新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

ゴルフメカ談議へGO!

#11 使うなら「てこ」じゃなくて「二重振り子」を使え!(打ってけ泥棒:その3)

ゴルフメカ談議
【前回(#10)までのあらすじ】アドレスで右肘表側を正面に向け(#9)、バックスイングでは左脇を開ける(#10)、そんな話をパンゴルから聞いた後輩Aは、今、もくもくと球を打っている。一方のパンゴルは、自身の運営するサイト用にネタはないかと、あたりをキョロキョロしていたのだが、それから間もなくして、目の前の後輩Aが、なにやら怪しい動きをしていることに気づいた。インパクトで左肩を上げたり、左手でグリップを上に引き上げるような動作をしているのだ。何やってんだろう?、そう思ったパンゴルは声をかけずはにいられない。時間無制限・打ち放題練習場「打ってけ泥棒」にて。
※第10話は只今非公開にしています。修正出来次第、公開する予定です。
パンゴル
パンゴル

それ、何やってんの?

後輩A
後輩A

あっ、これですか。「テコ」ですよ「テコ」。できるだけ多くの力をボールに加えたいと思って、右手を支点、左手を力点として、てこの原理を働かせているわけです。インパクトでこう、クイっとグリップエンドを持ち上げる感じで、ヘッドを走らせる。

パンゴル
パンゴル

あっ、そう。それで飛距離は伸びた?

後輩A
後輩A

いや、まだ練習始めたてですから、コツがつかめなくて。なんかうまく当たらないんですよね。

パンゴル
パンゴル

そりゃそうだろね。何でもはじめからうまくいくわけがない。

(というか、それ間違いだから・・・)

 

ところで、テコはテコでも、テコには3種類あるってしってるか?

後輩A
後輩A

へっ、テコに種類があるんですか?初耳です。

パンゴル
パンゴル

詳しいことは省くけど、テコには力で得するテコと、運動で得するテコがあるんだ。お前が想像しているテコは、たぶん力で得するテコのほうだな。作用点と力点の間に支点があるやつ。シーソーみたいな。

後輩A
後輩A

そうですね。それが俺のテコです。

ちなみに、運動で得するテコってどんなテコ何ですか?

パンゴル
パンゴル

運動で得するテコってのは、体の仕組みをみればわかりやすい。例えば肘の曲げ伸ばしをするだろ?そのときの支点は肘の関節になる。じゃあ、作用点は?

後輩A
後輩A

そうですね、腕が屈伸するんですから、結果的に手が動く。つまり手ですね。

パンゴル
パンゴル

ピンポーン。

では、力点はどこでしょう?

後輩A
後輩A

上腕二頭筋(力こぶの筋肉)が肘の曲げ伸ばしに使われることは知ってます。しかし、力点と言われるとどこになるか・・・・

パンゴル
パンゴル

力点は、肘の関節からちょっとだけ手先側にいったところにある。だから、この場合は支点が作用点と力点の間には無いんだよ。こういうテコを第3のテコと言う。

 

上腕二頭筋自体、スピードに長けた筋肉なんだ。そう考えると、運動で得するテコの部分に備わっている意味がわかってくるよな。

 

だから、第3のテコは、スピードで得するテコって言い換えてもいいと思うぞ。

後輩A
後輩A

第3のテコは運動、そしてスピード・・・。じゃあ、俺が想像していたテコは第何のテコになるんですかね?

パンゴル
パンゴル

第1のテコだ。

 

ちなみに、第2のテコってのもあるけど、それは栓抜きを想像するといい。

 

まあ、今から問題にするのは、第1のテコと第3のテコになるから、第2のテコはあまり考えなくていいぞ。

 

【スイング探究】間違いだらけの「テコの原理」
誰もが小学校時代に習ったテコの原理。ゴルフスイングにおいても「テコの原理を使って飛ばす」などと言われますが、テコには大きく3種類があることをご存じでしょうか。単に、小さな力で大きな力を得るために用いるのがテコであると認識している方は要注意。テコはテコでも、大きな力が必要だが大きな運動を得るために用いられるテコも存在するのです。
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パンゴル
パンゴル

では、ここからが本題だ。さっきお前がインパクトでやっていたテコは、第1と第3、どっちになる?

後輩A
後輩A

第1のテコですね。右手が支点ですから、作用点と力点の間に支点がある。

パンゴル
パンゴル

そうだ、第1のテコだ。

 

だから、力で得するためにお前は第1のテコを使ってることになるんだけど、テコにはテコ比ってのがあってな。ようは作用点から支点まで、そして力点から支点までの距離を比較したときに、後者の距離の方が長くないと、力で得することができないという性質がある。

 

だから、右手と左手の関係を見れば一目瞭然。明らかに、力点から支点までの距離が、作用点から支点までの距離より短い。つまり、力で得するという考え方に疑問符がつくんだな。

後輩A
後輩A

そう言われればそうですね。じゃあ何も得しないってことなんですかね?

パンゴル
パンゴル

力の面での得はないかな。でも、運動の面での得はあると思うぞ。事実、ヘッドが走る感じがするんだろ?

後輩A
後輩A

まだようわからんのですけど、そう感じたこともあったような気はしています。

パンゴル
パンゴル

そうか、まだよくわからないか。

 

でもな、ここで考えて欲しい。運動面で得をしたいのなら、なぜ素直に第3のテコを使わないの?

 

テコの性質上、第3のテコは、そもそも運動で得をするテコなだから、わざわざ第1のテコを使わないでいいんじゃないか?

後輩A
後輩A

ごもっとも。第1のテコを使う理由がないような気がします。

 

じゃあここで、第3のテコを使うことにしたとしましょう。その場合は、作用点は変わらずヘッドですから、力点と支点を逆転させて、力点が右手、支点が左手ってことになりますね。

パンゴル
パンゴル

そうだね、それで間違いない。

 

とどのつまり、普通にスイングする意識で十分になるわけだ。それだけで第3のテコは使えていることになる。

 

ところでなぜ、あんなへんてこりんなことしたんだ?

後輩A
後輩A

そんなんわかるでしょう。ネットとかYoutubeとか、そういうやつで見たんですよ。

パンゴル
パンゴル

うん、知ってたけど一応聞いてみた。

 

まあね、俺は第1のテコを使うことには猛反対なわけだけど、もしお前がやってた方法でうまく球が打てて飛距離も伸びたなんて人がいたら、それはそれでいいと思う。

 

でも、お前にはお勧めできない。デメリットの方がでかすぎる。

後輩A
後輩A

「俺のことをそんなに考えてくれて・・・ありがとうございます」なんてことは言いませんが、デメリットは俺にも説明できますよ。実際にやってみたんですから。

 

一番は、気持ちよく振れないってとこでしょうか。ようするに、何が何だかわかりません。

パンゴル
パンゴル

そうだろね。

それと、インパクトで第1のテコを使うなんて事したら、ボールコントロールもへったくれもなくなるよな。

後輩A
後輩A

そうですね。左手が力点ですから、球を操作するなんて芸当はできっこないし、しかもプロが言う、インパクトで球を押し込むなんて感覚も、よくわからなくなってしまうと思います。

パンゴル
パンゴル

そうそう。

それと、支点を右手にするということは、クラブを短く使うということになってしまう。これって大変なデメリットじゃないか?長いほうがヘッドスピードは速くなるんだよ。

 

ヘッドスピード=回転半径(クラブの長さ)×角速度(回転速度)なんだから。

後輩A
後輩A

そうですね。でも、角速度は第1のテコでも少しは速くなるんじゃないでしょうか?

パンゴル
パンゴル

うん、もしかするとね。

 

でも、そもそもが無茶な振り方なんだから、公式に当てはめて考えること自体に無理がある。

 

それが正しい振り方かどうか、もっと言うと、本当にできるのかどうかが大前提であって、なんというか、できると言って入社してきたのに、実は何にもできない新入社員みたいな感じであれば、能力評価もへったくれもなくなってしまうだろ?

後輩A
後輩A

うむ。

パンゴル
パンゴル

それに、ツアープロでテコの原理を使ってああしてこうして、なんて考えている人いると思うか?中にはいるかもしれないけど、俺の知る限り、テコの原理という言葉を使うのは、レッスンプロしかいないような気がするぞ。

 

だから、感覚的には、第3のテコすらも意識する必要はないと思うんだ。

 

その代わり、テコを意識するんじゃなくて、二重振り子を意識したほうが、何百倍も有益で正しいと思う。

 

【スイング探究】二重振り子は、ゴルフスイングの根本原理
ゴルフのスイング解説で度々耳にする二重振り子。二重振り子スイングを体得すると、どうなるのでしょうか。「ヘッドスピードが上がり、飛距離が伸びる」「プロのようにやわらかく、しなやかな「ムチ動作」になる」「その他、すべてが良くなる」3つ目は何やら怪しいですが、まんざら嘘でもありません。二重振り子はゴルフスイングの根本原理なのですから。
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後輩A
後輩A

おっ、また出てきましたね、二重振り子。

パンゴル
パンゴル

そうだ、まただよ。

 

ちなみに、前も上のリンク先教えたけど読んだか?

後輩A
後輩A

いや・・・すみません、最近忙しくて・・・それに目の調子が悪くてパソコン画面を見ると目が霞んできて・・・しかも、読もうと思った瞬間にいつも子供が熱を出すから、てんやわんやで・・・極めつけは、やっと読めると思ったら、オレオレ詐欺の電話がかかってきて・・・・・・・

パンゴル
パンゴル

つまんない言い訳だな。いいよ、要点だけ今から教えてやるから。

後輩A
後輩A

待ってました。あざーっす。

 

パンゴル
パンゴル

とりあえずこれ読め。

当時、私の恩師でもあり日本のスポーツ・バイオメカニクスの礎を築かれた小林一敏教授が、ふたつの木を滑りのよい蝶番で接続して二重振り子を自作し、その根元部分を手でもち小刻みに振動させて末端部を高速で回転させる実演をされた。そしてこの末端部の速度は、ときには音速近くまで到達するほどであり、当然筋の収縮スピードで生じる運動をはるかに上回るものであると説明された。

中略

さて、二重振り子の運動原理は人間の関節運動にたとえてみると、ふたつの意味で重要な問題を提起するといえよう。ひとつは、関節2に直接筋力が作用しなくても回転運動が生じることであり、もうひとつはこの関節に筋力が働かないほうがより高速な運動を生むという事実である。

<トップアスリートの動きは何が違うのか:山田憲政 著、より>

 

後輩A
後輩A

音速!すごい。

パンゴル
パンゴル

それもすごいけど、ポイントは後半だ。

 

「ひとつは、関節2に直接筋力が作用しなくても回転運動が生じることであり、もうひとつはこの関節に筋力が働かないほうがより高速な運動を生むという事実である。」(※ 関節2は手首に相当する)

 

つまり、無理にテコの原理でヘッドを走らせようとする行為は、「この関節に筋力が働かないほうがより高速な運動を生むという事実」に反するとも言えるんじゃないか?

後輩A
後輩A

何も足さないってかんじですかね。素材の味を楽しむみたいな。

パンゴル
パンゴル

う、うん、そうだな。

 

まあ、実際問題「インパクトは右手で押し込む」っていうプロもいるから、まったく何も足さないってわけじゃないと思うけど。

 

したがって、使うなら二重振り子とケンカしないであろう第3のテコ。グリップエンドを支点として、右手を力点としたスイングなら何ら問題ない、と言っていいんじゃないだろうか。

 

ちなみに、第1のテコはここでおさらば、完全に忘れてしまったほうが身のためだ。

後輩A
後輩A

はい、そうします。

それと、教えてもらったリンクは、今後を目を通すよう努力します。何事も起こらなければですが。

パンゴル
パンゴル

・・・そうしてくれるとこっちも助かるよ。

#12へ、つづく>

#12 前傾角を維持する体重移動のタイミングと左尻の引き(打ってけ泥棒:その4)
【前回(#11)までのあらすじ】テコの原理を使ってヘッドを加速するには無理がある、二重振り子さえできていればほぼ問題ない。そう教えられた後輩Aは、再びもくもくと球を打ち始めた。そんな折、「前傾維持ができてるじゃないか、すばらしい」と思いもか...

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