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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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SG指標から紐解く、デシャンボー “2020 U.S. Open” 優勝の秘密

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デシャンボーが、2020 US Openで優勝しました!おめでとう!!

いつのまにかマッチョになっていたデシャンボー。

いつのまにか飛ばし屋になっていたデシャンボー。

メジャー初優勝を果たした今、自身の理論の正しさを世に知らしめることができたと、十分過ぎるほどの達成感に浸っているのだろうと想像してしまいます。

それにしても、デシャンボーの凄いところは攻め方にブレがないところ。

US Openではドライビングディスタンス7位と、ブンブン振り回したわけではなさそうですが、平均飛距離は325.8ヤードを叩き出していますので、”距離を稼いでスコアを稼ぐ”いつもの戦略に違いはなかったと言って問題ないはずです。

なんでも、優勝後のインタビューで「(ウィングフットGCの深いラフから)スピンをかけることができた」と語ったとか。

このことからも、”飛ばし”が基本戦略であったことが窺い知れますね。

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SG指標から優勝の秘訣を紐解く

SGとはStorokes Gainedの略、稼いだ打数という意味です。

詳細は「ゴルフデータ革命」を見ていただくこととして、ここでは、SGの数値がそのまま稼いだ打数を表しているということを理解しておいてください。

つまり、SGの値が大きければ大きいほど、当該カテゴリにおいて上位にランクされることになりますし、優秀であるということになります。

例えば、パッティングで稼いだ打数(SG:PUTTING)とグリーンONさせるまでに稼いだ打数(SG:TEE-TO-GREEN)のSG値を比較すれば、そのプレーヤーがパットの名手なのか、ショットメーカーなのかも数値的に判断できるようになるというわけです。

Driving Distance

このDriving DistanceはSG指標ではありませんが、まずはデシャンボーの飛距離がどの程度か把握しておくことが大切です。

US OPEN 2020のデシャンボーの飛距離を確認しておきましょう。

1位ダスティン・ジョンソン333.8
2位マット・ウルフ333.6
7位デシャンボー325.8
ツアー平均310.5

PGA TOUR STATSより)

 

デシャンボーは325.8ヤードで第7位。

第1位がダスティン・ジョンソンの333.8ヤード、第2位がマット・ウルフの333.6ヤードですから、トップから約8ヤード置いて行かれた計算になります。

尚、このドライビングディスタンスは、各ラウンド2ホール存在する計測ホールの平均飛距離。

全プレーヤーの平均は、310.5ヤードとのことでした。

SG: PUTTING

ここから、SG指標による分析を始めます。

まずは、SG:PUTTING(以下、SGP)で、デシャンボーのパッティングの腕前を確認することにしましょう。

AVERAGETOTAL
1位ザック・ジョンソン2.4039.613
2位カブレラ・ベロ2.0608.240
18位デシャンボー1.1234.492
29位マット・ウルフ.6432.572
61位リッキー・ファウラー-1.684-6.736

PGA TOUR STATSより)

 

デシャンボーは18位。とはいえ、SGPはプラスの1.123ですから、平均より1ラウンドあたり1.123打稼いでいることになります。

ただ、1位のザック・ジョンソンは2.403。

パッティングで、1ラウンドあたり1.28打の差をつけられていますから、悪くはないが、特別良くもない。

”中の上”もしくは”上の下”、というのがデシャンボーのパッティングの実力だと言ってよいでしょう。

 

ここで妄想タイム。

もしも、マット・ウルフのパッティングの調子がすこぶるよく、ザック・ジョンソンと同程度であったとしたら優勝することができたのか?

・・・それでも負けていたと思われます。

というのも、デシャンボーとマットは、結果的に6打差ついていますから、単純計算で

9.613 – 4.492 = 5.121

つまり、0.879打の僅差でマットの負けです。

 

とはいえ、この仮定の話には、そもそも無理がありました。

マットがザックと同程度のSGPスコアを記録すること自体が無理な話であったわけです。なぜなら、2020シーズンの彼のSGPランキングは74位なのですから。

マット・ウルフは今のところ、完全なるショットメーカー。

よく言えば、パッティングにはまだまだ伸び代が残されている将来有望な選手であると言うことができます。

 

それにしても、リッキーにはもう少しパッティングをがんばってもらわんとなー。

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SG: TEE-TO-GREEN

SG: TEE-TO-GREEN(以下、SG:TTG)とは、ティーオフしてからグリーンに乗せるまでの間に稼いだ打数のことを言います。

つまり、ドライバーからウェッジショットまでの力量が、この指標に数値として表れてくるわけです。

AverageSG:OTTSG:APRSG:ARG
1位デシャンボー4.4641.3321.8881.243
2位マット・ウルフ3.444.7941.779.870
35位ザック・ジョンソン.183-.252.133.302

PGA TOUR STATSより)

 

まず、デシャンボーとマット・ウルフの数字を眺めてみましょう。

全てにおいて、デシャンボーの数字がマットの数字に勝っていることが見てとれると思います。

これではっきりしましたね。「デシャンボーは勝つべくして勝った、真の実力者である」ということが。

パッティングでもデシャンボーが上、ショットでもデシャンボーが上なのですからつけ入る隙など見当たりません。

実際問題、最終日のスタート時点では、マット・ウルフがトーナメントリーダーだったわけですが、フロント9で追いつかれ、最終的には6打差もついてしまった。

いい勝負を繰り広げていたように見えても、数字で見れば実力差は歴然だったというわけです。

 

ちなみに、SGPで第一位のザック・ジョンソンは、ショットで打数を全く稼ぐことができなかった模様。

SG:OTT(OFF THE TEE、ティーショットのこと)に至ってはマイナスですから、よほど飛距離が出ない選手なのでしょう。

そう思ってドライビングディスタンスの順位を調べてみたところ・・・ビンゴ!289.5で最下位の61位でした。

やっぱり飛距離は大事ですね。

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デシャンボーとマット・ウルフを数字で比較してみる

デシャンボーとマットのSG:TTGにおけるAverageの差分をとると、その差は1ラウンドあたり1.02。4日間で4.08打の差がつく計算です。

そして、SGPのAverage差分が、1ラウンドあたり0.48ですから、4日間で1.92打の差が付くことになります。

これら4日間の打数を足し合わせれば、4.08+1.92=6.00で6打差。デシャンボーとマットの最終スコアの差分と丁度同じになります。

 

ここで注目していただきたいのが、SG:TTGの”4.08”とSGPの”1.92”という数字の大きさの違いです。

SG:TTGのランキングは、デシャンボーが1位、マットが2位でした。

SGPのランキングは、デシャンボーが18位、マットが29位です。

順位差で言えばSGPの方が大きいですが、SG値で比較するとSG:TTGの方が断然大きくなります。

 

すなわち、スコアへの貢献度が大きいのはショットであり、パッティングではないのです。

さらに、勝負はティーショットからグリーンに乗せるまでの間に決まると言っても過言ではなく、「パット・イズ・マネー」という格言が偽りであることまでも、SGは示唆しています。

 

これでもう「デシャンボー優勝の秘訣はショットにあった」と断言することができますね。

仮に、デシャンボーのSGPが4日間トータルで0.0だったとしても、マットのSGPは2.572なのですから、デシャンボーとマットのSG:TTGの差分である4.08から2.572を引いても1.508。

つまり、デシャンボーが平均的なパッティングスキルの持ち主であったとしても勝利できていた、というわけです。

 

当サイトでは、かねてより「パッティングよりショット(ドライビング)を磨け」と訴えかけてきました。世界を目指すのであれば、ショットを磨くしか道はありません。

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最後に

「ゴルフデータ革命」に記載通り、パッティングよりもショットのほうが差をつけやすいということが、デシャンボーの活躍により明らかになりました。

 

世界を目指す若者は、体を鍛える、ウェイトトレーニングに励む、そして、飛距離を伸ばす。

ウェイトトレーニングは筋力アップだけでなく、ケガの予防にもなりますから積極的に取り組むべきで、間違っても、筋トレ不要論なんかに耳を貸してはいけません。

プロテインを飲んで、ビタミン・ミネラルを摂って、体をでかくすることも、ゴルフスキルを向上させることと同じくらい重要。というか今の時代マストです。