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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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2020 Masters タイガー・ウッズの10叩きから「集中力」について考えてみた

ゴルフなんでも

2020年Masters、オーガスタナショナルGC12番ホールでのタイガー・ウッズの10叩きは衝撃でした。

当時私はTBSのMasters特集サイトで現地垂れ流し映像を見ていたのですが、そこはプレー解説もなければ歓声も聞こえない不思議な空間。それもあって、3回も池ポチャするタイガーの姿を見たときは、これは現実なのか、映像の方がバグっているのではないかと思ったものでした。

とはいえ、話はここで終わりません。

そこからなんとタイガーは、13番からの残りの6ホールで5バーディーという驚きのバーディーラッシュを見せつけたのです。

スーパースターには、凡人には備わっていない何か特別なスイッチがあるのでしょうか。

ということで今回は、「集中力」をキーワードに本を選定し、以下の書籍を参考にしながら集中力について考えてみることにしました。

  • 東大ドクターが教える、やる気と集中力の高め方:森田敏弘
  • 勝つ人のメンタル トップアスリートに学ぶ心を鍛える法:大儀見浩介
  • 勝つためのスポーツ脳:米山公啓
  • 一流の集中力:豊田一成
  • 試合に勝つためのスポーツ・メンタルトレーニング:高畑好秀

尚、私は、メンタル本は総じてうさんくさいものだと考えていますので、なんだか宗教っぽいなとか根性論に偏り出したら即、スーパー斜め読みモードに切り替えるタイプです。

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東大ドクターが教える、やる気と集中力の高め方:森田敏弘

著者の考える成功法則のようなものが書かれています。

日常生活における勉強や仕事の「やる気」や「モチベーション」を維持するにはどうするか。そういったことが主に書かれており、「集中力」の高め方とはちょっと違う気がしましたね。ゴルフの参考にするには少々難しいかもしれません。

とはいえ、お医者さんならではの、なかなか興味深い内容も。

それは、血糖値の急激な上昇と下降がパフォーマンスを低下させる要因になり得るという点。これには私も完全に同意します。

よくテレビ中継で女子プロゴルファーが”おにぎり”をほおばるシーンを目にしますが、精白米はGI値が高いので血糖値の乱高下が起こってもおかしくありません。

ラウンド中、糖質は摂るべきだと思いますが、できればGI値低めの食品にしたほうが良いかと思った次第です。

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勝つ人のメンタル:大儀見浩介

メンタル全般に渡って論理的にまとめられた良書です。

ここで、本書に紹介されていたここぞという時に「集中力」を高める方法をかいつまんで説明しておくと、

  1. 雑念を振り払い
  2. 己のパフォーマンス・ルーティーンを確立し
  3. 一点集中する

といったところでしょうか。

呼吸を整えたり、音楽を聴いたりすることも、集中力を高める手助けになるのだとか。

これといって特別なことが述べられているわけではありませんが、一貫して論理的な整合性がとれているので、メンタル入門編としては大変参考になるように思いました。

 

ただ、「お金があるから幸福とは限らない」という件はいまいち。

著者は「お金をモチベーションにするのではなく、自身の成長をモチベーションにしよう」、という意味でこの言葉と述べたのだろうと思います。

しかしながら、「お金があればある一定程度以上の幸福は保障される」というのが現実であり、お金があるからこそ好きなことに集中できるはず。それにより全体的なレベルの底上げがなされるわけで、一人当たりGDPと幸福度の相関グラフを持ち出してまで説明することなのか、、、違和感を感じざるを得ませんでした。お金のことで夢を諦める若者もいるっていうのにねー。

その点を踏まえて考えれば、やはり私財を投げうってジュニアゴルファーの育成に尽力された坂田信弘プロの「坂田塾」の取り組みは素晴らしい。

(指導方法には共感できないところもあるけれど)結果的に(特に女子)プロゴルファーのレベルの底上げに貢献したのですから。

メンタルトレーニングとは科学的根性論である

本書の冒頭で、著者は「メンタルトレーニングとは科学的根性論である」と書いておられます。

私もこの主張には大いに同意しますが、肝心の「科学的根性論」の中身について、踏み込んで書かれていなかったことが残念。

それならばと、私が過去に読んだ根性論を科学的に解明しようとした本を一冊ご紹介しておきます。

主に持久系アスリートに向けた本ではありますが、中・長距離走から自転車競技、さらには砂漠での遭難のエピソードなど、様々な実例をもとにまとめ上げられていますので、飽きることなく最後までお読みいただけると思います。

お時間あれば是非。

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勝つためのスポーツ脳:米山公啓

本の装丁(紙の質含む)からして、内容にはあまり期待していなかったのだけど・・・・良いほうに裏切られた、この本面白いです。

本書は、脳と運動の関係を説いた本であり、メンタル一辺倒の本ではありません。つまり、心理学と言うより脳科学、それなりに説得力があるわけです。

例えば、「正しい動きを体に覚えさせろ」とよく言われますが、これはマッスルメモリー(筋肉に覚えさせる)によるものだと勘違いしている人が非常に多い。

しかし、筋肉には運動を記憶する機能は存在しておらず、小脳と大脳基低核に正しい運動が記憶(特定の運動に対する神経細胞ネットワークがつくられることによる)されるのが実際です。

イメージとしては、脳内において、間違った動きに対応する神経回路は切断し、正しい動きに対応する神経回路をONのまま残すという感じですかね。

いつまでも、自転車の乗り方を忘れないのも、この小脳への記憶機能のおかげであり、ゴルフスイングも同様、正しい動きを覚えさせることができれば、いつでもアンダーパーで回れるはずです。(たぶん)

 

とまあ、こんな感じの知識を得ることができるわけですが、さてさて、肝心の集中力について。

著者の米山氏はこう言います。集中力が切れるときとは、

  1. 他人や他のことに意識が向いたとき
  2. 過去や未来に意識が向いたとき
  3. ケガや心のマイナス要因に意識が向いたとき

だそうです。

脳科学を引っ張り出すまでもなく、そういうことなんだろうなとは思いますが、タイガーの10叩きを振り返ってみれば、ティーショットを池ポチャしたあとの打ち直しの3打目を池に入れてしまった瞬間、ぷつーんと緊張の糸が切れたように見えました。

打ち直しの際、1打目の失敗ショットの感覚が脳裏に残っていたのだろうと思われます。これは上記の2に該当しますね。

 

しかしながら、タイガーの凄いところは、その後のバーディーラッシュ。いわゆるゾーンに入ったのだと思われます。

本書で、ゾーンは極度の緊張と過度なリラックスの中間に位置する領域と述べられています。

12番ホールの10叩きがあって、そこからゾーンに突入したのですから、それまでのタイガーは極度の緊張状態にいたのかもしれません。

それが10叩きによって、極度の緊張状態から半ば強制的に解放されたわけですが、普通なら過度なリラックス状態(あきらめ状態とも言う)にまで落ちてしまうところをそこまでには至らず、丁度いい塩梅の緊張とリラックスの中間位置となる「ゾーン」に落ち着いたと思われます。

また、極度の緊張状態では、アドレナリンの分泌量が過多になりプレッシャーやストレスを感じてしまうらしく、逆に、過度なリラックス状態では、アドレナリンが少なすぎて無気力となり、やはり集中力を欠いてしまうそう。

アドレナリンの分泌量をコントロールするなんてことは正直難しいですが、甲子園球児のように、帽子のつばの裏に「平常心」と書いておけばなんとかなるかも。いや、ならないか。

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一流の集中力:豊田一成

著者、豊田一成氏のプロフィール欄に「スポーツ界にはびこっていた根性主義を排除し、メンタルトレーニングを導入したパイオニアとして知られる」とありました。

”根性主義を排除し”と書いてありましたので、否が応でも期待感が高まります。

しかしながら、根性論の定義を「非科学的であり、根拠に乏しいにもかかわらず、根性があればどんな問題も解決できる精神論」とすれば、メンタルトレーニングも同じく、非科学的で根拠に乏しければ根性論と何ら変わりがないわけですから注意が必要です。

 

ここで著者のメンタルトレーニングメソッド、名付けて「心身統一手法」を見てみましょう。

  • 呼吸法
  • 内言(自己暗示)
  • イメージング
  • 気功体操

んっ?気、気功ですか。気功って、触ってもないのに人が吹っ飛ぶあれですよねえ・・・気功以外の3つについては、私も理解できるわけですが。

「呼吸法」で自律神経を調整し、「内言」で自己暗示(俺は強いなど)、そして「イメージング」は頭の中に画像を描くことと言われていますので、いわゆるイメトレもそうですし、心と体の動きをつなぐために行うという説明にも納得がいきます。

そこに気功ですか。。。

 

とはいえ、豊田氏は何も、気功で人を吹っ飛ばせと言っているわけではありません。

「氣」を感じ取ったり、「氣」を取り込んでリラックスしたり、そういう目には見えない何かである「氣」のことを言っているわけで、例えば、畑岡プロのルーティーンに取り入れられている打つ前にボール後方でぴょんぴょんと飛び跳ねるジャンプ動作ありますよね。

こういう動作も、気功と言う観点から見れば、「氣」を取り込んでリラックスしていると解釈できますから、そういう意味での気功のことをおっしゃっているわけです。

 

ですので総評すると、特別オカルトチックな内容でもなく、メンタル本の王道を行く内容のように思えました。

先にご紹介した「勝つ人のメンタル」に、実践的な内容を盛り込んだ本とい見て良いでしょうか。

 

そうそう、肝心の集中力についてですが、豊田氏は「集中力とはその局面に思いを込めて行動すること」と説きます。

サッカーのゲーム中に素晴らしいシュートを決めていた選手が、いざペナルティキックになると圧倒的優位であるにもかかわらずゴールマウスを外してしまう、なんてことが起こりますが、それは局面がガラリと変わったことによって気持ちの切り替えができなかったから。つまり、その局面に思いを込めなさい(集中しなさい)ということです。

それができる「力」が「集中力」。そのための「心身統一手法」なのです。

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試合に勝つためのスポーツ・メンタルトレーニング:高畑好秀

今回読んだ5冊の中で、最も具体的で実践的な方法が述べられていました。

ここまでにご紹介してきた4冊の本の内容が端的にまとめられており、誰でも実践できるよう工夫されている本だと思います。

色々な本を読んで、ある程度メンタルについて学んだら、この本に書いてあることを参考にして実践するといった使い方でしょうか。

 

ここでは、集中力について述べられている部分、特に<集中力を妨げる要因>についてご紹介しておきます。

<集中力を妨げる要因>

  1. 肉体的疲労(体の疲れによる集中力の低下)
  2. 外的雑音(相手チームのヤジや観客の声援など)
  3. 外的プレッシャー(指導者の「ミスしたらレギュラーから外すぞ」という言葉など)
  4. 内的雑音(試合中に別のことを考えてしまうなど心の中の雑音)
  5. 内的プレッシャー(結果を出さなくてはいけない、ミスした恥ずかしいといった自分自身の思い込み)

凄くわかりやすく整理されていますね。

そして、集中力を妨げる要因がわかったら、試合に向けて意識的に、その要因を自分の周りから遠ざけていくのがコツだそうです。

例えば、外的プレッシャーがその要因であれば、指導者に「できるだけ自分に何も言わないでください」と伝えておくなど。

これは皆さん大いに経験あることだと思います。指導者に限らず、親や友人など、その本人はよかれと思ってやっているのかもしれないけど、当事者にしてみれば雑音以外の何物でもありません。

この部分を読んで、中学時代野球の試合で、スタンドにいる親父から「グリップ絞っていけー!」という、今考えたら何のアドバイスかわからない声が、打席に向かう私の耳に入ってきたことを思い出しました。

結果は、ドンづまりの内野ゴロ。

これは外的プレッシャーというより外的雑音なるわけですが、似たようなものでしょう。あー、今考えても腹が立つ!

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まとめ

メンタルに関する本を5冊読んでわかりました。皆、表現は違えど、同じようなことが書いてあります。

結局のところ、集中力を阻害するものは雑音やプレッシャー、そして高めるためには、呼吸法やルーティーン、失敗はすぐに忘れる技術、そういった従来言われていることが大事だということです。

さらに、普段から自己暗示やイメージを作って準備しておけば、試合当日の心理状態もより良いものにすることができるのではないでしょうか。

 

また、今回読んだ本の中から、おすすめを選ぶとすれば、以下の2冊。

前述したように、皆同じような内容ですから、この2冊を読めば十分。「勝つ人のメンタル」でメンタルトレーニングの概要を学び、「試合に勝つためのスポーツ・メンタルトレーニング」で実践的な内容を学ぶ、といった具合です。

 

そしてできれば「限界は何が決めるのか 持久系アスリートのための耐久力」も追加してもらいたい。

ゴルフという競技は4時間にもおよぶ長丁場。1番ホールから18番ホールまで、ある一定の高いレベルで集中力を維持しておくなど到底無理な話です。

「限界は何が決めるのか 持久系アスリートのための耐久力」の中で、中・長距離ランナーのペース配分についてのグラフが示されていました。

それによると、800m走くらいまでの距離であれば、スタートからゴールに向けて、徐々にペースが落ちるのに対し、1500m走以上の距離になると、序盤のペースは早くて、中盤が一番遅く、そして終盤でまたペースが上がるそうです。

これと同じく、ゴルフラウンド中の集中力も、序盤は高く、中盤で落ちて、終盤でまた高くなると考えられるのではないでしょうか。

そう考えると、タイガーウッズの5バーディーも、そして優勝する選手が終盤になって大逆転すると言ったドラマチックな展開が良く起こることも納得できことと思います。

 

最後に。

ナポレオン・ヒル(思考は現実化する)や神田昌典氏(非常識な成功法則)のビジネスの成功法則本など、読んだことありますでしょうか?

一口で言えば、メンタルトレーニング本で謳っていることは、これらの本とほぼほぼ同じです。