新コーナー「ゴルフメカ談議」オープン!

謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

ゴルフメカ談議へGO!

【GiS的多読】ベン・ホーガンが「モダン・ゴルフ」で明かさなかった秘密:ジョン・アンドリザーニ

多読!ゴルフ本
世に無数に存在するゴルフ解説本を読み、独自の感想・見解を述べるページ。正直言って、現在出回っているゴルフ本のほとんどが、かねてより言い伝えられてきたことの焼き直しだろう。だが、一行でも、一言でも良いから、役に立つ情報を見つけたい。発見と気付きのための多読である。

本の概要

まずは、本書冒頭の文章を引用させていただく。

”今よりも素晴らしいゴルフができる可能性をもちながらも、間違った理論や教え方のために、この可能性を引き出せずにいた、多くのゴルファーに本書を捧げる”

本書はプロゴルファーやレッスンプロによって書かれたものではない。ゴルフライターのジョン・アンドリザーニによって書かれたものである。

 

アンドリザーニ氏は、ベン・ホーガン著「パワー・ゴルフ」や「モダン・ゴルフ」を読んだアマチュア諸氏がホーガン氏の教えに則ってスイング改造に取り組んだ結果・・・・前よりも酷いものになってしまったと語っている。

それを気の毒に思ったアンドリザーニ氏は、「ホーガンは全ての秘密を明かさなかったのではないか」と考えた。

 

ホーガンの教えは基本的に間違ってはいないが、彼の主観が多分に含まれていることも否めない。

ゴルフライターの視点で、ベン・ホーガンのスイングを注意深く観察し、これまで語られることのなかった秘密を有名ゴルフインストラクターの言葉を借りながら紹介していく形式の本である。

読後の所感

本書のリリースは200年。

前回の記事でご紹介したレッドベター氏による「モダン・ゴルフ徹底検証」のリリース時期とほぼ同じだ。

ということは、丁度このころ、多くのゴルファーが「ベン・ホーガンの言う通りにやったら、逆に下手になってしまったやないか!」と言い出したのだろうと推測できる。

だから、アンドリザーニ氏、レッドベター氏、ともに似たような内容の本をリリースするはめになったに違いない。

 

ここで、冒頭の言葉を思い出してほしい。

”今よりも素晴らしいゴルフができる可能性をもちながらも、間違った理論や教え方のために、この可能性を引き出せずにいた、多くのゴルファーに本書を捧げる”

これは、一般アマチュアゴルファーの怒りを鎮めるため、そして励ますために、書かれた文章であるということが言えるのではないだろうか。

 

スポンサーリンク

 

結局のところ、「明かされなかった秘密」とは何だったのか。

レッドベター氏の本もあわせて考えてみると、以下の3つに集約されることになるだろう。

  1. トップでの左手首のカッピング:左手が甲側に折れた状態となっていること
  2. 切り返しにおける腰の水平移動:ホーガン氏は、切り返しから腰をいの一番に回転させると言っているが、実際には、回転の前に水平移動が入っている事実
  3. アドレス時のスタンスの向き:ドライバーではクローズスタンスだが、ショートアイアンからウェッジではオープンスタンスになっていること

 

<1について>

これは知っている人も多いかもしれない。

ホーガン氏はフックボールが大嫌いだ。意図せずフックボールが飛び出した時には、吐き気をもよおすぐらい嫌いらしい。

そんなホーガン氏が編み出した秘訣が、トップで左手が甲側に折れるカッピングである。

ただし、「これを真似しても、うまくいかないと思うよ」とホーガン氏が述べていることからもわかるように、スライスに悩んでいる人が取り入れるべきテクニックではない。

あくまで、ここぞという時に、どうしてもフックボールが出てしまう人向けのテクニックだと認識されるべし。

 

<2について>

ホーガン氏は、切り返しから腰を回転させると言っているが、実際には切り返しからまず水平移動を入れて、そのあとに腰の回転が入っているようだ。

これについては、自分自身で経験しているからよくわかる。

中井学氏のレッスン書に度々出て来るヒップターンという考え方。それを実践していたある日のこと、どうしても腰が空回りするような感覚があることに気づいた。

これはまさしく、多くのアマチュアゴルファーの怒りを買ったと思われる、ホーガン氏の教えそのものを実践した結果ではないだろうか。

腕の筋肉よりも、骨盤周りから体幹の筋肉の方が圧倒的に多いことは自明である。

そのため私は、積極的に腰を回転させることについては賛成だ。

しかし、いきなり腰の回転からダウンスイングに入ってしまっては空回りしてしまう危険性があるため、この本で指摘されているよう、水平移動を入れたのち、腰を回転させるか、はたまた、昨今流行りのGGスイングのようにスクワットを入れるか、腰の回転前に自分なりの工夫が必要であることは間違いないだろう。

 

スポンサーリンク

 

<3について>

スタンスの向きについては、実のところ、「モダン・ゴルフ」にも書かれている。

なぜ、アンドリザーニ氏が「明かさなかった秘密」に、このスタンスの向きを入れたのかどうかは定かではないが、念のためここでご紹介しておこう。

(「モダン・ゴルフ」 ベン・ホーガン著より)

上図のように、ドライバーではクローズ、番手が短くなるにつれてオープンになって行く様がきちんと載っている。

だから「明かさなかった秘密」には相当しないと思うのだがどうだろうか。

まあ、それは良いとして、このスタンスの向きについては、以前私が書いた記事で、その有効性について述べた部分があるので抜粋して紹介しておきたい。

========== ここから ==========

下の動画では、Dプレーン理論に基づいて「なぜ、タイガーウッズのボールは、スイング軌道がアウトサイドインにもかかわらず、まっすぐ飛んで行くのか」の秘密を解説しています。

D-Plane explains the secret of Tiger Woods practice swing!

要点は以下の通りです。

「最下点にまずは鉛筆をセットしてみるよ。そうすると鉛筆はターゲットと平行だね。でもアイアンの場合、ダウンブローに打つよね。その方向に鉛筆を置いてみると、ほら、ターゲットに対して右を向いちゃうでしょ。だから、スイングプレーンを回転させて左に向けないとまっすぐにならないんだ。これがアウト – イン軌道になる秘密さ」
「ドライバーの時はアッパーだから、その向きに鉛筆をセットすると左を向いちゃう。だから今度はスイングプレーンを右回転させて鉛筆をターゲットに向ける必要があるんだ。さっきとは逆に、イン – アウト軌道になるということだね」

大変わかりやすい説明でした。

まっすぐ飛ばしたいのなら、アイアンはアウトーイン、ドライバーはインーアウト軌道です。

【スイング探究】「新飛球法則・Dプレーン理論」を理解するのが上達への近道! より)

========== ここまで ==========

TRACKMANなどなかった時代に、経験則から的確にスタンスの向きを導き出したベン・ホーガン、恐るべし。

スポンサーリンク

最後に

ベン・ホーガンの「モダン・ゴルフ」をベースに書かれた本は他にもあるが、最近立て続けにその系統の本を読んでいるため、この辺でいったんベン・ホーガン系はお休みとさせていただくことにする。

正直言って、同じような内容ばかりだから疲れてしまうのだ。

 

とはいえ、もしご自身で、これからホーガン関連の本を読もうとしている方がいらっしゃるのであれば、二つだけお伝えしておきたい。

ホーガン氏は、ドローではなく、フェードを好んでいたこと。

そして、彼のスイング理論は、フェードを打つために最適化されているということだ。