本の概要
殺陣師・振付師の清水大輔氏は、サムライの剣さばきとゴルフのクラブさばきには共通点が多数存在すると言う。
サムライの剣とゴルフクラブは異なる道具だが、一本の道具を振り回すという点では同じであるから、武道における体の動かし方、身のこなし方はゴルフスイングにも活かすことができる、という発想で書かれた本だ。
序盤で、身体の各部位の動きや働きを、簡単な運動を通してまずは確認し、中盤以降で、武道の身体の使い方をゴルフスイングに応用していく展開となっている。
読後の感想
何の予備知識も持たずに読みだしたこの本。
目次を眺めていると、第一章のタイトルが「サムライ道とゴルフ道」であることに気づいた。
この時点で嫌な予感がしたのだが、読まないわけにもいかないので、「はじめに」から目を通していくことにしたのだが・・・・ほどなく「ほとんどプレー経験のないゴルフですが、(以下略)」という決定的な文言を見つけてしまったのである。
武道のみならず他の競技とゴルフを結びつけること自体は全く否定しない。
しかし、武道と紐づけられたスイング理論は、どうしても武道優位に書かれてしまっている感があるから、経験上共感できることがほとんどないのだ。
さらに筆者は、ほとんどゴルフのプレー経験がないんでしょ。
うーん、どうなんだろうね。
まず、剣は軸上に重心があると思うけど、ゴルフクラブはL字型で、ヘッドの重心は軸からずれた構造だ。
多分、これだけでも剣さばきとクラブさばきに異なる部分が多く出て来ると思う。
次に、インパクトでは、ハンドファーストの左手掌屈、右手背屈が基本。
フェースの向きは方向性に多大に影響するが、このインパクトの形には触れずに、新聞紙や下敷きを右手に持って、体の正面で面が垂直になるような練習方法を紹介するのはどうだろう。
ゴルフスイングをよく知る人との共著であれば良かったのかもね。
発見!役立ちポイント
役立てるとすれば、関節のほぐし運動くらいかな。
最後に
武道・武術の動きは万能であるとの思惑から書かれた本なのだろうか。
筆者がある程度のゴルフ歴を持っており、決して上手くなくてもいいのだけど、せめてゴルフを好きであってほしかったと思う。
いくらなんでも「ほとんどプレー経験のないゴルフですが、(以下略)」の状態で、本にまでしてしまうのはまずいでしょ。
しかも、本のタイトル「・・・なさい」系だよ。