いやはや参ったね。
実に参った。
日本とアメリカの間にある、スポーツシステムのあまりに大き過ぎる差に参った。
「不合理だらけの日本スポーツ界」という本をご存じだろうか。
スタンフォード大学アメリカンフットボールチーム オフェンシブ・アシスタント(2018年時点)河田 剛さんが書かれた本だ。
アメリカ・カレッジスポーツにおける驚きの事実
日本でアメリカンフットボールの選手として13年、コーチとして3年の経験を持つ河田氏が、2007年スタンフォード大学のアメリカンフットボールチームのオフィスドアをノックするところから話は始まる。
河田氏は、当初ボランティア・スタッフとしてチームに合流し、そこから正式スタッフとして契約することになるのだが、そこで河田氏が見た「日本とアメリカの歴然たる差」、これがあまりにも大きすぎた。
<カレッジスポーツにおける驚きの事実>
- キャンパス内に11万人を収容できるスタジアムが存在する
- 学生アスリートを指導するコーチの年俸が10億円を超える(勝利や優勝のボーナスを含めた場合)
- 大学は、スポーツによって年間100億円以上の収益を上げている
- 2016年のリオオリンピックで、カリフォルニア州の四大カレッジ(カリフォルニア大学バークレイ校、スタンフォード大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、南カリフォルニア大学)が獲得したメダル数は50個。ちなみに、これらの大学は、全米屈指の頭の良い大学である
<注> カリフォルニア大学バークレイ校、スタンフォード大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の3校は、世界大学ランキング2020 において東京大学よりも上位ランク。南カリフォルニア大学は京都大学よりも上位ランク。(東京大学:36位、京都大学:65位)
アメリカのカレッジスポーツは、まさにビジネス化したといって良いだろう。
それが良いか悪いかの議論は置いておいて、上記の事実には驚愕するしかない。
アメリカにスポーツ留学した人達は皆「勉強が超大変だった」と口にする。
日本人の感覚だと、スポーツがビジネス化していることに違和感を覚えるかもしれないが、これこそまさに「文武両道」と言ってよいのではないだろうか。
さらに、アメリカでは、例えば大学3年生でMLBやMFLとプロ契約に至った場合でも、引退後は同校に戻り、残りの単位を修得すれば、卒業できるシステムが整えられているそうだ。
そこには、スポーツ選手の第二の人生、「セカンドキャリア」をサポートするシステムが厳然と存在しており、そしてそれが実にうまいこと機能しているらしい。
最後に
今回ご紹介したのは、“不合理だらけの日本スポーツ界”に書かれている内容のほんの一部だ。
本記事では、私が読んで驚いたことを書きつらねたのみだが、著者の河田氏の意図するところは、単にアメリカの驚愕の事実を皆様に伝えることではなく、アメリカスポーツの現状を参考に、日本における正しいスポーツの在り方を見出して、変えていくことにあると思われる。
もちろん、すべて河田氏の意見に賛同するわけではない。
しかし、明らかにおかしな、そして合理的ではない慣習、スポーツの発展を阻む要素は、徹底的に排除されるべきで、この本は日本スポーツの将来を考える良いきっかけとなるはずである。
自分は中学時代、体罰大好きなコーチのせいで、野球が嫌いになってしまった。
チーム全員ケツバット、ビンタは当たり前、中には鼓膜が破れてしまったチームメイトもいたなあ。
特に理不尽だと思ったのが、どうみても余裕でホームインできることが明らかなのに、全力疾走でホームを駆け抜けなかっただけでビンタ。
内野ゴロがイレギュラーして反射的に顔をよけてしまったらビンタ。
アメリカではこんなこと絶対にないからな。
あー、思い出しただけで本当に腹立ってきたわ!
怒怒!!あのヤロー!!!
アメリカへのスポーツ留学を考えている若者たちよ。
己の技量を高めるため、選手として栄光を手にするために渡米するのも良いが、せっかく留学したのであれば、スポーツ大国アメリカの実情を把握し、その経験を日本スポーツの未来のために役立てて欲しい。