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謎の一般ゴルフ研究家(通称パンゴル)が、ゴルフメカニクス/メカニズムについて会話形式でお送りする、ゴルフエンターテイメントです。

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【2019 3M Open マシュー・ウルフ優勝記念】SG指標でみる、マシュー・ウルフのここが凄い!

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“マシュー・ウルフ” って何者だ?

知っている人は知っているPGA Tourメンバー、それが Matthew Wolff (マシュー・ウルフ)。

彼は、3M Openでツアー3戦目ですから、出来立てほやほやの本物のルーキーです。

そんな彼ですが、なんと!3戦目にして3M Open初優勝を成し遂げたのでした。これは凄い!おめでとう!

 

マシュー・ウルフは、GGスイングの産みの親であるジョージ・ガンカス氏の一番弟子(?)とも言われており、テイクバックでのクラブの挙動が特徴的。まずは下の動画をご覧下さい。

Matthew Wolff's 2019 swing analysis

トップでシャフトと背骨がほぼ平行、そこからヘッドが大きくループしインパクトに向けてシャローに振りぬくスイングです。

ヘッドのループが大きければ、その分仕事量が増えます。また、高いところにヘッドを持っていくことで、位置エネルギーが大きくなりますので、それを滞りなく運動エネルギーに変換することで、スイングの効率化を図っているのでしょう。

デビッド・レッドベターのAスイングそのものと言える動きですが、本人はAスイングを意識しているわけではないそうです。
【スイング探究】「Aスイング」と「GGスイング」でシャローなスイングを手に入れろ
デビッド・ レッドベターの「Aスイング」、ジョージ・ガンカスの「GGスイング」、テイクバックからダウンスイングのクラブアクションに限定すれば、基本原理は同じであると考えられます。ズバリ言って、両メソッドに共通するのは、「立てて、寝かす」クラブの挙動。マシュー・ウルフのクラブアクションが、その特徴を顕著に表しています。シャローイングなんか意識する必要ない!と考える人も、正しいスイングを構成する要素のひとつに、立てて寝かすクラブの挙動(切り返しにおける右回りのループ軌道)があることを、忘れてはいけません。

 

GGスイングの使い手には飛ばし屋が多く存在しますので、このマシュー・ウルフも「飛距離のアドバンテージを活かして優勝したのかな?」と思っていましたが、SG指標(SG: Strokes Gained)を見てみるとそうではありませんでした。

最も優勝に貢献していたのは、グリーンを狙うアプローチショット(Par 4 であればセカンド。Par 5 であればセカンドまたはサードショット)なのです。

SG指標では、パーオンを狙うショットをAPPROACH TO THE GREEN、グリーン周りからの寄せをAROUND THE GREENと表現します。
「ゴルフデータ革命 (SG指標)」スコアアップしたいなら、パットよりショットを磨け!
本書より抜粋。プロの多くはロングゲームが最も重要だと考えている。ロリー・マキロイは「よくショートゲームが得意じゃないと試合に優勝できないと言われるけど、全然違う」とコメントしている。ジャック・ニクラウスもその考えを支持して「わたしもロリーと同じ意見だ。1ラウンドで15回パーオン、ロングホールで2回2オンして、10フィート以内のパットをすべて決めればいいのだから、ショートゲームの練習などわたしはしない。チップショットなどどうでもいい」と話した。
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2019 3M Openにおけるマシュー・ウルフをSG指標で分析

SG指標の詳細は上のリンクを見てもらいたいのですが、それが面倒な方へ簡単に説明します。

 

SG:Strokes Gainedは、日本語で”稼いだ打数“と訳され、当該種のショットでどれだけの打数を稼ぐ事ができたのかを数値化したものです。

計算は単純で、ショット毎に「出場全選手の平均値からその選手が要した打数を引き算」して求めます。SG値がプラスになれば、それは”打数を稼いだ事”ということ。そして、“数値が大きければ大きいほど、より多くの打数を稼ぐ事ができた”となるわけです。マイナスの場合はその反対ですね。

これにより、例えばある選手が優勝したときの要因が、パッティングにあったのか、ティーショットにあったのかが数値として評価できるようになります。

そして面白いのが、「ゴルフではパッティングが一番大事」だとか言われますが、SG指標で見ればそんなことはないという点です。

SG指標の産みの親であるマーク・ブローティー氏がSG指標を用いて分析したところ、ショットの方がパットよりも重要である事がわかっています。(信じられない方は、本稿最後のまとめ内SG豆知識を参照ください)

マシュー・ウルフはアイアンの切れが抜群に良い!

SG指標の概要を把握したところで、2019 3M Open におけるマシュー・ウルフのスタッツを見てみましょう。

(PGA Tour Web:Matthew Wolff, 3M Open Tournament Statisticsより)

 

上図の青色の囲みがSG指標に関する数値です。

グリーンを狙うアイアンショットである”SG: APPROACH TO THE GREEN”(青下線)の総合順位が2位となっており、対して”SG: PUTTING”(赤下線)は39位です。

 

大会3日目、マシューは10アンダー、1ボギーで大きくスコアを伸ばしていますが、おそらくアイアンショットがもの凄く調子よかったのでしょう。その日の”SG: APPROACH TO THE GREEN”で”4.225″の数値をたたき出しています。(グリーンを狙うショットで、4.225打分稼いだ – 平均より良かった – ということです)

大会4日目の”SG: PUTTING”は”-1.963″。数値がマイナスですから、平均点以下の出来であり、決して調子がよかったとはいえません。(パッティングで、1.963打分失った – 平均より悪かった – ということです)

 

以上のことを踏まえつつ、下の動画をご覧ください。

Highlights | Round 4 | 3M Open 2019

ご覧のように、最終18番ホールで見事なイーグルパットを沈めて優勝を決めていますので、これだけ見るとおそらくほとんどの方が「やっぱゴルフはパッティングだよな」と思うことでしょう。

しかし、先に確認していただいたように最終日のマシューのSG: PUTTINGは”マイナス”の数値なのです。

つまり、「パッティングはもちろん重要だが、それ以上にショットが大事」ということがわかります。

勝つため(良いスコアで回る)には「ショットを磨くべき」であり、前述したようにショットの方がパットよりも重要なのです。

この事実をポジティブに捉えれば、何かの大会当日、少々パッティングの調子が悪くても「大丈夫、パッティングでは差がつかないから」と思えるかも。逆に、ショットが悪いとどうにもならないことに?!

 

続いて、ティーショットのSG: OFF THE TEE(緑下線)、およびDRIVING DISTANCE(紫囲み)を見てみましょう。順位はそれぞれ21位と36位です。

悪くはない。ただし、これらが優勝のために特別貢献したとは言い難い状況です。

一試合だけで判断するのは危険ですが、このことからマシュー・ウルフはGG使いの飛ばし屋というよりも、アイアンの名手と言った方が良いのではないでしょうか。

実際には、飛距離よりもアプローチの精度を優先するコースマネジメントを徹底しただけかもしれませんけど。
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まとめ

奇しくも、日本でかつてセンセーショナルなデビューを飾った石川遼選手が日本プロゴルフ選手権で復活優勝を成し遂げたと同じ週、海の向こうではマシュー・ウルフという新たなスター候補(私が勝手に思っているだけですが)がセンセーショナルなデビューを果たしました。

個人的には是非とも、この二人が来年2020年のマスターズで戦う姿を見てみたいと願っています。

SG豆知識

パッティングよりもショットの方が重要と言われてもピンと来ない方へ。

下の画像を見れば一目瞭然です。SG指標は単位が “打数” ですから、全てのストロークを同じ次元で評価できます

SG: TEE TO GREEN(ティーグランドからグリーンに乗せるまでに稼いだ打数)とSG: PUTTING(パッティングで稼いだ打数)の数値を比べてください。

パッティングでは、1打も稼げくことができていませんが、グリーンに乗せるまでのショットにおいては、2打以上稼ぐ事ができています。

(2019 3M Open 終了時点のものです)

参考書籍

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