本の概要
1995年、スタンフォード大学在学中にアマチュアとしてマスターズに出場。そして、2018年、ツアー選手権で見事復活優勝を遂げたタイガーウッズ23年間の軌跡が、彼自身の言葉と共に描かれている魂のノンフィクションである。
タイガーは言わずと知れたスーパースターだが、その人生は決して平坦ではなかった。次のように時代を分類するだけですぐにわかる。
「出る杭として打たれ続けた新人時代」に始まり、「数々の栄光を残した黄金時代」、「スキャンダルと度重なる怪我に悩まされた苦悩の時代」、最後は「背中の怪我を克服し復活優勝を果たすまでの再起の時代」。
この本に記されている「48の言葉」は、タイガーの心の叫びであり、決してポジティブなものばかりではないが、大きな壁を乗り越えた偉人の「言霊」は、きっと人生の糧となるに違いない。
読後の所感
ゴルフ読み物として秀逸、著者である舩越園子さんのタイガー愛がビシビシと伝わってくる。
タイガーファンはもちろん、全てのゴルファーに読んで欲しい一冊だ。
さて、肝心の中身だが、私には次の3つのタイガー・ワーズが印象に残った。
- 「もがき続ける日々に終わりはない。だから楽しい。だから今日より明日、僕は一歩前進できる」
- 「昔、理屈抜きでクラブを振っていたころの感覚こそが究極」
- 「クレイジーなほどのスイングスピードで、クラブを振ることができるようになっている」
1.「もがき続ける日々に終わりはない。だから楽しい。だから今日より明日、僕は一歩前進できる」
2003年の後半戦から極度のスランプに陥ったウッズが、2005年に発した言葉だ。
前年の2004年には、1勝もできなかったウッズだったが、2005年にはマスターズを制し、全英オープンも制して、メジャー通算10勝目を達成したのだった。
「過去を忘れて前だけ向いて、明日は明日の風が吹く」と、時の流れに身をまかせて嘯き生きることも一種のポジティブ思考だが、タイガーはとことんまでもがき続けることを選択したのだろう。
「やってみな、楽しいから」と、努力こそが最高のソリューションであることを身をもって教えてくれている。
私はかれこれ5年間、くすぶり続け、もがき続けているが、今のこの状態が楽しみに変わったとしたら・・・・我ながら変態だなと思ってしまった。
2.「昔、理屈抜きでクラブを振っていたころの感覚こそが究極」
逆に、スイングを理屈で理解できた人だけが使える言葉だ。
いつか使ってみたい言葉リストに登録しておこう。
3.「クレイジーなほどのスイングスピードで、クラブを振ることができるようになっている」
4度の背中の手術を経て、体の調子がほぼ完全に戻った2018年に発せられた言葉だ。
タイガーからこのポジティブな発言が出るようになって、2018年に5年ぶりのツアー復活優勝を果たし、翌2019年にはマスターズまでも制したのだから、単なる強がりではなかったと結果が証明しているのである。
2020年もタイガーの背中の状態は良いようだ。11月に延期されたマスターズが今から楽しみで仕方がない。
最後に
いやー、実に面白かった。
著者の舩越園子さんのことは全く存じあげていなかったのだけど、この本を読んでファンになってしまいました。
松山英樹プロの本も出していらっしゃるようなので、将来読む本リストに入れておくことにしよう。
★★★ GiS的一度は読んでおきたいゴルフ本認定作品 ★★★
