら、いわゆる「代償動作」というネガティブな反応を返すだろうことが十分に予測される。

 

だから、ポジティブな反応を確実に得るためにも、上半身の正しい動きってやつを先に身につけておかなければならない。その手始めとして、絶対に外せないのが、体幹の正しい動きであるわけだ。

 

体幹とは読んで字のごとく、体の幹であるからして、ここが変な動きをしてしまえば、ゴルフスイングの全てがおかしくなってしまう。

 

四肢を除いたいわゆる胴体部分が体幹だから、体幹自体に腕や脚のような器用な動きはできない。でも、その境目には球関節があるだろ?だから、体幹さえ正しく動いてくれれば、肩関節や股関節といった球関節がなんとかしてくれるって考え方もありだと思うね。

 

つまり、体幹の正しい動作が「自己組織的制御」によるポジティブな反応を促す。そして、きっとそうなるはずであると。

※ 「自己組織的制御」については、以下のリンクを参照ください。

【始】なぜ、あなたはトレーニング効果を実感できないのか? ~ コンテクスチュアルトレーニングより ~
効果を感じられないトレーニングはつらいもの、苦痛でしかありません。”トレーニングしたからといって、すぐに効果が現れるわけではない” そう認識していても、やっぱり結果が出るまでは不安でたまらないのですから、ストレスは溜まっていく一方でしょう。しかも、筋肉が付いたとしても、それがスポーツパフォーマンスに直結するとは限りませんから、例えば、ゴルフで言えば、筋肉がついたことで逆にスイングが崩れてしまった、なんてことも起こる可能性があるわけです。「なぜ、あなたはトレーニング効果を実感できないのか?」この問題を避けて通るわけにはいきません。

 

後輩A
後輩A

簡単に言うと、体幹の正しい動きをマスターせいっ、てことですね。

パンゴル
パンゴル

まとめるのがうますぎるな。その通りだ。お前が言うと、一行で済むんだな。

 

ほんじゃあ聞くけど、体幹の正しい動きってどんな動き?

後輩A
後輩A

捻転させるんですよ、捻転。

パンゴル
パンゴル

軸は?

後輩A
後輩A

背骨になるんじゃないかなー。

パンゴル
パンゴル

前傾は?骨盤から前傾する?それとも、骨盤立てて背骨丸める?どっち?

後輩A
後輩A

そこは骨盤から前傾しとくべきでしょう。ロイマキもそうですから。

パンゴル
パンゴル

よし、わかった。それでいいと思うぞ。

 

でもな、最近は、骨盤は立てたほうがいいという教えも出てきた。これはどう理解すべきだろう?

後輩A
後輩A

ど、どうなんすかね。俺はやったことないから、正しいか正しくないかの判断はできないっす。

パンゴル
パンゴル

これははっきりと言わせてもらうけど、骨盤は立てないほうがいい。股関節から骨盤を前傾させるべきだ。

 

理由は色々あるんだけど、一つ目が、骨盤を立てると背骨が丸まった状態になる。丸まった状態というのは、曲がった棒と同じ。わざわざ曲がった棒を軸に体を捻転させて、動きを複雑にする理由がわからない。

 

二つ目が、骨盤は股関節から前傾させたほうが、重いものを持ち上げるのにも好都合という点だ。筋トレする人ならわかると思うけど、デッドリフトのフォームはお尻を後ろに引くようにするのが基本。腰を丸めてしまうと、簡単に腰を痛めてしまう。

 

そして三つ目が、骨盤を立てるという発想に至った根拠やメリットがはっきりしない。骨盤から前傾することのメリットは、シンプルに考えて、背骨軸での捻転および回転運動が容易になること、そして、腰への負担軽減などあるんだけど、骨盤を立てるメリットに関しては、どうにも見えてこないんだ。強いて言えば、上下方向に地面反力を使いやすくなる、ってとこかな。でもこれは、股関節から骨盤を前傾させていてもできる。

後輩A
後輩A

色々言ってますが、ようするに、骨盤は股関節から前傾させろと。俺はそのままでいいってことですね。

パンゴル
パンゴル

うん、またしても一行まとめ。そういうことだ。

 

つまりな、骨盤を立てると背骨は丸まる。すると、体幹が背骨軸周りだけでなく、軸方向(頭から腰方向)にも捻じれた状態になるから、捻転という本来非常に単純な動作が、逆に複雑化してしまうわけだ。

 

実際には、インパクトで背骨が丸まるプロもいるわけだから、絶対にダメだとは言えないけど、それでも、捻転自体が複雑化すれば、それによってスイングも複雑なものになると考えられる。シンプルなスイングを目指すのであればやらないほうが良い。

後輩A
後輩A

うーん、パンゴルさんの話はどうしても長くなるので、ここで一旦、俺なりに要点をまとめさせてもらって良いですか?

 

  • 骨盤は股関節から前傾させろ
  • 体幹は(骨盤もろとも)背骨軸周りに捻転させろ
  • とどのつまり、スイングができるだけシンプルになる動作を心掛けろ

そうすれば、ネガティブな「代償動作」ではなく、ポジティブな「自己組織的制御」が働いて、脚は勝手に正しく動いてくれるはず。

 

こんな感じでしょうかね。

パンゴル
パンゴル

まとめてくれてありがとう。そういうことだ。

 

しかし、よくよく考えてみれば、インパクトで極端に背中が丸まる人は、それ自体が代償動作なのかもしれないな。知らんけど。

後輩A
後輩A

うおっ、「知らんけど」なんていう非常に便利な言葉を使いましたね。責任逃れもできるいい言葉。俺もたまに使います。

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パンゴル
パンゴル

あとはあれだ、両股関節の動きについて復習しておく必要がある。

後輩A
後輩A

もしかすると、以前話したボルトとスパナの話(#2)ですか?

パンゴル
パンゴル

そうそう。いくら体幹を背骨周りに捻転させたとしても、全体のスイングイメージが正しくなければ股関節はうまく機能してくれない。

 

だから、左サイドリードのイメージは持っておくべきなんだよ。右股関節にボルト、左股関節にスパナの柄の持つ部分がくるイメージで、ロイマキ風体重移動(#4)をしたあと、左尻を引いて回転するって感じだな。

 

このイメージを持っていれば、あとは股関節がうまくやってくれるはずだよ。

後輩A
後輩A

はいよ、わかりました。それでは早速やってみます。

 

ていうか、知らず知らずだったとはいえ、もともと背骨軸周りに体幹を捻転させていた俺にとっては、特に有益な情報ではなかったような気もしますが。

 

・・・んっ、待てよ。体幹は背骨を軸に捻転させ、そして右股関節にはボルト、左股関節にはスパナの関係を意識して左サイドリード・・・ということは上半身と下半身で軸がずれることになるんじゃないか?

 

すみません、背骨と右股関節との間に物理的な距離が存在しているんですけど!

パンゴル
パンゴル

いいところに気がつくねー。さすがこれまでさんざんスイングについて話をしてきただけある。

 

これは俺の推測になるんだけど、その疑問を解くカギは、「人間は本来2足歩行の動物である」という事実にあるはずだ。

後輩A
後輩A

2足歩行ねー。どう考えればいいんだろう?

パンゴル
パンゴル

常識的に考えてみよう。

 

当たり前だけど人間の足は2本、そして左右交互に足を前方に振り出して前に進んでいく。このとき、片方の足が地面と設置していれば、もう片方の足は空中にあるわけだろ?ということは、常にどちらか一方に体重を預けながら歩くことになるわけだ。そうすれば必然、身体重心も左右に移動する(揺らぐ)ことになる。

 

これはつまり、人間は歩くとき、左右交互に軸足を変えながら歩くことを示唆しているわけだ。右、左、右、左・・・・って感じでね。この事実をもってして、下半身における人間の基本的な動作原理は「2軸」だと言うことができる。

 

そして、勘違いの元凶は、傍から見れば、重心は揺らいでいるようには見えなってとこにある。常に身体の中心線状に重心があるように見えるわけさ。だから、今お前が言ったように、背骨と右股関節が物理的に直線状にないと見るや、「軸がずれてる、おかしい!」となってしまって、気持ち悪く感じてしまうわけだ。

 

下半身の軸の存在は、左足軸と右足軸をワンセット、これを1周期として考えられなければならない。そう考えて身体重心の位置を平均化すると、結果的に下半身の軸は体のちょうど真ん中に来ることになる。これはつまり、背骨の延長線上に下半身の軸が存在するってことになるな。

後輩A
後輩A

ははあ、なるほどね。

 

現実問題、人間の脚は2本ある。その特性から言っても、下半身は2軸運動が動作原理のはずで、ここを見逃すと迷路にはまり込むってわけだ。

パンゴル
パンゴル

そうだな。

 

したがって、この考え方をゴルフスイングに適用すれば、ダウンスイングは右股関節を基点とした軸で回転、インパクト後のフォローでは左股関節を基点とした軸で回転ってことになるな。

 

多くの人が、本来自然に、こういう動きをしているはずなんだよ。でも、「ゴルフスイングは回転運動なんだから、軸は体の中心に常にあるはずだ!」なんていう先入観や固定観念を持っちゃってるから、逆にこじらせてしまうわけだ。

 

つまり、股関節以下の動きに関しては、基本的に「自己組織的制御」に任せてしまって、左サイドリードのイメージを持ったら、あとは自分の気持ちいいスイングをするだけでいい。

 

ダウンスイングからフォロースイングまで、トータルに考えれば、結果的に体の中心に軸がくるのだから。

後輩A
後輩A

ふむふむ。では再度まとめますよ。

 

よくゴルフスイングは中心軸だの、いや左足軸だ、右足軸だって議論されますが、全体を俯瞰してみれば、中心軸ってのが正しい。

 

しかしながら、ダウンスイングの部分だけを切り取って考えれば、右足軸(股関節基点の軸)になるってことになる。

パンゴル
パンゴル

そのとおり。広義に解釈すれば、結局のところ、すべての意見が正しいんだよ。

 

でも、スイング中、最も軸を意識しないといけないのはダウンスイングだから、右足軸の感覚が最も正解に近いと言えるのではないかな。

 

それに、実際問題、右足(右股関節)軸の感覚を持っておかないと、右腰や右膝が前に出やすくなってしまい、スライスやプッシュアウトを引き起こしちゃう。

後輩A
後輩A

サンキュー!もう大丈夫です。

 

こういう風に順序だてて考えれば、俺がさっき疑問に思った、背骨と右股関節の軸のずれも矛盾なく説明できるわけだ。

 

なんだか迷いが吹っ切れました。この話、聞いておいてよかったです。

パンゴル
パンゴル

それとな、念押ししておくけど、上半身(体幹)の回転軸は背骨一択だ。下半身のように二本の足で構成されているわけではないのだから。

 

ただし、アドレスした場所から全く動かないわけではないので、そのことにも留意しておきたい。

 

体重移動が入れば、背骨は当たり前に動くし、傾いたりもする。そして、この辺への反応は、何度も言うけど「自己組織的制御」、股関節の働きに任せておけばいい。

後輩A
後輩A

オーケー、オーケー。みなまで言わなくてもわかってますって。さあ、見ててください。今からもっといい球打ちますよ。それと、俺が50球打つまでは話しかけないでください、集中モードに入りますから。

#15へ、つづく>

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