本の概要
全頁カラー写真付きの、ドライバーに特化した飛ばし方の解説本。
著者の考える理論(本書内では定理)にならい、「振り遅れ」を直し「下半身リード」が正しく実践できれば、ドライバー飛距離+30ヤードも達成できるだろうという流れだ。
文字数少な目、写真で直感的に理解できる構成となっている。
読後の感想
「飛距離アップのためには振り遅れを直さなければならない」この点については同意するが、その方法論については疑問を持った。
テコの原理とインパクト直前でのブレーキングが述べられているが、自分のなかではどう考えてもマイナスにしか働かないように思える。
<テコの原理について>
左手を力点とし、右手を支点とすると述べられているが、これは以前書いた記事でも指摘したように全くの逆ではないだろうか。
ゴルフスイングでは、テコはテコでも、第3のテコが用いられるべきだろう。
そうしなければ、プロがよく口にする、右手で押し込むインパクトなんてありえない。
詳細は省くが、第3のテコとは、「力で損して運動で得する」テコだ。
尚、本書には「右手を支点として、左手でクラブヘッドを動かすと、小さな力で動かすことができます」とあるが、これはテコの原理から考えて、間違いだと思ったほうが良い。
正しくは「力では損するけど、運動で得することができる」だ。つまり、力の損得に関しては、第3のテコと同じ理屈になるわけ。
さらに、右手を支点としてしまうと、クラブを短く使うことになるわけだから、その分を第3のテコより損してしまう。
さらにさらに、複雑な手の動きを要求されるわけだから、方向性も落ちるだろうし、距離感も合わせにくくなると思われる。
ならば、最初から第3のテコを意識して使うほうが、自然だよね。

<インパクト直前でのブレーキングについて>
これも以前の記事で書いた通りで、感覚的には受け入れづらいし、本当にやってしまったらマイナスに働くと思われる。
要は、末端側のヘッドに力やエネルギーを伝達させるたに、ブレーキングを推奨しているのだと思うのだけど、能動的にその動きを入れてしまうと、結局のところ力は脚を伝って地面に戻ると自分は考えている。

その他、ちょっと気になる記述かあったので紹介しておきたいのだけど、それを要約すると以下の通り。
- 左軸回転が安定することは、科学的に証明されている。
- 陸上のトラックが左回りなのは、左軸回転のほうが安定していることに由来する。
- そのため、ゴルフスイングも左軸回転のほうがのぞましい。
- 左打ちの場合も同じで、バッバ・ワトソンが左軸回転で飛ばしているのが何よりの証拠。
先3つの項については、そうなのかなとも思えるが、最後のバッバ・ワトソンの件って本当なのか?
左打ちでも左軸回転が望ましいって・・・何が何でも左軸ってことだよね。
俄かに信じがたい。
発見!役立ちポイント
「背中の筋肉が伸びるのをきっかけに切り返そう」とあったが、これには同意できる。
図中にも示されているが、背中の左側ね。
ここが、伸びていないと緩んだスイングになってしまうので、ここを伸ばしたまま(できれば捻転差を保ったまま)股関節を使って腰を切っていくのが、今自分が取り組んでいる課題でもある。
最後に
自分は、テコの原理を意識するのは逆に良くないと思っていて、その代わり、インパクトでグリップエンドが臍を向くようスイングすれば良いと考えている。
それには、シャフト軸周りの回転(ローリング)が絡んでいると思うんだけど、ゴルフスイングの技術としてのローリングについては、これまで見たこともない。
ということで、ローリングに関する記事もかいています。気になる方は以下の記事をどうぞ。
