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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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【GiS的多読】科学が解明した「ゴルフ新常識」 ザ・リアル・スイング:奥嶋 誠昭

多読!ゴルフ本
世に無数に存在するゴルフ解説本を読み、独自の感想・見解を述べるページ。正直言って、現在出回っているゴルフ本のほとんどが、かねてより言い伝えられてきたことの焼き直しだろう。だが、一行でも、一言でも良いから、役に立つ情報を見つけたい。発見と気付きのための多読である。

本の概要

GEARS(ギアーズ)と呼ばれる最新装置を用いて、ゴルフスイングを6つの自由度(6DoF)で分析した結果がまとめられている。

6DoFとは、3次元直交座標系のXYZ各軸における、3つの並進と3つの回転のこと。

ぱっと見、難しそうに感じるが、バイオメカニクスや物理の知識が全くない方でも十分に理解できる内容に仕上がっている。

主観ではなく、客観的にゴルフスイングを評価したい人に向けた本。

読後の感想

CAD/CAM/CAEのようなデジタルツールを使って、ものづくりに携わっている人ならおわかりだと思うが、コンピュータ内の仮想空間には、グローバル座標とは別に局所的にローカル座標というものを自由に設定できる。

例えば、斜めに傾いた回転体の設計や計算を行う際、グローバル座標という絶対的な座標ですべてを表現すると滅茶苦茶ややこしくなるから、構造物の傾きなりに、斜めに傾いた座標をローカルに設定するというやり方だ。

 

上記をふまえて、本書を読んでいくと、どうしても違和感を感じざるを得ない。

なぜなら、上半身を前傾させるのがゴルフスイング。

そして、その前傾角はスイング中ある程度維持されているから、軸も前傾角に合わせて設定する発想があって良いはず。

しかしながら、本書では、ゴルフスイングをグローバルな絶対座標のみで評価しているように見えてしまうから、ちょっとばかり理解に苦しむ箇所がある

背骨の傾きなりにローカルな座標を設定して分析すれば、また違った分析結果が得られたように思うのだけど。

3Dで設計された立体モデルをわざわざ2Dの平面モデルに落とし込ような6DoFによる評価は、果たして妥当なのだろうか。

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例えば本書では、バックスイングは、[回転+側屈+伸展] の3つの要素で成り立っていると説明されているが、本当に側屈が重要な3要素のうちのひとつなのかってこと。

自分に言わせれば、[(股関節による骨盤の)回転+(背骨軸周りの体幹の)回転] の2つの要素で、ほぼトップは完成し、それに多少の側屈と伸展が入るってのが本当のところだと考えているんだけど。

 

<[回転+側屈+伸展] の実験>

① 直立状態で、側屈する

② 前傾する

③ 股関節から骨盤を回転する。

どうですか?トップの形になりましたか?

この方法だと捻転差ができないので、ろくな形にならないはず。上記説明のように伸展を入れても同じこと。

背骨軸周りに体幹の回転を入れて初めてまともなトップになる。

つまり、側屈によって捻転差が作られているわけではないってことになり、本書で言うところの回転とは、骨盤の回転と体幹の回転であることがわかる。

前傾維持のために側屈が必要だと言っているが、背骨を軸とした回転だけでも前傾は維持できるだろう。(次の実験を参照)

しかも、背骨が湾曲した状態で背骨軸周りに体幹の回転を入れるのって、なんだか怖いと感じるのは自分だけだろうか。

 

<[(股関節による骨盤の)回転+(背骨軸周りの体幹の)回転] の実験>

① 直立状態で、骨盤は回さずに体幹 (肩) のみを回転する

② 前傾する

③ 股関節から骨盤を回転する。

多分、ある程度、かっこいいトップの形になったと思う。

先の実験との違いは、頭の位置が右足寄りになっているところかなと。

試しに、そのままの姿勢で頭を足の真ん中に戻してみると・・・・ここで、側屈が入るってわけだ。

本書では、前傾キープのためにに側屈が必要という趣旨で説明がなされているが、私はこの実験の通り、頭の左右の動きを抑えるために側屈が必要になると解釈している。

 

つまり、側屈って「頭を動かすな神話」を信じない人には不要な動きだと言える。

制約が多ければ多いほど、スイングはぎくしゃくするんだから、自分は側屈なんて入れない、もしくは気にしないほうが無難かなと。

さらに、動作分析を「グローバル座標」のみで行ってしまったように見えるから、側屈必要論が正当化されてしまったのではないかと。

ローカル座標を使って分析すれば、もっと違うものが見えてきたのではないかなど、色々考えてしまうわけ。

 

ダスティン・ジョンソンのスイングをみて、側屈入ってるって言っている人をどこかで見かけた気もするけど、自分は、股関節の屈伸をうまいこと使っているから、側屈が入っているように見えるだけ、だと思う。

まあ、誰しも、若干の側屈は入るのだろうと思うけど、側屈が重要なファクターとして扱われるのには違和感しかない。

前傾角を維持する要因は、側屈ではなく股関節の屈伸によるもの、と言っていいのではないだろうか。

 

何度も言うけど、側屈って背骨を湾曲させるわけだから、背中とか痛めそうだけど、本当にやって大丈夫な動きなのかな。

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発見!役立ちポイント

シャフトはしならせなくてもしなる。

これだね。

よく、「インパクトで手元を止め、シャフトのしなりでヘッドを走らせる」と表現する人がいるけど、自分は昔から違う気がしていた。

シャフトマックスという分析装置を使っている人の言葉だから間違いないでしょう。

最後に

この本に書いてある分析結果を正直丸飲みにはできないけど、いろいろと考えるきっかけにはなったので良しとしよう。

 

同一の現象であっても、分析方法や目線が違えば、全く異なる見解が出て来る。

だから、一見科学的であっても、その分析結果を妄信してしまうのは少々危険だ。

 

尚、自分は、本書で紹介されているGEARS(ギアーズ)なる機器を見たこともなければ、触ったこともありません。

想像の範囲で、お話していることをご理解ください。

実データを見れば、ゴロっと意見が真反対となる可能性も否定できませんので。