本の概要
人気ゴルフコーチの内藤雄士氏が、ラウンド中に心掛けておくべきことを短い言葉で端的に教えてくれる実践的お役立ち語録集。
語録集だからサクサク読めるし、白黒ではあるが写真も多用されているので、時間のない人にもぴったりだ。
個人的には、忙しいサラリーマンの皆様にお勧めしたい。
肝心の内藤語録は全部で40個。これだけあれば、きっと自分に合ったスコアアップのヒントが見つかるはず。
読後の所感
初心者から中級者向けの内容ではあるが、少しでもプラスの要素が見つかれば御の字と考えている私のような人間にとってはタメになった。
ある意味ね。
この「ある意味」の意味するところは、下記を参照されたい。
- 左サイドがOBや池のケースは「背中」で視界から消す
意識すればするほど、やっちゃいけないことをやってしまうのが人間の性である。
「絶対に覗くなよ」と何回も念を押されれば逆に覗きたくなるし、「誕生日ケーキはご飯のあとね」と言われれば、その瞬間にケーキに指を突っ込んでいるのが普通の人間だ。
だったら、視界から消してしまおう。そもそも無かったことにしてしまおう。
これが「背中でOBや池を消す」という考え方の根幹をなしている。
具体的には、左サイトが危険なら、ティーグラウンドのできるだけ左側にティーアップする。そうすれば、視界に入らないし、そもそもOBなんかなかったことにできるから・・・・
んなことあるかい!というのが私の意見。
これね、スーパーポジティブ思考の人ならできるかもしれないけど、普通の人ならできないね。
ここで話は変わるが、「54ビジョン」を書いたピア・ニールソンの考え方を例に考えてみよう。
「目玉のバンカーで失敗しても、即座に忘れること。そうしないと、次回同じシチュエーションに出くわした時に悪いイメージが邪魔して、また失敗してしまうから」
こういうポジティブ思考な人の言葉を見ると、私は、「いやいや、同じ失敗を繰り返さないためにも、忘れちゃダメでしょ。具体的な対処策まで考えないと次また失敗しちゃうでしょ」と考えてしまうのだ。
つまり、「気になることは絶対にずっと気になるのだから、そこから逃げだしてはいけない。何とかするのが本当であって、一時的に忘れる努力をしても、本質的には潜在意識には刷り込まれているはずだ。だから、忘れようとすること自体ムダな行為」というのが私の考えなのである。
平たく言えば、「見て見ぬふりができればいい、でもできないんだからしょうがない」ってこと。
だから、背中でOBを視界から消したとしても、気になるものは気になるのだよ。根本的な対処策にはなり得ないのである。
ほんじゃどうすんだって話だけど、個人的には「危険だと思う方向にあえて振り抜く」という考え方のほうが正解だと思う。
これは、右サイドが危険であれば、ボールはフックして戻ってくるし、左サイドが危険であればスライスして戻ってくるという考え方に則っているのだが、まあ、ボールを自在に操れる人にとっては、どっこいどっこいの話かもしれないね。
けれど、気にするほどそれが気になる人にとっては、至言であると言えるかも。
最後に
なんか、批判的な感想になってしまっているけど、意図するところはそうではなくて、実にうまいことラウンドのコツを教えてくれている本だと思っている。
本を読むときのテクニックと言うか、クセと言うか、疑いを持って読むことを信条としているので、上記のような書き方になってしまっただけのこと。
総合的には皆さんにお勧めできる本だと考えているので、その点ご理解いただけますと幸甚です。