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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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【GiS的多読】ゴルフ潜在軌道理論 クラブは押して引くだけ:栗林 保雄

多読!ゴルフ本
世に無数に存在するゴルフ解説本を読み、独自の感想・見解を述べるページ。正直言って、現在出回っているゴルフ本のほとんどが、かねてより言い伝えられてきたことの焼き直しだろう。だが、一行でも、一言でも良いから、役に立つ情報を見つけたい。発見と気付きのための多読である。

本の概要

週刊ゴルフダイジェストにて「理系のゴルフ」という記事の連載を持っていた栗林保雄氏の著書。

理論派らしく、スイング動作を細かく分割した上での細やかな説明がなされている。

そのため、一般的なレッスン書よりも難易度は高めだ。

正直言って、読み手によって評価が分かれやすい本だと感じられた。

読後の所感

著者はベン・ホーガンの「モダン・ゴルフ」を参考にしながら、この本を著したように思えた。

「スタンスの右足の向きは飛球線と直角にして構える」とされている点や、「スイングプレーンにホーガンのガラス板」を採用している点から容易に推測できる。

ただ、「モダン・ゴルフ」を参考にしているのであれば、そこに書かれていること、特にスイングプレーンの意味を正しく理解した上で、自論を述べて欲しかったと思わざるを得ない。

なぜなら、栗林氏の理論は、ワンプレーンスイングを実現するための理論であるように思えたからだ。

ベン・ホーガンは、同一のプレーン上でバックスイングとダウンスイングを行うことは、そもそも不可能(すなわち、ワンプレーンスイングは不可能だという意味)だと言っており、そうなると栗林氏の理論が成り立たない恐れが出てきてしまうのである。

 

 

 

上図は「モダン・ゴルフ」に載っているホーガンのスイングプレーン。

ここで、下の絵に注目して欲しい。

 

黒いプレーンが、かの有名な肩に立てかけられたガラス板で、一般的に知られているスイングプレーンだ。

しかし、黒いプレーンのその下に、赤いプレーンがあることも見逃してはならない。こちらはダウンスイング用のプレーンを表している。

つまり、黒がバックスイング用のプレーン、赤がダウンスイング用のプレーンとして、二枚のプレーンが描かれているのである。

そして、この2枚の板の存在からわかるように、ベン・ホーガンはその当時から、一枚のスイングプレーン上でスイングは完了しないということを伝えてくれている。

プロゴルファーの切り返しにおけるヘッド軌道は、全て(と言って良いだろう)皆右回りのループを描く。

なるほど、ワンプレーンスイングは実際問題、極めて難しいものなのだ。

 

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さて、栗林氏の理論に戻ろう。

タイトルにある「潜在軌道理論」の由来、ならびに「クラブは押して引くだけ」という主張の真意は、本を読んでも正直よく理解できなかったが、この本で何を言いたのかはよく理解できた。

 

本書に「上回り」という言葉が出て来るが、これを最近の言葉で表現するなら「前倒し」となる。

ボディーターンは、クラブが下から入るダフりの要素、それを相殺するかのごとく、ダウンスイングで腕をローテーションさせてクラブを上回りさせれば、うまい具合にスイングプレーンにヘッドが乗るというロジックだ。

 

なぜこのような発想に至ったのか。

それは先述した通り、この理論自体がワンプレーンスイングを前提としているためであろう。

 

実際には、ダウンスイングにおいて、肩に立てかけたガラス板(上図の黒のプレーン)上をクラブヘッドは推移しない。

これは、ベン・ホーガンがその当時から主張していたことだ。

しかしながら、著者は、このベン・ホーガンのガラス板の役割を間違って理解してしまい、ダウンスイングにも適用してしまった。

従来からの言い伝えである「クラブを立てろ!」という教えが、頭の中に染み付いていたのだろうと推測される。

そう考えれば、「上回り」はクラブを立てるように働くのだから、ボディーターンとの合成(相殺)理論が生まれたことに対しての説明がつくのである。

 

確かに、腕のローテーションは必要な動きではあるが、それはあくまでもパッシブに入るもの。

ガラス板に乗せるため、能動的に行うものではないというのが私の見解だ。

 

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クラブはシャローに入れましょう。

これが正解。

そもそも、上回りの意識だとクラブは速く振れないし、ひっかけ球しか出なくなる。

 

ここで、ベン・ホーガンから皆様へ、簡単なアドバイスです。

「ダウンスイングの右手は、野球の内野手がボールを取って送球するかのごとく使うこと」

上回りするよう腕を使って、ボールを投げることができますか?

最後に

栗林氏の「理系のゴルフ」が、ゴルフダイジェストに連載された期間は2002年からの1年間とあるから、かなり昔のことになる。

おそらく、この「理系のゴルフ」でも、「上回り」は紹介されていたことだろう。

「前倒し」や「腕の能動的なローテーション」を推奨するレッスンプロもいらっしゃるが、そういう方達はもしかすると、栗林氏の理論を参考にしたのかもしれないね。

 

実を言うと私、この上回り的なスイングを半年くらいみっちりと練習したことがあるのだが、その結果は・・・・・飛ばなくなったし、ひっかけ球しか出ませんでした。