本の概要
ベン・ホーガンの著作として世界的に有名な本が、いわずもがなの「モダン・ゴルフ」。
ところが、その本より10年前に書かれた本があった。
それがこの「パワー・ゴルフ」だ。
「モダン・ゴルフ」はピュアなスイング解説書であると言って良い。
一方、この「パワー・ゴルフ」は、スイング解説はもちろんのこと、バンカーショットやアプローチ、さらには悪天候日の攻め方など、多岐にわたる内容となっている。
そのため「モダン・ゴルフ」のように途中で飽きることなく、楽しく読むことができるはずだ。
読後の所感
自分は、「モダン・ゴルフ」より、こちらの「パワー・ゴルフ」のほうが好みである。
もし、どちらか一つを人におすすめするとしたら、断然「パワー・ゴルフ」だ。
まず、翻訳が心地よい。
「モダン・ゴルフ」は理解に苦しむ部分が多々あったが、こちらはスラスラとストレスなく読むことができる。
そして、エピソード話が多いことも高ポイントだ。
ただ、気をつけないといけないのが、若干であるがホーガン氏の教えに違いがみられること。
一つ目は、アドレス時の右足の向き。
「モダン・ゴルフ」では、右足の向きは飛球線に直角、左足を1/4開くとしていたが、「パワー・ゴルフ」では、両脚のつま先を外側に開くとしてある。
二つ目がスタンス幅。
「モダン・ゴルフ」では、5番アイアンのスタンス幅は肩幅であったが、「パワー・ゴルフ」では若干肩幅よりも狭めとある。
この程度なら、普通にスルーして何ら問題はない。
しかし、右足の向きについては「モダン・ゴルフ」でさんざん “右足直角!” と言ってるのだから、どうしても気になってしまうのだ。
「モダン・ゴルフ」のほうが後発だから、”右足直角” が最終的にたどり着いた結論であると言えそうだけど。
また、個人的に興味深かった情報。それが、ウッドが本当にウッドだった時代の飛距離だ。
ベン・ホーガン氏が活躍したのが1940年代。
体重が軽いわりに飛ばし屋だったらしい。(全盛期の体重:63kg)
約75年前のドライバー標準飛距離が、265ヤードですよ!
ボールとクラブの進化の度合いを考慮して、ご自身の飛距離と比べてみてください!
いないとは思うけど、もし万が一、265ヤード飛ばせてない方がいらっしゃいましたら、明日から、いや今すぐに、何が何でも265ヤード飛ばせるよう努力してください!
最後に
パワー・ゴルフには、モダン・ゴルフにはなかったホーガン氏からのありがたい教えが添えられていたので、最後にお伝えしておきたい。
<スコアを改善するための八つのヒント>
- 第一のヒント:練習をすること
- 第二のヒント:常識を働かせること(*1)
- 第三のヒント:十分にロフトがあるクラブを選択すること(*2)
- 第四のヒント:ラフに入ったら、安全にプレーすること
- 第五のヒント:サンドウェッジに習熟すること
- 第六のヒント:クラブに仕事をさせること
- 第七のヒント:ピンを狙うのではなく、グリーンを狙うこと
- 第八のヒント:恐怖心をいだかないこと
(*1) ショット前にじっくり考え、ミスの許容範囲を想像しておく。例えば、アプローチでショートして、ガードバンカーに入れるくらいなら、オーバーさせてでもグリーンにのせておくべき。
(*2) グリーンを狙うときのクラブ選択についてのお話。