本の概要
「テンフィンガーのパームグリップで握って、右手主導で振る」これが本書の主張するところだ。
以下に著者の考える従来スイングとの対比表を記載しておく。
今までのスイング | テンフィンガースウィング |
左手主導 | 右手主導 |
リストターンする | 手が返らない |
ヘッドを意識する | 手を意識する |
ダウンブロー | レベルブロー |
前傾が崩れやすい | 前傾が崩れない |
捻転スウィング | 体をねじらない |
大きなトップ | コンパクトトップ |
読めばわかるが、ある意味、非常にクセの強い本である。
それが狙いだと思うけど。
読後の所感
デシャンボーのようなスイングを目指している人にとっては良本となるかもしれない。
しかし、従来型のスイングでスコアを残そうとしている人にとっては逆効果となる可能性があるため注意が必要だ。
この本を読む際に注意すべき点は以下の2つだろう。
- 10本指のパームグリップなので、腕とシャフトが一直線になりがち。これは縦振り意識が強い人向きだと考えられる。
- テンフィンガーのメリットを強調するためか、「決めつけ」から入ってくるので、冷静に自分自身で情報を分析する能力が必要とされる。
後者について、例えばP33にこうある。
「実際に球を打つと、1トンにも及ぶ衝撃がグリップにかかると言われています」
そんなことあるわけがない。
ヘッドにかかる衝撃が1トンと言うならわかるが(実際にはヘッドにも1トンはかからないらしい)、グリップには1トンもかからない。
他にも「生命線は舵取りしやすい(方向性がグンとよくなる)」とのこと。
「(車の運転で)ハンドルを握る際、親指以外の4本から回し込み、感情線でにぎるなんてことは、誰もしていないはずです。自然と生命線にハンドルを合わせているんです」
そうなのか?
続いて「生命線とは文字どおり、生命を左右する方向を司る、大切な役割を担っています。車のハンドル操作のように知らず知らずのうちにクラブ操作も、生命線で握ることで、舵取りができているんです」
んっ・・・・・。いやいや、俺は生命線で舵取りしてないぞ・・・・。
「それに、生命線という名前からして、生徒たちには、とても大切な「線」であるとイメージしてもらいやすい」
なんだか雲行きがおかしくなってきた。
「感情線というと、感情に左右されてすぐに反応する、プレッシャーに弱いイメージ。まさにゴルフでもそうなのです。物事に動じない生命線を使うのがゴルフには向いていると思います」
こんな感じで決めつけが入ってくる。
さらに「まさに感情に左右されず、方向を左右する「生命線グリップ」なのです」
まさにスピリチュアルの世界観・・・・。
とまあ、こんなことが書いてあるから注意して読んだほうがいい。
尚、自分はテンフィンガーのパームグリップを否定しているわけではないことをも付け加えておく。
発見!役立ちポイント
自分はテンフィンガーに挑戦することはないと思うけど、パームグリップはパッティングにおいては重要な要素だと考えている。
パームグリップにすることで、前腕とシャフトが一直線になりやすくなるためだ。
松山英樹プロや石川遼プロがわかりやすいが、肘を折ってパッティングしてるでしょ?
最後に
冒頭でも書いたが、デシャンボーのようなスイングをイメージしている人にとっては、テンフィンガーというよりパームグリップは向いているだろう。それと、右手でボールを押すようにインパクトする人も。
このようなイメージをお持ちの方は、一度読んでみるといいかもしれない。