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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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【GiS的多読】新インナーゴルフ:W・T・ガルウェイ

多読!ゴルフ本
世に無数に存在するゴルフ解説本を読み、独自の感想・見解を述べるページ。正直言って、現在出回っているゴルフ本のほとんどが、かねてより言い伝えられてきたことの焼き直しだろう。だが、一行でも、一言でも良いから、役に立つ情報を見つけたい。発見と気付きのための多読である。

本の概要

1970年代半ば、インナー・ゲームなるものが、本書の著者W・T・ガルウェイ氏によって提唱された。

インナー・ゲームとは、雑念を排除し、真の集中状態に自分をセットするにはどうしたらいいのかを、これまでの価値観やスポーツ観とは全く異なった視点から呈示する実践的・実際的な発想法である。

集中力のメカニズムを「2人の自分」という角度からとらえ、人はなぜ不安になり、スランプに陥るのか。なぜ子供たちや天才選手たちは容易に上達し、熟練できるのか。真の集中状態をセットするきっかけには、どんな手段があるだろうか ーー などについて、著者が独自の視点で解明していく。

※インナー・ゲームのゴルフ版が、インナー・ゴルフです。

読後の所感

ゴルフのメンタルについて何か学びたいのであれば、これ一冊で十分ではないだろうか。

先日、メンタルに関する本を5冊読み、記事を書いたが、そこで大切だと述べられていたのは、だいたいのところ「呼吸」「ルーティーン(儀式)」「自己暗示」「イメージング」といったところであった。

2020 Masters タイガー・ウッズの10叩きから「集中力」について考えてみた
2020年Masters、オーガスタナショナルGC12番ホールでのタイガー・ウッズの10叩きは衝撃でした。当時私はTBSのMasters特集サイトで現地垂れ流し映像を見ていたのですが、そこはプレー解説もなければ歓声も聞こえない不思議な空間。それもあって、3回も池ポチャするタイガーの姿を見たときは、これは現実なのか、映像の方がバグっているのではないかと思ったものでした。とはいえ、話はここで終わりません。そこからなんとタイガーは、13番からの残りの6ホールで5バーディーという驚きのバーディーラッシュを見せつけたのです。スーパースターには、凡人には備わっていない何か特別なスイッチがあるのでしょうか。ということで今回は、「集中力」をキーワードに本を選定し、以下の書籍を参考にしながら集中力について考えてみることにしました。

5冊ともに同じようなことが書かれていたので、結局こんなもんかと思っていたが、この「新インナーゴルフ」は一味も二味も違う。

自分の心の中に存在する”悪魔と天使”、もっと言えば、自分の心の中には、”論理的な自分(セルフ1)と本能的な自分(セルフ2)”の2つが共存しており、ゴルフでミスをするときは、だいたいセルフ1に心が支配されているときだと、著者は説いている。

つまり、悪魔に相当するセルフ1を抑え込み、天使に相当するセルフ2にスイングを任せることができれば、成功するはずだと。

「自己暗示」のような、強制的なメンタルコントロールは、実はセルフ1に相当すると思われる。

そうであれば、上手くいかなくて当然。セルフ1は、セルフ2(本来の自分)の邪魔しかしないのだから。

セルフ1とセルフ2の概念

セルフ1とセルフ2を、平たく言えば以下のようになる。

  • セルフ1:悪魔、セルフ2:天使
  • セルフ1:論理的で理屈っぽい(左脳支配)、セルフ2:本能的で自由奔放(右脳支配)
  • セルフ1:リトル本田、セルフ2:本田圭佑自身の肉体

 

歩くとき、「膝を90度まで曲げて、太ももが地面と平行になるように」なんて考えていたら、ぎくしゃくとした変な歩き方になってしまうと思う。

しかし、ゴルフになると、なぜだか知らないが、自ら率先して「肩を90度回して、トップでクラブが地面と平行になるように」なんてことをやってしまうわけだ。

これこそまさに、愚行の代表例。

「本能的な自分であるセルフ2に任せてスイングすればいいのに、自らセルフ1に支配されに行ってどうするの?」、というのが著者の基本的な考え方だ。

 

ちなみに、「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じ抜くこと~」って歌があるが、これは、強制的に心をコントロールする類の話になるので、おそらくセルフ1支配になるのではないかと。

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ダァ・ダァ・ダァ・ダァ・スイング

そこで著者は考えた。セルフ1に支配されないようにするにはどうすればいいか。

その一つが「ダァ・ダァ・ダァ・ダァ・スイング」である。

アドレスで「ダァ」、始動で「ダァ」、トップで「ダァ」、インパクトで「ダァ」と発声することで、セルフ1の支配から解放され、セルフ2任せの本能的なスイングが手に入るそうだ。

おかしな練習法のように思えますが、本を読めばその真髄がわかります。

スリー・ボール・プレーヤー

このエピソードは非常に興味深い。

著者のガルウェイ氏は、元々ゴルファーではなく、テニスプレーヤーでありコーチである。

なので、インナーゴルフよりも先にインナーテニスを提唱したのであるが、そのインナーテニスでのデモンストレーションで、いつも「スリー・ボール・プレーヤー」の参加者を募るらしい。

 

スリー・ボール・プレーヤーとは何かと聞かれて、「ボールが3回ネットを越えると、これは長いラリーだと感じるプレーヤーのことです」と説明すると、場内はいつも爆笑に包まれた。みな、それぞれに経験があるからだ。「それからどうなると思いますか」私は聞いてみる。「ミスショット」と、一斉に答えが返ってくる。常にミスするとは限らないが、わずか3回のラリーでも、3回続くと緊張が高まることは確かで、このあと1,2球のうちに「こんなに続くはずがない、自分がこんなに打てるはずがない、これは自分じゃない、じきにミスがが出る」とつぶやき、緊張が高まり、実際にミスをする。それが一般的な有様だ。興味深いのは、この種のプレーヤーの本当の限界は彼の肉体や技術にあるのではなく、「自分がこんなこと、できるはずがない」という心が作り出している点だ。(本文より引用)

 

上記の太字部分、これこそがまさにセルフ1の悪魔のささやきである。

ではどうするか。

先述した「ダァ・ダァ・ダァ・ダァ」のテニス版である「バウンス・ヒット」という発声方法を試してみるらしい。

ボールがバウンドした瞬間に「バウンス」、インパクトの瞬間に「ヒット」と発声するのが「バウンス・ヒット」。

このようにして、ボールだけに集中させると、50球から60球のラリーが可能になるとのことであった。

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最後に

セルフ1の存在は、皆さん一度は絶対に感じたことがあるはずです。

それを「自己暗示」的に制圧するのか、このインナーゴルフ的手法によって対処するのか。その方法は皆さん次第だと思いますが、特に「スリー・ボール・プレーヤー」的な思考に陥りやすい方は、一度本書を読んでみて、インナーゴルフ的な解決策を模索するといいかもしれません。

 

余談ですが、マークシートのテストで、例えば(B)の答えが5回も続いたら、不安になりますよね。これも、セルフ1の仕業、「スリー・ボール・プレーヤー」的な思考のような気がしてなりません。

 

尚、本書は翻訳本ですが、しっかりとした日本語に訳されていますので、読みにくさは感じないと思います。

普段、翻訳本を敬遠している方もどうぞ。